先週の回顧
先週のドル/円相場は、おおむねドル高・円安の展開。週初112円台前半でオープン後、一時ドル安が進行する局面も見られたが底堅く、安値は111.70円程度まで。以降はドル買いが優勢となり、週末にかけては114.70円台まで値を上げ、若干値を下げた114円前後でNY市場を大引けている。
週明けこそ調整的な動きなども観測され、ドル売り・円買いの動きがやや優勢だったものの、米地区連銀総裁やFRB理事、それも「ハト派」と称される当局者から3月実施も否定しない早期の米利上げを示唆する発言が相次いだことを好感し、ジワリとドル買い優勢に。また、週内に発表される米経済指標が総じて良好であったうえ、NYダウを中心とした米株高などもドル買いを後押しした。
1日(日本時間)には、週間を通した最大の注目要因とされたトランプ米大統領の演説が実施されたものの、懸念された為替に関する言及がなかったこともドルの支援要因に。週末3日には、イエレンFRB議長から「経済が予想通り展開すれば3月利上げは適切」とのコメントが発せられると、ドルは114.75円の週間高値を一時記録している。
今週の見通し
今週は、ドルの戻りの強さを見極める展開が予想される。テクニカルには、2月高値に極めて近い115円レベルを超えてくことが出来るかどうかが、ひとつのポイントとなりそうだ。
前述したように、早期の米利上げ期待を背景としたドル買い安心感は根強いものの、さすがにかなりの部分が織り込まれつつあることは若干気掛かりか。金融市場には「バイ・ザ・ルーマー、セル・ザ・ファクト(噂で買って、事実で売る)」あるいは「知ったらしまい」−−などという格言があるように、ここから先、米金利動向だけでどこまでドルを買っていけるのか、疑問を抱く向きも徐々に多くなってきた感を否めない。
それほどポジションが偏っているとは思われないが、今後の米利上げペース加速警戒や過去最高値を一時付けた米株に対する過熱警戒などが高まるようだと、為替市場においても一転してリスク回避の円高が進行する可能性もある。
一方、材料的には注目材料が少なくないなか、「特に」となると5日から開催されている中国の全国人民代表大会(全人代=国会に相当)と、週末10日の米2月雇用統計を指摘しておきたい。
前者については、中国に対して、トランプ米政権から対米貿易黒字の削減圧力や為替操作批判コメントなども聞かれているだけに、どういった「落とし所」を示すのか、大いに注意を払いたい。対する後者は、3月の米利上げが規定路線するなか、それを後押しし、追加利上げについても期待を抱かせるような内容を示すのかどうかが注目されている。なお、一部エコノミストからは、冬季要因もあり、テクニカル要因で雇用統計が下振れとなるケースもある、との指摘も取り沙汰されており、失望を誘うようだと、一気に下値波乱をたどる危険性もないではないだろう。
なお、そんな今週のドル/円予想レンジは、113.00-115.20円。ドル高・円安方向については、週足・移動平均13週線のほか、2月高値なども位置する115円前後がかなり強い抵抗とみられ、攻防が注視されている。上値は重そうだが、しっかり抜けると、逆に底堅さを増し、115-118円といった具合に、レンジが切り上がる可能性も否定できない。
対するドル安・円安方向は、移動平均や一目均衡表などでサポートの多い113円台前半から半ばでは底堅いか。とは言え、底堅いゆえに、割り込んでしまうと112.25-30円に位置する月足・一目均衡表の基準線がターゲットとなりそうだ。(了)
オーダー/ポジション状況
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