二つのリスク解消で揺れ返し急落前の水準に(4/27)

ドル円が4月17日に108円割れを試すところまで下落したのは、4月11日夜の米トランプ大統領による朝鮮半島有事リスクを助長するツイートからであった。

二つのリスク解消で揺れ返し急落前の水準に(4/27)

<概況>

ドル円が4月17日に108円割れを試すところまで下落したのは、4月11日夜の米トランプ大統領による朝鮮半島有事リスクを助長するツイートからであった。中国が解決できなければ米国単独での解決=軍事行動の可能性を示唆するものであった。それ以前は3月27日に110円割れを回避して3月31日には112円台序盤まで戻し、4月4日から11日の日中にかけては110円割れ回避、111.50円前後を抵抗とした小持ち合いで、11日夜のツイートから110円割れとなって崩れた。
4月23日のフランス大統領選挙1回目投票の結果は中道マクロン氏が首位となり、懸念された極右と急進左派による選択肢からのフランス混乱、EU離脱危機への展開シナリオは解消され、24日朝はリスクオンとなってドル円も急騰した。さらに25日の北朝鮮建軍記念日では核実験の強行は回避され、米国との軍事的一触即発危機はひとまず回避された。これが二段目の上昇推進力となり、株高とともにドル円は111.50円を超えて4月10日高値をわずかに上抜いた。
しかし、26日深夜高値からは高値警戒感、揺れ返しの戻り一巡感から反落、27日未明には111円を割り込む場面もあった。

朝鮮半島有事リスクは、一触即発的リスクは解消されたもののまだまだくすぶり続け、継続しているため、楽観し過ぎるわけにもいかないという事が一つ。もう一つはトランプ大統領がNAFTAからの離脱を指示する大統領令を出す動きが報じられたこと。さらに税制改革案が示されたものの財源についての言及がなかったことから財政支出増大への懸念、実行性への懸念が生まれて株高を抑え、ドル円も下げたという状況のようだ。
 
トランプ米大統領は26日、大型法人減税を柱とする税制改革案を正式発表した。法人税率を現行の35%から15%に引き下げ、個人事業など中小企業の負担も15%へと大幅に下げるとしたが、多国籍企業の海外利益を米国に戻す際にかかる税率は35%から下げる方向で議会と調整するとしたが、「国境調整」は含まれなかった。オバマケア改廃法案が採決を見送られたことから税制改革に対する財源確保問題が未解決となっており、財政支出増大だけを招く可能性、あるいは税制改革そのものが実現できなくなる可能性がまだ残っている印象で、トランプ政権の先行き運営への懸念を生むものとなった。これはドル円にとってはマイナス=円高要因と思われる。

ワシントン・ポスト紙の報道によるとトランプ政権が6カ月以内にNAFTAから離脱する意思を示す文書への署名を真剣に検討しているという。メキシコとカナダと締結している北米自由貿易協定(NAFTA)から米国が離脱すれば域内の関税引き下げ措置が失効し、メキシコ等に生産拠点のある日本企業等へは打撃となる可能性がある。これは米国第一主義、保護主義の進展としてドル円にとってはリスク=円高要因となってくる可能性がある。

27日の金融政策決定会合では展望レポートが発表される。日銀が現状の金融緩和政策を委縮させることは無いと思われるが、トランプ政権発足以降、円安を誘導するような金融政策の拡大には進み難い状況であり、市場の円安効果期待は薄いと思われる。
ECB(欧州中央銀行)も27日に理事会=金融政策決定会合をもつ。特にドラギECB総裁が金融緩和政策維持の姿勢を強く示すかどうかが注目される。

【一目均衡表 60分足分析】

【一目均衡表 60分足分析】

4月19日夜の上昇で60分足においては先行スパン突破、遅行スパン好転となり、その後も遅行スパンが一時的に実線を下回る局面はあったものの早々に好転し、先行スパンからの転落も回避して上昇期を継続してきた。
27日未明への反落で遅行スパンは悪化しかけているが、今のところは好転を維持している。先行スパンを上回る状況も維持されている。ただし、26本基準線を割り込んできているため、同線を上抜き返せない状況が続くうちは連騰に対する反動安入りも警戒されるため、27日未明安値割れからは先行スパン内への突入、あるいは先行スパンから連携するような調整へ進む可能性も警戒される。

