ドル円:2月2日のファンダメンタル分析
テーマ:今年3回の利上げに向かうFRBに対し、日銀はどうするか。
昨日もNY朝方発表のADP全米雇用報告とISM米製造業景気指数は好調でした。
明日発表の1月米雇用統計も堅調な結果になり、米労働市場がほぼ完全雇用状態にある事の証左となるでしょう。
今市場が織り込んでいる様に、FRBは今年3回の米利上げに向かうでしょう。
ポイントは対する本邦日銀です。
今の日銀は、とりあえずの目標は物価上昇率を2%までもってくる事として今の日本経済を前提に行動をしています。それは当然なのですが、問題はその前提が多分恐らく変わってしまう事です。
グローバルな平和外交と経済発展を掲げていた前オバマ大統領の時代は終わり、今や米大統領はトランプ米大統領なのです。氏の掲げるものは米国第一主義、そのための施策は保護主義、具体策は米国内の雇用を増やし、米国産の商品を増やし、米国民がそれを消費するというモデルを目指しています。内需依存型の保護主義です。
日本も予てより外需依存の経済成長から、内需による経済成長をと目指してきていますが、まだ今のところは達成できていません。しかも興味深いデータがあるので見て頂きたいのですが
これらは財務省貿易統計からとったもので2015年の数字で、単位は100億円です。
日本の輸出先 1.米国 20.1% 1522 日本の輸入先 1.中国 24.8% 1942
7561 2.中国 17.5% 1322 7841 2.米国 10.3% 806
3.韓国 7.0% 533 3.豪州 5.4% 421
4.台湾 5.9% 447 4.韓国 4.1% 324
5.香港 5.6% 424 5.サウジ 3.9% 304
* EU全体 10.6% 799 * EU全体 11.0% 862
ドイツ 2.6% 196 ドイツ 2.1% 245
何を言いたいかというと、トランプ米大統領の元で、もし米国が完全に保護主義となった場合、
1. 米国は海外から物を買わない。米国からの製品輸出をしたとしても、輸入はしなくなる。
2. 輸入をもししたとしても20〜35%の高関税率をかけてくる。
と想定されます。
そうなった場合、自由貿易を謳歌してきた日本経済は一気に立ち行かなくなります。
上記の対米輸出の15.2兆円を失う訳ですから、それは日本経済にとり致命的な、壊滅的な打撃となると想定されます。日本にとって、米国経済とはそれだけの意味を持つものだと認識すべきで、今のトランプ米大統領の言っている事、やろうとしている事はそういう事なのだと認識すべきです。
その様な国家存亡の危機の際しては日銀のみならず政府も出動ですが、最悪の事態に備えて、もっと日銀は、トランプ政権をどのように位置づけ、どういうアクションプランを用意しているかを説明すべきと考えます。
同時に市場参加者としてもそのリスクを想定しておくべきで、実際にそうはならなくてもいつか市場がその織り込みをしてくるかもしれないというリスクも想定しておくべきでしょう。
兎に角、トランプ・リスクはとんでもなく厄介なもので、結果その先行きが見えてくるまで、きっと2018年中間選挙までの本年来年は、ドル円は上抜けも下抜けもできないでしょう。
ドル円:2月2日のテクニカル分析
ポイント:昨夜一時113.95まで上昇、31日には11月30日以来の112.07まで下落しました。
今回のFOMC は予想通り0.50−0.75%で据え置きで、先程発表の声明文も予想通りで米景気判断は前向きでした。
ただ、市場の一部には次回3月のFOMCでの利上げを期待していた向きもあったものの、その点に関しての記述が無かった事で失望から、発表後一時112.83まで下押ししましたが、すぐに113台へ買い戻され、113.20台でNYを引けています。
CMEのFedwtchによれば
3月ミーテイングでの利上げ期待は 21.0% ⇒ 17.7%
5月以降の利上げ期待は 37.9% ⇒ 38.8%
6月以降の利上げ期待は 69.4% ⇒ 69.9%
7月以降の利上げ期待は 74.7% ⇒ 75.9%
9月以降の利上げ期待は 81.6% ⇒ 82.4%
これで解る様に3月への期待値は下がり、5月以降は上がっています。特に市場の多くは6月と9月への織り込みが高いですね。
そして相場の見方なのですが、昨日の高値は113.50で30日に続き114台を回復できませんでした。出来ないどころか、31日高値の113.96までにも達しませんでした。
昨日安値は112.66で、これも31日安値の112.07に達していません。
昨日、日経平均は前日比106円高、欧米株式も総じて高く、NYダウは前日比26ドル超高です。連発されるトランプ米大統領の大統領令による懸念から、いつリスクオフの流れになるかも知れ無いという懸念から、底固いものの円売りの勢いも限定的です。
テクニカルには、日足の一目均衡表・転換線が113.85まで下げてきていますが、今だ割り込んんだままで、足元は下向きです。本日もこの転換線を抵抗と考え、同線を背後に戻り売り優先、もし上抜けてくる場合には買戻しで行きたいと思います。
上値方向を目指すには
1. 先ずは114台の回復が必要です。そして115台の回復です。
2. 低下中の115.34に位置する日足の一目均衡表・基準線を超えてくれば、一段の高値更新の可能性が見えてきます。
兎に角、転換線を下回っている限りは、安値模索の動きの中にあると判断します。
その場合の下値目途の見方は変わらずで、
1.112.50水準をしっかり下抜けて来るかが引き続き重要なポイントです。
2.そして112.00、ここは昨年11月の101.20から118.60までの上昇の38.2%下押しに当たる水準です。
3.同線を下抜けた場合、予想される最大限の下値押しは109.94です。ここは50%下押しの水準です。
ただ、先週も述べた通り、今年は年間で見るとレンジとなり、年初来安値の112.52と、年初来高値の118.60を意識して、112〜118、もしくはやや広げての110〜120と想定します。
今日のレンジは、112.50~114.00と見ます。
オーダー/ポジション状況
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