北朝鮮問題如何では上値余地を探る(週報4月第四週)

フランス大統領選は、市場のコンセンサス通り、中道のマクロン氏、極右でEU離脱派のルペン氏が決戦投票へ進むと報じられた。

北朝鮮問題如何では上値余地を探る(週報4月第四週)

<概況>

4月17日への下落で108円割れ寸前まで円高ドル安となったが、110円割れを何度か回避したように、今回も108円割れを17日、19日と回避し、週後半は109.48円まで戻す場面もあったが、109.50円超えから110円を目指すような上昇には進めずに「下げ渋り持合いの範囲」に止まった印象だ。
4月前半は、7日の米国によるシリア空爆、11日のトランプ大統領ツイートから朝鮮半島有事リスクが増大、13日未明にはトランプ大統領のドル高けん制発言(WSJ紙インタビュー)とリスク回避を助長する事象が続いたために110円割れ、昨年12月以降の安値を更新して108円台まで下げたわけだ。
17日以降は、これらリスク回避行動に一服感が見られ、米ナスダックが終値ベースで最高値を更新するなど、リスクオン心理も一部で見られたためにドル円も108円割れはひとまず回避したという状況だが、4月23日(日)のフランス大統領選挙第一回投票、4月25日の北朝鮮建軍記念日を控えた中では底打ち期待からの積極的な上昇を仕掛ける動きは見られずに終わった。

フランス大統領選は、市場のコンセンサス通り、中道のマクロン氏、極右でEU離脱派のルペン氏が決戦投票へ進むと報じられた。決戦投票ではマクロン氏が勝利し、フランス大統領選挙を巡る混乱リスクはひとまず回避される見通しで、特にフランス株式市場等でのリスクオン心理が大きく巻き戻してくる状況となっている。ユーロ高ドル安の一方で、リスクオン的なクロス円全般の円安も考えられており、ドル円にとっては株高連鎖でのドル高円安反応へ進みやすいと見られる。ただし、直後の25日には北朝鮮建軍記念日を控えているので、上昇反応は限定的なものかもしれない。110円を抵抗とし、110円到達ないしは110円台前半への上昇後の上値詰まり、反落に注意したいところか。

北朝鮮情勢については25日の建軍記念日を前後してICBM発射実験、核実験が強行されなければ、ひとまずは中国による制動ないしは北朝鮮の自制により、有事リスクが落ち着き、国際政治的な駆け引きへと進む可能性が考えられるため、市場にとっては過剰なリスク回避行動が避けられ、逆に楽観主義が勝って株高円安へと進む可能性がある。しかし、25日前後に挑発的実験強行がなくても緊張情勢が継続する場合は、ドル円の戻りも抑えられるだろう。
仮に25日前後、ICBM発射実験、核実験等が強行される場合、市場は見通しが効かなくなって極端なリスク回避的、パニック型の反応となる可能性もあるかもしれない。様々な心配がよぎるが、有事リスクがさらに増大しないことを願う。

【一目均衡表分析 日足】

【一目均衡表分析 日足】

昨年12月15日高値から2月6日への下落幅は凡そ7円安。その後の3月10日まで4円弱の二段戻しを経て底割れ一段安となり、3月27日安値をさらに割り込んで4月17日には108円割れを試すところまで下げた。4月17日から21日までは新たな安値更新を回避、ややジリ高ではあるが、戻り幅は1円強に止まり、下げ渋り持合いの範囲にある。
12月15日高値から2月6日までの下げを一段目とし、3月10日安値から4月17日までを二段目の下げとすれば、二段目も凡そ7円強の下落であり、逆N時型の下げとしては一服つけやすい水準と言える。

フランス大統領選挙好転、北朝鮮動向次第ではあるが、リスクオフ的な円高懸念が後退して上昇の場合、「手前の支持線が今度の抵抗線」とすれば110円前後が第一の戻り抵抗と思われる。これらリスク問題を通過して上昇し、110円乗せ後、維持へと進む場合は一目均衡表の26日基準線(110.81円前後)から勢い次第で111円台序盤まで戻してゆく可能性が考えられるが、そこは戻り売りにつかまりやすいとみる。北朝鮮問題が解消したとしても日米通商問題、トランプ大統領の本音でもあるドル高けん制姿勢は変わらず、過度な円安にはブレーキがかかってくると思われるからだ。
逆に、北朝鮮問題が一段とリスク回避型行動を助長する場合、108円割れからの一段安が警戒される。その場合は3月10日への戻り幅の倍返しでV計算値107.68円前後、2月6日への下げ幅の二倍値でE計算値104.51円前後へと下値目途も切り下がる可能性がある。その場合は概ね3か月から4か月周期の底打ちサイクルを踏まえると、早ければGW明けあたり、やや長引けば5月後半が安値形成期と思われる。週前半、上下に変化対応な姿勢で臨みたいところだ。(了)<4:00執筆>

【当面の重要イベント・発表等】

4月23日
 フランス大統領選挙(第一回投票) マクロン氏とルペン氏の決戦投票へ(5月7日)

4月25日
北朝鮮 建軍記念日
米  0:30 カシュカリ米ミネアポリス連銀総裁、講演
米 22:00 米2月S&P/ケースシラー住宅価格指数(前年比)
米 23:00 米4月消費者信頼感指数
米 23:00 米4月リッチモンド連銀製造業指数
米 23:00 米3月新築住宅販売件数

4月26日
日 日銀金融政策決定会合(まで27日)

4月27日
日 日銀金融政策決定会合結果公表、日銀展望レポート公表
日 15:30 黒田日銀総裁、記者会見
欧 20:45 欧州中央銀行(ECB)理事会、政策金利発表
欧 21:30 ドラギ欧州中央銀行(ECB)総裁、記者会見
米 21:30 米3月耐久財受注
米 21:30 米新規失業保険申請件数
米 23:00 米3月中古住宅販売保留件数指数

4月28日
米 トランプ米大統領、全米ライフル協会の年次総会で演説
日  8:30 3月全国消費者物価指数、4月東京都区部消費者物価指数
日  8:30 3月失業率、3月有効求人倍率
日  8:50 3月鉱工業生産・速報値
米 21:30 米1-3月期GDP・速報値(前期比年率)
米 22:45 米4月シカゴ購買部協会景気指数
米 23:00 米4月ミシガン大学消費者信頼感指数・確報値

4月29日
米 3:30 ハーカー米フィラデルフィア連銀総裁、講演

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