FX予想と振り返り
前週の主要レート(週間レンジ)
始値 高値 安値 終値
ドル円 121.35 121.45 116.29 116.81
ユーロ円 131.37 132.03 130.06 130.34
ユーロドル 1.0825 1.1250 1.0824 1.1155
日経平均 17699.60 17905.37 16627.80 16819.59
(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時?NY午後5時のインターバンクレート。
前週の概況
2月1日(月)
ドル円は底堅い地合いとなっていましたが、欧州市場に入り発表された英国の強い経済指標に反応してポンドが大きく買われる展開となり、その動きに引っ張られてユーロドルも上昇。ユーロドルは1.09台前半まで買われた後に、やや押しての引け。ドル円はユーロドルの動きに引っ張られてややドル売りの動きとなったものの、狭い値幅での取引に終始しました。
2月2日(火)
ユーロドル、ドル円ともにドルの上値が重たいスタートを切りましたが、東京市場ではもみあいを続けました。海外市場に移ると原油売り、欧州株売りとリスクオフの展開となり、夜間取引のダウ先物で既に下げていたNYダウは300ドル近い大幅安、原油も減産協調の思惑が後退し30ドルを割れとリスクオフが強まった一日でした。ドル円は海外市場でじり安の動きを続け、120円の大台を割り込んでのクローズとなりました。
2月3日(水)
NY市場までは落ち着いた値動きをしていたものの、NY市場に入ると各市場がそれぞれに荒っぽい展開となりました。ユーロドルが先週高値を超えた水準でストップの買いが入り、ISM非製造業指数が予想よりも弱かったことからドル売りの流れ。ユーロドルは1.10の大台をあっさりと上抜け、ドル円は日銀会合前の水準へと下押ししたことから、目立ったオーダーが無い中でストップがストップを呼ぶドル売り相場となりました。225先物は夜間取引で大幅安となる一方で、原油は再び減産協調の思惑が出て大幅高、NYダウも引けにかけて大幅高となったことで、ドル円は安値から1円近く買い戻されての引けとなりました。
2月4日(木)
東京市場こそ前日のドル急落を見て様子見姿勢が強まっていましたが、欧州市場に入ると米国利上げ思惑後退の流れからドル売りが再開する展開となりました。NY市場に入り発表された経済指標も軒並み予想よりも弱い数字が続き、ユーロドルは1.1239レベルへと続伸、ドル円もユーロに引っ張られながら前日安値を更新する116.53レベルを付け、ドル安値圏でのクローズとなりました。
2月5日(金)
注目の雇用統計を前にNY市場までは概して小動きのもみあいを続けていました。雇用統計発表直後は+15.1万と予想よりも弱いNFP(前月も下方修正)に反応し、ドル円が116.29レベル、ユーロドルも1.1250レベルと前日ドル安値を割り込む展開を見せました。しかし、いっぽうで失業率が2008年2月以来の4.9%に低下するとともに、時給が0.5%(0.12ドル)の上昇となり、全体としては雇用回復が続いている数字となりました。ドル円、ユーロドルとも急速に値を回復し、ドル買いの動きとなったものの、ドル円は戻り売りが根強く引けにかけてはじり安、116円台での週末クローズとなりました。
今週の予定(時刻表示のあるものは日本時間)
今週注目される経済指標と予定をあげてあります。FRB地区連銀総裁講演の内、2016年FOMCメンバー(ニューヨーク、ボストン、クリーブランド、セントルイス、カンザスシティ)ではない地区連銀はカッコ付で示しました。わかりやすさ優先で、あえて正式呼称で表記していない場合もあります。
2月8日(月)
**:** NZ市場休場
**:** 旧正月(香港休場〜10日、シンガポール休場〜9日、中国休場〜12日)
08:50 本邦貿易収支
08:50 日銀金融政策決定会合(1月28・29日)主な意見公表
16:00 ドイツ12月鉱工業生産
24:00 米国1月労働市場情勢指数
2月9日(火)
09:30 豪州1月NAB企業景況感
18:30 英国12月貿易収支
24:00 米国12月卸売在庫
**:** 米国2017年予算教書
**:** ニューハンプシャー州予備選挙
2月10日(水)
18:30 英国12月鉱工業生産
24:00 イエレンFRB議長下院議会証言
24:30 米国週間原油在庫発表
27:30 (サンフランシスコ連銀総裁講演)
28:00 米国1月財政収支
30:30 NZ1月企業景況感
2月11日(木)
**:** 東京市場休場
22:30 米国新規失業保険申請件数
24:00 イエレンFRB議長上院議会証言
