次週FOMCを前にもみあいとなるも、上値は重い
〇先週のドル円、安値148.65レベル・高値151.23レベルと週初2日間で週間レンジを見る
〇半値が149.93と、ほぼ150円の大台が水準的にも落ち着きやすい水準に
〇金曜の米雇用統計、強い数字にも関わらず円高に振れるやや不自然な動き、何かの予兆であることも
〇次期トランプ政権で人民元安とともに円安牽制する政策があり得るのが一つの可能性か
〇雇用統計後の不自然な動きをある程度重視し、上がったところでのドル売りを考えることに
〇今週も、前週と同じ148.50レベルをサポート、150.80レベルをレジスタンスとする流れを見る
今週の週間見通し
先週のドル円は月曜NY市場の韓国戒厳令のニュースで円高に振れたもののすぐに解除されたこと、そして火曜はその反動も大きく円安に振れと、週初2日間で週間レンジを見ることとなりました。安値148.65レベルと高値151.23レベルの半値が149.93とほぼ150円の大台と重なることで150円の大台が水準的にも落ち着きやすい水準であると思わせた一週間だったと言えます。
しかし、金曜の米国雇用統計後の動きはやや不自然で全般に強い数字であったにも関わらず円高に振れる動きを見せました。後講釈ではイベント通過で12月FOMCでの利下げが確実となり(織り込み度は85%へ上昇)米金利が低下、ドルが売られたという説明になっていますが、雇用統計後の動きはドル安というよりも円高です。実際にユーロ円が下げた動きでユーロドルではドルが上昇していました。
この経済指標の動きと明らかに異なる動きをしたという今回の雇用統計後の動きは何かの予兆である可能性もあります。後講釈解説を否定する必要も無いのですが、ちょうどyoutube liveをしていたこともあり、リアルタイムで見ていた3人とも何で下げるのという印象を持ちました。ひょっとしたら、ドル円で上がったところではドルを着実に売らなければならない実需があるとか、あるいは今後何か出てくるニュースを知っている向きが売ったとか、現時点でははっきりしない情報があるのかもしれません。このような明らかに不自然な動きをした場合には、しばらくはニュース等に注意を払う必要があるでしょう。ひとつ可能性をあげるとすると次期トランプ政権では人民元安とともに円安を牽制するような政策が取られるといったようなことがあり得ます。
そして、韓国の戒厳令も何故今という謎が残りますが、大統領周辺人物によるクーデーター的な動きであった可能性もあるかもしれませんし、軍が野党の国会内へ入る動きを止めなかったということから軍による反対があったのか、と考え始めるとどのようなこともあり得るという感じがしないでもありません。今後大統領は政治には参加せず、検察は内乱の疑いで捜査を進めているとのことで、例によって韓国大統領の最後はいつもこうなってしまうというのも不思議なものです。
さて、今週は目立った経済指標は米国CPI程度でブラックアウト期間に入っているため、FRB関係者の発言もありません。12月FOMCは0.25%利下げがコンセンサスとなっている今の地合いを崩すような流れは無さそうです。そうなると、ドル円は雇用統計後の不自然な動きをある程度重視して、上がったところでのドル売りを考えることとなりそうです。ECB理事会についてはユーロ週報のほうでまとめます。
テクニカルにはいつもの日足チャートをご覧ください。
11月高値が中期的な高値となり9月安値と11月高値との38.2%押し150.18を下抜けしたことで半値押し148.15を視野に入れる展開となっているのは先週と変わりません。先週週初に振れる動きも見られましたが、その後は150円台半ばで着実に上値が重くなってきています。
今週も前週に続き148.50レベルをサポートに150.80レベルをレジスタンスとする流れを見ておきます。
このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。
また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。
今週の予定(時刻表示のあるものは日本時間)
今週注目される経済指標と予定をあげてあります。影響が少ないものはあえて省いています。FRB地区連銀総裁講演の内、2024年FOMCメンバー(ニューヨーク、クリーブランド、リッチモンド、アトランタ、サンフランシスコ)ではない地区連銀総裁はカッコ付で示しました。また、わかりやすさ優先であえて正式呼称で表記していない場合もあります。特に重要度の高いイベントに☆印を付けました。
12月9日(月)
08:50 本邦7〜9月期GDP改定値
08:50 本邦10月貿易収支
10:30 中国11月CPI・PPI
24:00 米国10月卸売売上高
12月10日(火)
12:30 豪中銀政策金利発表
16:00 ドイツ11月CPI
22:30 米国7〜9月期非農業部門労働生産性改定値
12月11日(水)
22:30 米国11月CPI ☆
23:45 カナダ中銀政策金利発表
24:30 週間原油在庫統計
12月12日(木)
09:01 英国11月住宅価格
17:30 スイス中銀政策金利発表
22:15 ECB理事会 ☆
22:30 米国11月PPI
22:30 米国新規失業保険申請数
22:45 ラガルドECB総裁会見 ☆
12月13日(金)
08:50 日銀短観 ☆
09:01 英国12月消費者信頼感
16:00 ドイツ10月貿易収支
16:00 英国10月貿易収支、鉱工業生産
16:45 フランスCPI
前週の主要レート(週間レンジ)
(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。
為替の高値・安値は東京午前9時ーNY午後5時のインターバンクレート。
先週の概況
12月2日(月)
週明けのドル円は米金利が週末に比べて週明けに高い水準となっていたことからドル買いが先行、東京前場に150.75レベルの高値をつけました。しかし、150円台から半ばから上では戻り売りを考える向きが多く昼以降はじり安の動きとなり、NY昼前には149.07レベルと先週安値を下回り、引けにかけてはやや戻す動きとなりました
12月3日(火)
ドル円は朝方から大幅高となった日経平均株価とともに買いが先行しましたが150円台では戻り売りを考える向きが多く高値150.23レベルで折り返し東京朝方の水準でNY市場入り。NY市場に入ってすぐ韓国大統領が戒厳令を宣言したことによるリスクオフが円買いの動きとなり、148.64レベルまで円高が進みました。その後、国会が戒厳令解除を決議、大統領も解除したことでNY朝方の水準に戻して引けました。
12月4日(水)
ドル円は韓国情勢が落ち着いたことから底堅いスタートとなり、米金利上昇の動きに加え12月日銀会合では現状維持との一部報道も加わってNY市場が始まる前には151円台前半まで買い戻しが進みました。しかし、弱いISMの数字に反応し米金利が反転下落、東京市場の水準も下回ったことで150円の大台を一時的に割り込みましたが、押し目買いも根強く引けにかけては150円台半ばへと戻しました。
12月5日(木)
ドル円は150円の大台をもみあいの中心として上下に方向感がはっきりしない横方向の動きが続きました。最近の材料がある程度消化され、次は米国雇用統計の結果を見て反応したいという様子見姿勢となっていました。
12月6日(金)
ドル円は米国雇用統計を前に東京市場では動かず、欧州市場では米金利上昇を材料に前日NY市場での下げに対する調整が入り150.70レベルの高値をつけ、そのまま高値圏で指標待ちとなりました。雇用統計の数字は全般に強い数字だったもののドル売りで反応、149.36レベルの安値をつけました。米金利市場も一時的な上昇はあったもののすぐに下げに転じ、イベント通過で12月FOMCでの利下げが確定的になったとの見方から金利低下、ドル売りとなったとの説明がされましたが、リアルタイムで見ていた感触では何故こんなに下げるの?というのが正直な印象でした。
注:ポイント要約は編集部
ディスクレーマー
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オーダー/ポジション状況
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