6連騰で154円台に到達、日銀利上げ見送り公算での円安続く
〇昨日のドル円、深夜に(訂正×154.26→〇154.48)をつけた後、154円割れも買われ一段高状態を維持
〇昨日発表のNY製造業景況指数は大幅悪化、PIMサービスは上昇、ドル円の反応は鈍い
〇今週の政策金利発表、FOMC来年の利下げペース、日銀来年1月以降の追加利上げ姿勢に要注目
〇ドイツをはじめ各国の政治情勢不透明感
〇154.47超えからは155円を目指す上昇を想定
〇153.44割れからは153円前後への下落を想定
【概況】
ドル円は12月9日から13日まで5連騰とし、153.79円まで高値を伸ばして153.65円で先週を終えていたが、週明けも続騰となり深夜に(訂正×154.26→〇154.48)円を付けて12月3日安値148.64円以降の高値を更新、その後の154円割れも買われて一段高状態を維持して6連騰とした。
16日夜の米経済指標はまちまちで、NY連銀の12月製造業景況指数は0.2となり11月の31.2から大幅に悪化して市場予想の10.0も下回ったが、S&Pグローバルの12月PMIは製造業が11月の49.7から48.3へ悪化して3か月振り低水準となったものの、サービス業は11月の56.1から58.5へ上昇して市場予想の55.7も上回り3年2か月振りの高水準となった。米長期債利回りはNY連銀統計でいったん低下してからS&Pグローバル統計で上昇し、ドル円はそれ以前からの上昇を継続していたために影響は鈍かった。
【FOMC、日銀会合待ち】
米FOMC(12月17-18日開催、日本時間19日早朝に声明発表、パウエルFRB議長会見)では0.25%の追加利下げを決定した上で2025年の利下げ想定回数を9月時点の4回から2回ないし3回へ減らして利下げペースを緩やかにするとの見方を背景に、米10年債利回りは9日から13日まで5連騰とし、16日は先週末から横ばいで高止まりしており、米10年債利回り動向とほぼ正相関で推移しているドル円を下支えている。
日銀金融政策決定会合(12月18-19日開催、19日昼頃声明発表、午後に植田総裁会見)では追加利上げが見送られる公算であり、1月以降の利上げへ前のめり姿勢がみられる場合は円高がぶり返す可能性があるものの、追加利上げへの慎重姿勢が示されれば年末にかけて円安基調が続きやすいとの見方もある。
【各国の政治情勢不透明感】
ドイツ連邦議会は16日にショルツ首相の信任投票を否決、不信任としたため、来年2月に総選挙が行われる。
フランスは不信任決議で内閣が総辞職して13日にバイル内閣が発足したが、大手格付け会社ムーディーズ・レーティングスはフランスの信用格付けを従来の「Aa2」から「Aa3」に引き下げた。
カナダのフリーランド財務相はトランプ関税への対応でトルドー首相と対立して辞任した。
韓国は大統領弾劾決議が成立したが、「非常戒厳共助捜査本部」は16日に内乱と職権乱用の疑いでについて尹氏を事情聴取するために18日に出頭するよう要請すると報じられている。
トランプ次期政権発足へ向けて各国が対応に追われて先行き不透明感が強まっている。ドル円は韓国の戒厳令騒動で12月3日深夜に148.64円まで大幅下落した後は持ち直しているため、前述の状況に対して大きな影響を受けていないものの、トランプ政権発足後はリスク回避的な円高圧力が増す可能性もあると注意したい。
【米長期債利回りは概ね横ばい、NYダウが8日続落の一方でナスダックが最高値更新で明暗】
12月16日の米長期債利回りは、NY連銀の景況指数悪化で一時低下したものの、S&Pグローバルのサービス業PMIが強かったことで上昇したが、概ねFOMC前の様子見で小動きだった。
長期金利指標の10年債利回りは13日まで5連騰したが、16日は先週末と同じ4.40%だったが、一時4.41%をつけて12月6日の4.13%以降の高値を更新した。30年債利回りも先週末と変わらずの4.60%だったが、一時4.625%をつけて12月6日の4.30%以降の最高とした。政策金利動向にやや敏感な2年債利回りは先週末比0.01%上昇の4.26%として12月6日からの連騰を6日に伸ばした。
一方で米主要株価指数は明暗が分かれ、NYダウは先週末比110.58ドル安と下落して8営業日続落に終わったが、ナスダック総合指数は247.17ポイント高で先週末からの連騰として取引時間中及び終値の史上最高値を更新、S&P500指数は22.99ポイント高と3日ぶりに反発したが最高値更新には至らず6000ドル台序盤での持ち合いを続けている。
NYダウは10月後半の下落時に近い動きだが、FOMCを通過して反騰入りから一段高へ進めるか、ナスダックはさらに続伸できるか試されるところだ。米主要3指数が揃って上昇すれば日経平均への上昇を招いてドル円も上昇を続けやすくなると思われる。
【60分足、サイクル・一目均衡表分析】
ドル円は12月11日夕刻の乱高下から152円割れを買われる持ち合いに入り、13日に持ち合いを上放れたため、持ち合い終点の12日夜安値を起点として上昇期に入ったと思われる。目先の高値形成期は16日深夜高値を含めて17日深夜にかけての間と想定されるが、FOMCと日銀会合を通過してさらに続騰してゆく可能性もあるとみる。目先の下値支持線は16日夕反落時安値153.62円とし、16日夕安値割れからはいったん仕切り直しの下げに入るとみて17日夜から19日夜にかけての間への下落を想定する。
