ドル円 日米金融政策に注目、思惑交錯し荒い値動きも(週報12月第3週)

先週のドル/円相場はドルが大幅高。週末には153.80円と、11月26日以来の高値を示現している。

ドル円 日米金融政策に注目、思惑交錯し荒い値動きも(週報12月第3週)

日米金融政策に注目、思惑交錯し荒い値動きも

〇先週のドル円、週間安値149.69示現後は緩やかな右肩上がり、週末には153円台後半へ
〇12月日銀利上げ見送り観測が円の売り要因に
〇テクニカルに基本的なリスクはドル高方向、一時的なドル下押しにも一応要注意
〇今週は日米政策金利発表、米11月小売売上高、PCEデフレーター等の発表予定
〇ドル高・円安方向、先週高値153.80が最初の抵抗
〇ドル安・円高方向、これまで抵抗として寄与していた152.80レベルの攻防に注目
〇今週のドル円予想レンジ:152.00-155.50

<< 先週の回顧 >>

先週のドル/円相場はドルが大幅高。週末には153.80円と、11月26日以来の高値を示現している。

前週末に実施された、韓国の尹大統領の弾劾訴追案は「不成立」との結果に。一方、シリアにおいて反体制派が首都を進攻し、アサド大統領が国外逃亡を図るなど政権が崩壊したと伝えられていた。
そうした状況下、ドル/円は149.80円レベルで寄り付いたのち、週間安値の149.69円を示現。しかし、安値追いはそこまでで、以降は週末にかけて緩やかな右肩上がりの展開だった。テクニカルに重要な移動平均の200日線や21日線などを次々に上抜ける動きのなか、週末には半月ぶりの153円台後半へ。週末NYは、そのままドルの高値圏153.60-65円で取引を終え、越週となっている。

一方、週間を通して注視されていた材料は、「韓国情勢」と「日米金融政策」について。
前者は、前述したように、前週末7日実施された尹大統領の弾劾訴追案が「不成立」に終わる。目先の危機は乗り越えた感もあったが、最大野党は「弾劾案をこのあと再提出する」との考えを示しており、そののち実際に弾劾案が再提出された。こちらはこの週末14日に判断が下され、今度は造反議員なども出たため韓国国会にて可決されている。なお、先の弾劾とは別に、「韓国与党が来年2-3月の尹大統領退陣案を検討」、「韓国検察が金前国防相を逮捕」、「捜査本部が警察庁長官とソウル警察トップを内乱容疑で拘束」−−など1週間を通して政治絡みの騒動が次々取り沙汰されていた。また、そんな政治情勢を受け、崔企画財政相から「景気の下振れリスクが強まりつつある」との警戒感が示さるなど、景気や社会情勢への波及的悪影響も懸念されていたようだ。

対して後者は、11日に報じられたブルームバーグの「日銀、追加利上げを急ぐ状況にはないと認識」を受け、12月の日銀利上げ観測が急速に萎んだ。為替市場においては円の売り要因に。そののち発表された12月の日銀短観を受けて「追加利上げ観測」がわずかながら再燃したものの、引き続き大勢としては「見送り」との見方が優勢であるようだ。実際、14日付の日経新聞も「12月の利上げ見送り」などと報じている。一方、米国は11日に発表された注目の米消費者物価指数が予想通りの結果でまさかの無風。しかし、翌12日に発表された米生産者物価指数の伸びが予想を上回り、こちらは「利下げペースが鈍化する」との見方を後押ししていたという。結果、日米金利差は簡単に縮まらない、といった見方が有力だ。

<< 今週の見通し >>

先週のドル/円相場はドルが堅調裡。週末には半月ぶりの高値153.80円を示現している。テクニカルには移動平均の200日線に続き21日線もしっかりと上抜けたうえ、チャートを見ると短期的にはその両ラインが今度はサポートとして寄与しているようだ。ドルの下値はかなり底堅そう。一方、フィボナッチで見た場合でも、11月高値156.76円を起点とした短期下げ幅に対する半値戻し(152.70円)に続き、61.8%戻し(153.65円)も先週末に超えてきた。次なるポイントは76.4%戻しの154.85円に。
市場の関心を集める12月の日米金融政策について、また不安定要素はあるものの、先でも触れたように「日本は利上げ見送り」、「米国は利下げ実施」との見方が現段階では有力だ。しかし、日本はともかく米国については、まだ若干予断を許さない面があるうえ、来年1月以降の利下げ休止観測が打ち出されることを懸念する声も聞かれていた。後者が確かであるならば、FRBは利下げに踏み切っても、為替市場はドル高に振れる可能性もある。また、それとは別に尹大統領の弾劾が決定した韓国政治情勢や、シリア情勢などにも引き続き注意を払いたい。

テクニカルに見た場合、ドル/円相場は上方向の展望が広がった感があり、基本的なリスクはドル高方向。155円に向けた値動きが期待されている。
しかし、先週だけで4円を超える上昇で、また155円というレベルは日本当局から円安けん制発言が聞かれてもおかしくはない水準だ。それからすると、先週のような右肩上がりのドル高進行も予想しにくいだけでなく、むしろ場合によってはポジション調整の動きに押される懸念もある。一時的なドル下押しにも一応要注意。

そうしたなか今週は、11月の小売売上高や同PCEデフレーターなどの米経済指標が発表される予定だ。また週明け16日には中国の経済指標がまとめて発表される予定となっている。しかし、やはり週間を通した注目材料は、日米中銀による政策金利発表だろう。薄商いのなか発表前後はかなり荒っぽい変動も。

そんな今週のドル/円予想レンジは、152.00-155.50円。ドル高・円安については、先週高値153.80円が最初の抵抗。抜ければフィボナッチポイント154.85円、そして155円が名実とも視界内に。
対してドル安・円高方向は、これまで抵抗として寄与していた152.80円レベルの攻防に注目。割り込むようだと21日線や200日線が位置する152円前半を目指す展開か。

日米金融政策に注目、思惑交錯し荒い値動きも

ドル円日足


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