<< 先週の回顧 >>
先週のドル/円相場は、1週間を通してなかなか激しい変動をたどったものの、結局はレンジ内。110-112円という、前週までのボックス圏をやはり抜けていくことが出来なかった。
週明けは111.30円前後で寄り付くも、その後ドルはじり安。110.30円前後まで、やや時間を掛けつつ1円程度値を下げた。材料となったのは、地政学リスクの高まりで、ロシアで発生した地下鉄爆破テロならびにトランプ米大統領発言を受けた北朝鮮情勢が警戒されていたという。
しかし、ドル売りが一巡後はジワリと買い戻しが優勢に。111円半ばまで買い進められるも続かず、再び110円台前半へと軟落するなど、週間を通して1.5円ほどのレンジ内を2往復、かなり激しい乱高下をたどったが、最終的にキチンとした方向性は示されないままだった。
なお、1週間を通してニュースや材料はかなり豊富。大きなものだけでも、先に挙げたロシアで起こったテロのほか、北朝鮮による弾道ミサイル発射(5日)や米中首脳会談(7-8日)、米国がシリアを爆撃(7日)、3月の米雇用統計発表(7日)−−などがあり、いずれもマーケットを大きく動意づかせたが、それらを受けてもレンジを抜けていくまでには至らず。ドル/円は週末のNY時間を111.10円前後と、形成レンジのちょうど中間起点で取引を終え、越週している。
<< 今週の見通し >>
期待された110-112円のレンジブレークは失敗に終わり、達成は今週に持ち越された。
そうしたなか、9日付日経新聞6面の週間見通しでは「円高予想が大勢」と指摘されるなど、ややドル安・円高方向のリスクが高そうな雰囲気ではあるが予断は許さず。ドルが反転高をたどる危険性が存外高い気もしないではない。
テクニカルには、何度も指摘している週足・一目均衡表における先行帯の雲の上限(111.20円レベル)を、週末NYクローズでわずかながら下回ってきた。ドル弱気派にとっては好材料がひとつ増えたことになる。
ただ、ドルの下値は堅く、実際に先週も110円に何度か接近するも、ことごとく跳ね返されてきた。一部では、ドルの下値攻めに対して、「時間切れ」を指摘する声も聞かれており、新年度明けにともなう新規外債投資などの需給要因にも支えられ、自律反発を予想する可能性もないではない。
一方、材料的には先週台頭したシリア情勢めぐる関係各国の政治不安や、北朝鮮を中心とした地政学リスクの高まりなどもあり、基本的にはドル売り・円買いが有利なイメージ。なかでも、北朝鮮に関して言えば、11日に最高人民会議(国会に相当)、15日の北朝鮮・金日成元国家主席の生誕105周年などのイベント予定されており、それらはいずれも要注意。金正恩朝鮮労働党委員長が党第1書記に推戴されてから5年にあたるなか過激な発言が飛び出すのかどうか、といったものだけなく、威嚇的な軍事行動などに再び動く公算も取り沙汰されており、波乱要因となりかねないだろう。
なお、それ以外では、引き続き発表される各種の米経済指標、そしてイエレンFRB議長を中心とした通貨当局者の講演にも注意を払いたい。
そんな今週のドル/円予想レンジは、109.50-112.50円。ドル高・円安については、先週2度上値をキャップされた111円半ばの攻防にまずは注視。抜ければ、3月高値115.51円を起点とした下げ幅のフィボナッチ38.2%戻しに当たる112.20円を目指す展開となりそうだ。
対するドル安・円安方向は、111円レベルを割り込むと110円前後まで強いフシが存在しない。ただ、その110円前後のサポートは極めて強く、今週も強固にドルの下値トライを阻む可能性も。(了)
オーダー/ポジション状況
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