ドル円を取り囲む環境
FOMCから始まり昨夜の英中銀MPCまで一連の金融政策イベントが終わりましたが、コンセンサス通りの部分と予想外の部分とで市場参加者を慌てさせる場面も見られました。
FOMCでの0.25%の利上げは完全に織り込み済みでしたが、直前に年3回から4回へと利上げペースを上げるのではないかとの思惑に対し、FOMCメンバーは12月と同様に年3回の利上げを示しました。FOMCの半月ほど前の一連の3月利上げを示唆する発言は、ハト派に寄っていた市場参加者に対して軌道修正を迫るものでしたが、今回もブレたのは市場参加者のみ。直前になってタカ派寄りにブレ、結局はFRBとしては12月も3月もブレない姿勢を示しました。このあたり、イエレン議長の市場との対話は見事なものです。
その後、日銀は現状維持で予想通り、黒田総裁会見もなんら材料とはされませんでしたが、英中銀MPCでは利上げを主張するメンバーがいたこと、またNY市場でオーストリア中銀総裁が政策金利の前に預金金利を上げる選択肢を示し、欧州も英国も次は緩和縮小という印象を市場参加者に与えました。緩やかな引き締めの米国、緩和から中立へと戻す方向性を見せ始めた欧州と英国、大規模緩和を続ける日本と主要三極の金融政策は明確に方向性が異なり、これが長期的に円独歩安の材料とされる可能性もあります。
しかし、短期的には気を付けなくてはならないのが本日から始まるG20です。これまでも通貨安競争の回避を含め、日米財務相会談が行われる等、動くとすれば円高という材料が目につきます。トランプ政権としては初のG20ですから、これまでトランプ大統領が発言してきた方向性に沿った話が出る可能性は高いと見ておくべきです。であるならば、直近のドル円のもみあいレンジとなっている111円台半ばから115円台半ばのレンジ下限を試しに行くような動きには注意が必要です。
ドル円日足チャートをご覧ください。
ドル円日足
もみあいレンジをラインマーカーで示しましたが、現在は米国大統領選開票日の安値101.20とその後の高値118.66の38.2%押しがちょうど、このレンジ下限と重なっています。ここをしっかりと抜けて来ると、半値押しの109.93が視野に入ってきます。G20で一気にそこまでの円高は考えにくいものの、しばらくもみあいが続いているだけに意識しておきたい水準となります。
オーダー/ポジション状況
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