概況で示した様に、今回の上昇はリスク回避による円高情勢が一巡しての揺れ返しであり、4月11日夜から急落する前の水準、110円台から112円台序盤までのレンジが上値目処と考えられる。既にこのレンジ内には到達してきているので、伸び代としては112円から112.25円前後まで上昇余地ありとみるが、既に戻り一巡でも不思議はない。
27日の日中から28日未明にかけては、110.85円を支持線とし、割り込まずに111.30円越えなら111.50円から111.70円台試しを想定する。ただし、26日深夜高値とダブルトップ(毛抜き天井型)を形成して反落しやすいとみる。
110.85円割れの場合は110.50円前後への下落とみるが、110.70円以下での推移が続く場合は28日朝へ110.30円前後まで下値目処が切り下がる可能性ありとみる。(了)<9:10執筆>

【今日から明日への主要イベント】

4月27日
日 日銀金融政策決定会合結果公表、日銀展望レポート公表
日 15:30 黒田日銀総裁、記者会見
欧 20:45 欧州中央銀行(ECB)理事会、政策金利発表
欧 21:30 ドラギ欧州中央銀行(ECB)総裁、記者会見
米 21:30 米3月耐久財受注
米 21:30 米新規失業保険申請件数
米 23:00 米3月中古住宅販売保留件数指数

4月28日
米 トランプ米大統領、全米ライフル協会の年次総会で演説
日  8:30 3月全国消費者物価指数、4月東京都区部消費者物価指数
日  8:30 3月失業率、3月有効求人倍率
日  8:50 3月鉱工業生産・速報値
米 21:30 米1-3月期GDP・速報値(前期比年率)
米 22:45 米4月シカゴ購買部協会景気指数
米 23:00 米4月ミシガン大学消費者信頼感指数・確報値

オーダー/ポジション状況

関連記事

「FX羅針盤」 ご利用上の注意
掲載している情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。
掲載している商品やサービス等の情報は、各事業者から提供を受けた情報または各事業者のウェブサイト等にて公開されている特定時点の情報をもとに作成したものです。
当サイトはFXに関する情報の提供を目的としています。当サイトは、特定の金融商品の売買等の勧誘を目的としたものではありません。
FXに関する取引口座開設、取引の実行並びに取引条件の詳細についてのお問合せ及びご確認は、利用者ご自身が各FX取扱事業者に対し直接行っていただくものとします。また、投資の最終判断は、利用者ご自身が行っていただくものとします。
当社はFX取引に関し何ら当事者または代理人となるものではなく、利用者及び各FX取扱事業者のいずれに対しても、契約締結の代理、媒介、斡旋等を行いません。したがって、利用者と各FX取扱事業者との契約の成否、内容または履行等に関し、当社は一切責任を負わないものとし、FX取引に伴うトラブル等の利用者・各FX取扱事業者間の紛争については両当事者間で解決するものとします。
当社は、当サイトにおいて提供する情報の内容の正確性・妥当性・適法性・目的適合性その他のあらゆる事項について保証せず、利用者がこれらの情報に関連し損害を被った場合にも一切の責任を負わないものとします。
当サイトにおいて提供する情報の全部または一部は、利用者に対して予告なく、変更、中断、または停止される場合があります。
当サイトには、他社・他の機関のサイトへのリンクが設置される場合がありますが、当社はこれらリンク先サイトの内容について一切関知せず、何らの責任を負わないものとします。
当サイト上のコンテンツに関する著作権は、当社もしくは当該コンテンツを創作した著作者または著作権者に帰属しています。
当社は、当社の事前の許諾なく、当サイト上のコンテンツの全部または一部を、複製、改変、転載等により利用することを禁じます。
当サイトのご利用に当たっては上記注意事項をご了承いただくほか、FX羅針盤利用規約にご同意いただいたものとします。

ページトップへ戻る