60分足の一目均衡表では13日に11日夜高値を超えて一段高に入り、遅行スパンの好転と先行スパンを上回る状況を維持しているので遅行スパン好転中は高値試し優先とする。先行スパンを上回るうちは遅行スパンが一時的に悪化してもその後に好転するところから上昇再開とするが、先行スパンへ潜り込む場合はその下限を試す可能性もあるとみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。
60分足の相対力指数は16日深夜に70ポイントを超えたところから低下して60ポイント近辺に付けている。13日夜からは指数のピークがやや切り下がっているため、50ポイント台を維持する内は65ポイント超えから上昇再開とするが、50ポイント割れからはいったん仕切り直しとして40ポイント前後への低下を想定する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、12月16日夕安値153.44円を下値支持線、16日深夜高値154.47円を上値抵抗線とする。
(2)153.44円を上回るうちは一段高余地ありとし、154.47円超えからは155円を目指す上昇を想定する。155円前後は反落警戒とするが、154円を上回っての推移なら18日も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)154円割れから続落の場合は下向きとし、153.44円割れからは153円前後への下落を想定する。153円前後は買われやすいとみるが、153.44円を割り込んでの推移なら18日も安値試しへ向かいやすいとみる。
引き続き、来週の日銀会合へ向けた関係者発言等の報道で乱調な展開に入る可能性もあると注意したい。
【当面の予定】
12/17(火)
米連邦公開市場委員会(FOMC)初日
16:00 (英) 10月 失業率・ILO方式 (9月 4.3%、予想 4.3%)
18:00 (独) 12月 IFO企業景況感指数 (11月 85.7、予想 85.6)
19:00 (独) 12月 ZEW景況感・期待指数 (11月 7.4、予想 6.5)
19:00 (欧) 10月 貿易収支・季調済 (9月 136億ユーロ、予想 116億ユーロ)
22:30 (米) 11月 小売売上高 前月比 (10月 0.4%、予想 0.5%)
22:30 (米) 11月 小売売上高・除自動車 前月比 (10月 0.1%、予想 0.4%)
23:15 (米) 11月 鉱工業生産 前月比 (10月 -0.3%、予想 0.3%)
23:15 (米) 11月 設備稼働率 (10月 77.1%、予想 77.3%)
24:00 (米) 10月 企業在庫 前月比 (9月 0.1%、予想 0.1%)
24:00 (米) 12月 NAHB住宅市場指数 (11月 46、予想 47)
12/18(水)
日銀金融政策決定会合初日
06:45 (NZ) 7-9月期 経常収支 (4‐6月 -48.26億NZドル、予想 -104.00億NZドル)
08:50 (日) 11月 通関・貿易収支・季調前 (10月 -4612億円、予想 -6888億円)
08:50 (日) 11月 通関・貿易収支・季調済 (10月 -3577億円、予想 -4400億円)
16:00 (英) 11月 CPI(消費者物価指数) 前月比 (10月 0.6%、予想 0.1%)
16:00 (英) 11月 CPI(消費者物価指数) 前年同月比 (10月 2.3%、予想 2.6%)
16:00 (英) 11月 コアCPI(食品エネルギー等除く) 前年同月比 (10月 3.3%、予想 3.6%)
16:00 (英) 11月 RPI(小売物価指数) 前年同月比 (10月 3.4%、予想 3.7%)
19:00 (欧) 11月 HICP(調和消費者物価指数)・改定値 前年同月比 (速報 2.3%、予想 2.3%)
19:00 (欧) 11月 コアHICP(食品エネルギー等除く) 前年同月比 (速報 2.7%、予想 2.7%)
22:30 (米) 7-9月期 経常収支 (4-6月 -2668億ドル、予想 -2871億ドル)
22:30 (米) 11月 住宅着工件数・年率換算 (10月 131.1万件、予想 134.5万件)
22:30 (米) 11月 住宅着工件数 前月比 (10月 -3.1%、予想 2.6%)
22:30 (米) 11月 住宅着工許可件数・年率換算 (10月 141.6万件、予想 143.0万件)
22:30 (米) 11月 住宅着工許可件数 前月比 (10月 -0.6%、予想 1.0%)
24:30 (米) エネルギー省EIA週間石油在庫
28:00 (米) 米連邦公開市場委員会(FOMC) 政策金利 (現行 4.50-4.75%、予想 4.25-4.50%)
28:30 (米) パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長、会見
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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