**:** ユーロ圏財務相会議
2月12日(金)
07:30 豪中銀総裁議会証言
16:00 ドイツ1月CPI確報値
16:00 ドイツ10〜12月期GDP速報値
18:00 イタリア10〜12月期GDP速報値
19:00 ユーロ圏10〜12月期GDP速報値
19:00 ギリシャ10〜12月期GDP速報値
22:30 米国1月小売売上高
22:30 米国1月輸入物価指数
24:00 米国2月ミシガン大消費者信頼感指数速報値
24:00 米国12月企業在庫
24:00 NY連銀総裁討論会参加
今週の週間見通し
1月29日の日銀によるマイナス金利導入による円安、株高の効果は、為替は当日のみ、株価は週明け月曜に高値を付け、ユーロドルでのユーロ買い(ドル売り)に引っ張られた面はあるものの、為替、株価ともに追加緩和前を割り込んでの週末クローズとなりました。
まず、主要三極の金融政策と金利についてです。マイナス金利を実施している欧州と日本、いっぽうで利上げを実施した米国と方向性には絶対的な違いはあるものの、この1か月を振り返ると為替市場でしばしば取り上げられる金利差についてやや異なった動きをしていることには注意が必要です。
以下の比較は、昨年末(12月末)と日銀がマイナス金利を導入した1月末の終値の比較です。金利は新聞等にも掲載されているスワップ金利(*)での比較です。
*FXでの日々のスワップ金利ではなく、変動金利と固定金利を交換する際に使われる金利スワップ取引における金利のこと。
12月末 ドル金利 円金利 金利差
2年 1.165% 0.094% 1.071%
5年 1.708% 0.151% 1.557%
10年 2.176% 0.406% 1.770%
1月末 ドル金利 円金利 金利差
2年 0.832% −0.016% 0.848%
5年 1.300% 0.024% 1.276%
10年 1.804% 0.271% 1.533%
この比較を見てもわかりますが、すべての期間において日米の金利差は縮小していることが見て取れます。
これは、12月の米国利上げ以降の原油市場や株式市場の混乱によって12月にFRBが示した2016年に合計1.0%の利上げを行うことは困難ではないかとの思惑が市場参加者に広がり、1年を超える長期金利において、米金利の低下が金利差縮小を招いているためです。
当初は、FOMC後に議長会見のある3, 6, 9, 12月に各0.25%という線がコンセンサスでしたが、現状では3月は見送りがコンセンサス、極端な意見では2016年の利上げは無いという見方をする人も出ています。ニュートラルな見方としては6月以降に2回程度の利上げ(合計0.5%)を行うという線が現状の主流と言えますが、こうした米金利の利上げ思惑後退がこれまでの金利差を見込んだドル円の買いやユーロドルの売りに対して、巻き返しが起こっているということになるわけです。
テクニカルにもドル円日足チャートを見ていただくとわかりますが、今回はアベノミクス以降の押しでもっとも円高となった115円台半ばに太いピンクのラインを引いてあります。今年に入ってからの安値は1月20日に付けた115.97レベルですが、重要な水準と考えられる115円台半ばまで50銭足らずですし、現状でも1円50銭程度しか距離が無く、かなり危ない水準に位置していると考えられます。
今後の株式市場や原油相場の影響も大きいとはいえ、もし115円台半ばを割り込むような動きが出てくると歯止めが効かない売りにつながるリスクは常にあると考えた置いた方がよさそうです。今週は中国が旧正月で1週間休みになりますし、香港やシンガポールも週前半は休場となりますので、比較的落ち着いた動きが予想されますが、ドルが買い戻される局面では丁寧なドル売りが出てくると見ています。
今週は、116.25レベルをサポートに、118.25レベルをレジスタンスと、いったん下げ局面の中での踊り場の週となる流れを見ておきます。
ドル円(日足)チャート
このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみ平均足と同様とすることで、短期的な方向性(緑=上昇、赤=下降)を見やすく加工した当週報独自のチャートとなっています。また、国内外で人気の高い一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。トレンドラインは週初の段階で過去一定期間から自動的に表示される自動トレンドライン(無い場合もあります)となっています。
オーダー/ポジション状況
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