先週の回顧
先週のドル/円相場も、おおむねドル高・円安の展開。週末のNY市場でやや値を崩したものの、前週とあわせての上昇幅は一時4円近くにも達するなど、ドルの強さが目に付いた。
週初114円前後で取引を開始したあとの東京時間に113円半ばの安値を記録。しかし、そのレベルが1週間を通したドルの安値となり、以降はおおむねドル買い・円売りが優勢で、緩やかな右肩上がりをたどっている。
なかでも、週の半ば8日以降に上昇スビートを上げると、2月高値なども位置した上値の抵抗である115円レベルを突破、115円半ばまで一気に値を上げた。ちなみに、一連のドル高が始まったのは、2月28日の111.69円であるため、わずか2週間足らずで4円近いドル高が進行したことになる。
1週間を通してドルの買い材料となったのは、米金利情勢と、それを背景にした米国の雇用指標。後者については、8日に発表された2月のADP雇用統計が良好な内容となったことに続き、週末10日に発表された2月の雇用統計も非農業部門雇用者数は市場予想を上回る内容で、ドル買いの支援要因に。
しかし、2月の雇用統計については、非農業部門雇用者数が良好だった一方で、時間当たり平均賃金は逆に市場予想を下回り、失望を誘うと、ポジション調整の動きも加わり115円割れへ。結局、114.80円レベルと終日を通した安値圏でNYを大引け、越週となった。
今週の見通し
今週は、先週まで2週間続いたドル高・円安基調が継続するのかどうかを見極める展開が予想される。
14-15日に予定されているFOMCで米国が利上げに踏み切ると予想されることがドルの支援要因ではあるが、フェデラルファンド(FF)金利先物が織り込む3月の利上げ確率はすでに90%を超えている。つまり、よほどのことがないと、FOMCはむしろ「期待外れ」と捉えられかねない。
また、今週は前述したFOMC以外にも注目材料が目白押しだが、それら多くは「円買い」を支援する可能性を秘めていることも気掛かりだ。
実際に2つほど例を挙げると、ひとつは15日に実施され、16日に結果が判明すると思われるオランダ総選挙で、これは極右政党の自由党が大幅に議席を伸ばす公算が取り沙汰されている。もちろん、選挙結果はユーロ相場にもっとも影響を与えるが、その内容次第では「リスク回避」志向が強まり、クロス中心に円が買われる展開も否定できない。
もうひとつの気になる材料は、17-18日に実施されるG20財務相・中銀総裁会合だ。当初は、それほど大きな波乱はないと見られていたが、先週末10日、ブルームバーグは「ムニューシン米財務長官が(G20において)、他国の通貨安誘導を米国は容認しないとのメッセージを打ち出す計画」と報じ、俄かに警戒感が高まってきた感を否めない。こちらも動静如何ではマーケットの波乱要因となりかねず、是非とも注意を払いたい。
なお、そんな今週のドル/円予想レンジは、113.40-116.00円。基本的なリスクは引き続きドル高・円安方向にバイアスがかかるものの、週末のNYクローズで115円が維持できず、テクニカルにも完全な強気に転換したとはまだ言えない。むしろ、ドルの上値は重いイメージも残り、先週末高値の115円半ば、昨年12月高値からの下げ幅に対するフィボナッチ61.8%戻しにあたる116円レベルなどが抵抗となりそうだ。
対するドル安・円安方向は、113-114円台に日足・移動平均や一目均衡表のテクニカルポイントが多く、それらがサポートとして寄与するか。また、下抜けても週足の4週移動平均が位置する113.40円前後がかなり強いサポートになると予想している。(了)
オーダー/ポジション状況
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