111円処の攻防点(週報2017年4月第一週)

 3月27日夕刻、28日深夜の二度、110円割れを回避したため、60分足レベルではダブル底型、日足では毛抜き底型を形成して反発した。

111円処の攻防点(週報2017年4月第一週)

<先週の動向と今週のポイント>

3月27日夕刻、28日深夜の二度、110円割れを回避したため、60分足レベルではダブル底型、日足では毛抜き底型を形成して反発した。米連銀の追加利上げを材料消化とし、米長期金利の低下、トランプ政策実行不安でドル安となっていたが、材料的に一服して戻したという状況。しかし、31日には112円を超えたものの112円台を維持できずに111円台前半まで失速して週を終えた。
 3月末は米地区連銀総裁らによる発言も相次ぎ、一部で利上げ回数をアップさせるべきとの発言もあったが、重要メンバーであるNY連銀総裁の31日の発言から利上げ加速のリスクが後退してドル安円高反応が見られた。NY連銀ダドリー総裁は、ブルームバーグTVのインタビューで「米FRBの保有資産縮小については年内か来年に開始しても驚かない」とし、その際には「利上げを一時的に停止する可能性がある」と述べた。また年内の利上げについても「あと2回の想定は合理的」「金利正常化を急ぐ必要はない」等と述べた。セントルイス連銀のブラード総裁も「年内あと2回の利上げは多すぎる」と述べている。

4月第1週は週末に米雇用統計があるが、主要な経済指標の発表も相次ぐ。これら米経済指標が強ければ株高ドル高反応となりやすいが、NY連銀総裁発言を踏まえれば、従来ほどには利上げペースの加速に対するリスクが拡大しないとすれば、ドル高反応は限定的かもしれない。
 トランプ政権が貿易赤字対策について動き始めているため、対日赤字問題での踏み込んだ発言等が出てくる場合はリスク回避的な円高が発生しやすい懸念もある。本邦サイドは、3日の日銀短観における大企業製造業の想定為替レートが注視される。現状とのレート乖離が大きく出てくると変動要因となりえる。

ユーロドル、ユーロ円が週末に一段安している。ECBが金融緩和の出口戦略へ向けて動きだすとの観測が後退したこと、英国のEU離脱正式通告、仏大統領選挙等の域内情勢への不安感が背景と思われるが、4月6日には3月9日開催のECB理事会の議事録公開もあるので注目される。ユーロ円の下落による円高圧力にも注意したい。
 日経平均の下落についても円高要因として注意される。週末2日間で300円以上の下落となり、19,000円を割り込んでいる。1月5日高値を3月2日にわずかに上回ったものの、その後は軟調推移であり、両高値によるダブルトップ形成からの下落期入りとなる可能性もある。1月18日安値18650円割れ回避のうちは高値圏持合いから上放れ、一段高へ進む可能性があるが、1月18日安値を割り込む場合は先安感が強まり、リスク回避の円高要因となりやすい。新年度入りでの機関投資家等の投資選考が注視される。

<週間見通し>

3月10日以降は一段安に対するリバウンド、下げ渋り的な持合いを2日程度入れた後、一段安するという動きが観測されてきたが、今回は27日夕刻から4日間戻しており、下落中の戻りとしてはシッカリした上昇となった。このため、この間の戻り幅の半値押しとなる111円前後を支持線として切り返せば、もう一段高へと揺れ返し的な上昇が継続する可能性がある。逆に言えば111円処を維持出来ない場合は下げ再開として110円割れを試し、さらに割り込む場合は年初来安値更新により円高ドル安が加速する可能性が警戒される。その際は109円前後試しへの下落を想定する。

 3月27日からの反発は下落途中の小規模反発(アヤ戻し)の範囲と思われる。年初以降の反発としては1月19日高値、2月15日高値、3月10日高値への反発がいずれも3円以上4円未満となっているため、113円台前半へ戻す可能性がある。このため、31日変動幅の半値戻しのクリアとなる111.75円近辺超えからは31日高値試し、高値更新の場合は113円台前半試しへ向かう可能性を考えるが、113円以上は戻り売りに掴まりやすいと見る。日柄面におけるトップ間を結んだサイクルの観点からも、息切れ感が出やすい見立てだ。柔軟なトレード対応が望まれる。(了)

              ドル円60分足

              ドル円60分足

「今週の注目イベント」

4月3日   (中) 中国市場休場(清明節、-4日)    
4月3日8:50 (日) 日銀短観
4月3日23:00 (米) 米3月ISM製造業景況指数 予想 57、前月 57.7
4月3日 23:30 (米) ダドリー米NY連銀総裁、講演    
4月4日 4:00 (米) ハーカー米フィラデルフィア連銀総裁、講演    
4月4日 6:00 (米) ラッカー米リッチモンド連銀総裁、講演    
4月4日   (中) 中国市場休場(清明節)
4月4日 12:45 (日) 10年債入札(2兆3000億円)    
4月4日 21:30 (米) 米2月貿易赤字 予想 465億ドル、前月 485億ドル
4月5日 5:30 (米) タルーロFRB理事、講演 ・退任
4月5日 21:15 (米) 米3月ADP全国雇用者数 予想 +19.4万人、前月 +29.8万人
4月5日 23:00 (米) 米3月ISM非製造業景況指数 予想 57、前月 57.6
4月6日 3:00 (米) 米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録公表(3月14-15日開催分) 

4月6日     米中首脳会談(〜7日)
4月6日 20:30 (欧) ECB理事会、議事要旨公表(3月9日開催分)
4月6日 21:30 (米) 米新規失業保険申請件数 - 25.8万件
4月6日 22:30 (米) ウィリアムズ米サンフランシスコ連銀総裁、講演    
4月7日   (欧) ユーロ圏財務相会合(〜8日)
4月7日     米中首脳会談(6日〜)    
4月7日 21:30 (米) 米3月非農業部門雇用者数 予想 +17.4万人、前月 +23.5万人
4月7日 21:30 (米) 米3月失業率 予想 4.7%、前月 4.7%
4月7日 21:30 (米) 米3月平均時給伸び率 予想 0.3%、前月 0.20%

4月7日 21:30 (米) 米3月非農業部門雇用者数 予想 +17.4万人、前月 +23.5万人
4月7日 21:30 (米) 米3月失業率 予想 4.7%、前月 4.7%
4月7日 21:30 (米) 米3月平均時給伸び率 予想 0.3%、前月 0.20%

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