ドル円 売られ過ぎだが、リスクはドル安方向に(週報12月第1週)

先週のドル/円相場はドルが大幅安。週間高値から同安値まで、1週間でドルは5円を超える下落をたどっていた。

ドル円 売られ過ぎだが、リスクはドル安方向に(週報12月第1週)

売られ過ぎだが、リスクはドル安方向に

〇先週のドル円、週間高値154.73を示現後はほぼ右肩下がり、149円半ばまで値を下げ越週
〇指標結果を受けた日銀12月利上げ観測の高まり、週末の植田総裁発言が円を支援
〇トランプ次期政権人事、追加関税等が一時市場波乱要因に
〇今週は米11月ISM製造業景況指数、雇用統計に要注目
〇ドル高・円安方向、200日線が近くに位置する152円がかなり強い抵抗
〇ドル安・円高方向、先週安値149.47と一目の雲上限をめぐる攻防にまずは注目
〇今週のドル円予想レンジ:148.00-152.00

<< 先週の回顧 >>

先週のドル/円相場はドルが大幅安。週間高値から同安値まで、1週間でドルは5円を超える下落をたどっていた。

前週末は、決定せず延び延びになっていた米財務長官人事がようやく決着。投資家のベッセント氏が指名されている。一方、イランが英仏独と11月29日に次官級の核協議を実施することを明らかにし、思惑を呼んでいたようだ。
そうした状況下、ドル/円は上方向にギャップを空ける格好で154円半ばで寄り付き。しかし下値は堅く当初は、窓埋めが先行する展開となった。週間高値の154.73円を示現している。ただ、高値を付けたのちは本格的なドル安が到来。底堅さを醸していた153円半ばを下回ると、その勢いのまま一気に150円割れまで右肩下がりの展開に。結局149円半ばまで値を下げ、週末NYもそのまま149円台、ドル安値圏で推移し取引を終えている。

一方、週間を通して注視されていた材料は、「トランプ次期政権」と「中東情勢」について。
前者は、人選が遅々として進まずやきもきしたトランプ次期政権の財務長官人事だったが、前述したようにようやくヘッジファンドなどを運営する投資家のベッセント氏が指名され、一応の決着をみた。そんなベッセント氏、トランプ氏には「規制緩和によりGDP3%成長を実現」−−など、いわゆる「3-3-3政策追及」を助言したとされ、市場で思惑を呼んでいたようだ。それも含め、今後の仕事ぶりが注目されていることは間違いない。一方、それとは別にトランプ氏が「中国製品に10%の追加関税を課す」方針を示したほか、「メキシコ・カナダからの全品目に25%関税を課す」としたことが物議を醸し、為替市場においても一時波乱要因になっていた。

対して後者は、週明け25日にネットメディアのアクシオスが「イスラエル、レバノン停戦案で合意か」と報じ思惑を呼んだが、それがそのまま現実のものに。バイデン米大統領が「イスラエルとヒズボラの停戦は現地時間27日午前4時から発効する」と明らかにしたうえで、「停戦は60日間」と発表していた。こうした状況をもちろん歓迎する向きが大多数ながら、ロイターが「イスラエル、停戦発表後にレバノン北部の検問所を空爆」と報道。それも2日続けて実行されていたようだ。またヒズボラは停戦発効後、初の声明で、イスラエルへの抵抗運動を今後も続けると強調。さらに、イスラエルもネタニヤフ首相が地元メディアに対し、恒久的な停戦については否定的な考えを示したと報じられている。まだまだ油断は禁物か。

<< 今週の見通し >>

目先はともかく、中長期的に見た場合にはドル/円の基本的なリスクは依然としてドル高方向に高いと考えていたが、さすがに状況が怪しくなってきた。先でも指摘したように、先週は1週間で5円を超えるドルの下落を記録。テクニカルにも、移動平均の21日線や200日線を相次いで割り込むなど、ドルの下値リスクが一気に強まってきたようだ。下落スピードがかなり速く、短期的には行き過ぎ、やり過ぎの域に入っているものの、今週もドルのさらなる下落には要注意だ。9月16日安値139.58円と起点とした場合の上げ幅の半値押しは148.10-20円で、まずは同レベルを目指す。

12月の日米金融政策発表が注目されるなか、当初はやや懐疑的だった「日銀の12月利上げ観測」が急速に高まってきた。理由のひとつは先週末に発表された経済指標、東京区部消費者物価(コア)が予想を上回る内容になったこと。そしてもうひとつは、同じく週末に伝えられた植田日銀総裁発言、具体的には「データは想定通りで利上げ時期は近づいている」、「一段の円安リスクは大きい」などになる。今週も円の支援要因として寄与しそうだ。それに対して、米国の金融政策については見方が混在するなか、今週は週間を通して重要な米指標が発表される見通しだ。これまで以上にそれら指標に一喜一憂し、乱高下をたどる可能性もある。

テクニカルに見た場合、先週のドル/円相場は移動平均における21日線や200日線などを次々に下抜け。また一目均衡表でも、遥か下方に位置すると思われた先行帯の雲の上限が、気が付いたら現実的なターゲットとなっている。ちなみに、雲の上限は週末にかけて149円半ばへと達してくるだけに、移動平均に続き「しっかり」と割り込んでくる可能性も否定できない。単なるドル高の調整にとどまらず、本格的な基調転換したか否かを見極める1週間に。

そうしたなか今週は、11月のISM製造業景況指数や同雇用統計をはじめとする重要な米経済指標が連日のように発表される予定だ。市場は名実ともに12月入り、クリスマスムードが少しずつ高まってくることが予想され、商いも薄くなることが見込まれている。思いのほか大きな価格変動も。

そんな今週のドル/円予想レンジは、148.00-152.00円。ドル高・円安については、200日線が近くに位置する152円がかなり強い抵抗か。その手前、150円半ばや151円も目先の抵抗として意識されそう。
対してドル安・円高方向は、先週安値149.47円そして一目の雲の上限をめぐる攻防にまずは注目。しっかり下回るとフィボナッチポイントの148.10-20円を目指す。

売られ過ぎだが、リスクはドル安方向に

ドル円日足


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