FOMCと日銀利上げ見送りによる急伸後の調整安消化で上昇再開
〇昨日のドル円、重要イベント通過による調整安から持ち直しに入り、未明に157.26まで戻す
〇日銀利上げ観測後退、米長期債利回り上昇基調継続、米政府閉鎖回避がドル円のプラス要因に
〇昨夜の米指標は強弱まちまち、クリスマスを控えて市場の反応鈍い
〇米10年債利回りは7か月振り高水準へ上昇、NYダウは10日続落後の3連騰
〇157.92超えからは158円台前半への上昇を想定
〇156.50割れから続落の場合は12/21未明安値155.95試しとする
【概況】
ドル円は19日早朝のFOMCが市場予想通りに0.25%利下げを決定した上で2025年の利下げ想定回数を9月時点の4回から2回へ半減したことによる米長期債利回りの上昇と、日銀の利上げ見送りによる円売りで20日午前高値157.92円へ急上昇し、18日未明安値153.11円からの上昇幅を4.81円としたが、米長期債利回りが急騰後の修正で低下し、重要イベント通過による持ち高調整売りも重なったために21日未明安値155.95円まで反落し、20日午前高値からの下げ幅を1.97円として直前上昇幅の凡そ4割を削った。
週明けの23日は持ち直しに入り、夜の米経済指標は強弱まちまちでクリスマス休暇を控えて反応も鈍かったが、米長期債利回りが上昇を再開したことで24日未明に157.26円まで戻し、21日未明への下げ幅に対して凡そ3分の2を解消した。24日午前序盤にかけては157円台序盤中心で推移としている。
日銀植田総裁が利上げ判断についてトランプ次期政権の動向や春闘を見たいとしたことで日銀の1月利上げも可能性が大きく後退したと市場は見ており、米長期債利回りの上昇基調が続いているため、年末から年明けにかけては円安優勢の流れで推移しやすいと思われる。
つなぎ予算案延長を巡る混乱で米政府閉鎖問題が取り沙汰されていたが、バイデン大統領が21日につなぎ予算を来年3月半ばまで延長する法案に署名して政府閉鎖が回避されたこともドル円にはプラス要因だった。
【米経済指標は強弱まちまち】
12月23日夜の米経済指標は強弱まちまち、クリスマスを控えて市場の反応も鈍かった。
米商務省による11月耐久財受注は前月比1.1%減で10月の0.8%増から悪化して市場予想の0.4%減も大幅に下回ったが、設備投資の先行指標である航空機除く非国防資本財受注は0.7%増だった。
米コンファレンス・ボードによる12月消費者景気信頼感指数は104.7となり11月の112.8から大幅に悪化して市場予想の113を下回った。現況指数は11月の141.4から140.2へ悪化、期待指数は11月の93.7から81.1へ悪化した。
米商務省による11月新築一戸建て住宅販売件数(年換算)は前月比5.9%増の66万4000戸となり10月の62万7000戸から拡大し、前年同月比は8.7%増だった。
【米10年債利回りは7か月振り高水準へ上昇、NYダウは10日続落後の3連騰】
12月23日の米長期債利回りは総じて上昇した。19日早朝のFOMCが2025年の利下げ想定回数を2回、2026年も2回として大幅なペースダウンを示したことと、トランプ次期政権発足後の高関税や大型減税等によるインフレ債券への懸念が長期債利回りの上昇を勢い付かせたが、23日も騰勢を維持している。
長期金利指標の10年債利回りは先週末比0.06%上昇の4.59%となり12月6日の4.13%及び9月17日の3.60%以降の最高を更新、一時4.599%をつけて7か月振り高水準とした。
30年債利回りも先週末比0.06%上昇の4.78%とし、一時4.785%をつけて12月6日の4.30%及び9月17日の3.90%以降の最高を更新した。
2年債利回りも先週末比0.03%上昇の4.34%とし、FOMC後に4.37%へ急伸した後は高値更新へ進めずにいるものの高止まりの様相としている。
米財務省は23日に2年債入札(690億ドル)を実施した。24日は5年債(700億ドル)、26日に7年債(440億ドル)の入札が予定されている。
一方で米主要株価指数は上昇、NYダウは12月5日から18日まで10営業日続落して18日は前日比1123.03ドル安の大幅下落だったが、FOMC通過後は買い戻されて19日の15.37ドル高、20日の498.02ドル高から23日も66.69ドル高と3連騰した。ナスダック総合指数も20日の199.83ポイント高から23日に192.29ポイント高と連騰して上昇再開感を示し、S&P500指数も20日の63.77ポイント高から23日に43.22ポイント高と連騰した。
米長期債利回り上昇と米国株高はドル円の押し上げ要因となる。
【60分足、サイクル・一目均衡表分析】
ドル円は12月20日午前高値157.92円から反落したが、21日未明安値155.95円を目先の底として上昇を再開している。20日午前高値を基準として目先の高値形成期を25日午前から27日午前にかけての間と想定するが、156.50円割れからは弱気転換注意として21日早朝安値試しとし、底割れからは下落継続とみて26日未明から28日未明にかけての間への下落を想定する。
60分足の一目均衡表では23日夜への上昇で遅行スパンが好転して先行スパンも上抜き返し、その後も両スパン揃っての好転が続いているので遅行スパン好転中は高値試し優先とする。先行スパンからの転落を回避する内は遅行スパンが一時的に悪化してもその後に好転するところから上昇再開とするが、先行スパンから転落の場合はさらに下落継続とみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。
60分足の相対力指数は21日未明への下落で30ポイントに迫ってから反騰入りし、23日夜に60ポイントを超えた後も60ポイント前後で確りしている。50ポイントを上回るうちは上昇余地ありとするが、70ポイント以上は反落注意とし、50ポイント割れからは下落期入りとみて30ポイント台への低下を想定する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、156.50円を下値支持線、20日午前高値157.92円を上値抵抗線とする。
(2)156.50円を上回るか一時的に割り込んでも回復する内は一段高余地ありとし、157.92円超えからは158円台前半への上昇を想定する。158円台到達ではいったん売られやすいとみるが、156.50円を上回っての推移か直前高値から1円を大きく超える反落が発生しないうちは25日も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)156.50円割れから続落の場合は21日未明安値155.95円試しとする。156.50円割れからの反騰で157円台を回復する場合は上昇再開とするが、156.50円以下での推移が続く場合は25日も安値試しへ向かいやすいとみる。
【当面の予定】
12/24(火)
休場 ノルウェー、スイス、ドイツ、メキシコ、ブラジル、フィリピン、南ア
米国は株式・債券市場で短縮取引
短縮取引 NZ、豪、香港、シンガポール、英、仏
24:00 (米) 12月 リッチモンド連銀製造業指数 (11月 -14)
12/25(水)
休場 ノルウェー、メキシコ、豪、NZ、シンガポール、香港
休場 米、英、仏、独、スイス、南ア、加
未 定 (日) 植田日銀総裁、経団連審議員会で講演
08:50 (日) 11月 企業向けサービス価格指数 前年同月比 (10月 2.9%、予想 3.0%)
14:00 (日) 10月 景気一致指数CI改定値 (速報 116.5)
14:00 (日) 10月 景気先行指数CI改定値 (速報 108.6)
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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