ドル円の急落と対ドルでのリラ安で11月15日以降の安値更新
〇トルコリラ円、ドル円の下落追いかけ11/29のドル円一段安を見て、11/30未明安値4.30へ一段安
〇円高取り巻く情勢が変化しないうちはクロス円全般の下落とともにトルコ円も戻り売り有利で進みやすい
〇対ドル、11/29は概ね34.70から34.34の取引レンジ、終値の史上最安値更新
〇トルコGDP、2四半期連続で前期比マイナス、景気後退が顕著
〇4.34以下での推移中は一段安余地あり、4.30割れからは4.27前後への下落想定、4.27以下は反騰注意
〇4.34から4.35台は戻り売り有利、その後に4.32割り込むところからは下げ再開
【概況】
トルコリラ円の11月29日は概ね4.38円から4.30円の取引レンジ、30日早朝の終値は4.32円で前日終値の4.37円から0.05円の円高リラ安だった。週間では11月22日終値4.48円から0.16円の円高リラ安となった。
ドル円は11月15日午前高値156.74円から下落に転じ、28日未明に150.46円へ続落してから152円手前までいったん戻したものの29日午前の急落で一段安に入り、30日未明に149.46円まで安値を切り下げた。
トルコリラ円はドル円の下落を追いかけて11月15日早朝高値4.56円から下落に転じ、28日未明に4.34円へ急落してから28日夜に4.39円までいったん戻したものの、29日にドル円が一段安したのを見て30日未明安値4.30円へ一段安した。
ドル円は米10年債利回りが低下に転じたこと、ユーロやポンドが22日から反騰入りして9月後半からのドル高が一巡してドル安へ風向きが変わったこと、日銀の追加利上げへの警戒感、トランプ次期政権による保護主義政策への不安感によるリスク回避的な円買い等により大幅下落しており、下落規模は7月3日高値161.94円から9月16日安値139.57円までの下落時の序盤に近い勢いとなっている。
トルコリラ円も11月15日早朝高値からの下落規模が7月3日からの下落時に近い勢いであり、日足の一目均衡表では26日基準線を割り込み、遅行スパンが実線を割り込んで悪化し、先行スパンへ潜り込んでいるが、先行スパンから転落する場合は下落基調がさらに長引くことも懸念されるため、円高を取り巻く情勢が大きく変化しないうちはクロス円全般の下落とともにトルコリラ円も戻り売り有利の展開で進みやすいと考える。
【ドル/トルコリラは終値の史上最安値更新】
ドル/トルコリラの11月29日は概ね34.70リラから34.34リラの取引レンジ、30日早朝の終値は34.69リラで前日終値の34.61リラから0.08リラのドル高リラ安となった。
11月27日に34.76リラへ取引時間中の史上最安値を大幅に更新し、日足終値ベースでも22日から27日へ4営業日連続で最安値を更新し、28日は下落一服としていたものの、29日は2日ぶりに終値ベースの最安値を更新して週を終えた。
週間では11月22日終値34.54リラから0.15リラのドル高リラ安で3週連続のドル高リラ安、月間では10月31日終値34.25リラから0.44リラのドル高リラ安で6月から6か月連続のドル高リラ安だった。
【トルコGDP 2四半期連続で前期比マイナス=リセッション入り】
11月29日にトルコ統計局が発表した7-9月期GDPは前期比0.2%減となり4-6月期の0.2%減に続いて2四半期連続のマイナス=リセッション(景気後退)入りとなった。2023年4-6月期に4.0%へ上昇したのは第1四半期の大地震からの復興需要によるものだったが、その後は23年第3四半期の0.2%増、第4四半期と2024年第1四半期のいずれも1.2%と低迷しており、2期連続マイナスにより景気後退が顕著となった。
7-9月期の前年同期比は2.1%増となり4‐6月期の2.4%増を下回り、プラスを維持したが低調な水準にとどまった。2021年第2四半期にパンデミックショックの反動で22.3%増とした後は7%台後半から9%台後半の高水準を維持していたが、2022年第3四半期以降は7%に届かずに4%台から6%台までで低迷し、2024年第2四半期からはさらに水準を落としている。
高インフレが若干低下してきたものの依然として異常に高い水準であること、リラの史上最安値更新が続いていること、インフレ抑制のために政策金利が50%の高水準で据え置かれていること、財政再建のための緊縮財政の影響もあり消費が低迷していることが影響している。
今年10-12月期の前期比も0.3%減にとどまると予想されており、通年では2024年が3.0%増、2025年も2.9%増で低迷するとみられている。
【60分足 一目均衡表・サイクル分析】
トルコリラ円の概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、11月25日午前安値を底割れしたことによる弱気サイクル入りとしていたが、28日未明安値から28日夜へいったん戻してから29日午前の下落で28日未明安値へ迫ったため、29日午前時点では28日未明安値を直近のサイクルボトム、28日夜高値を同サイクルトップとした弱気サイクルとして12月3日未明から5日未明にかけての間への下落を想定した。
30日未明へ一段安したため引き続きボトム形成中とし、4.34円超えからは強気転換注意として4.35円台への上昇を想定するが、強気転換には28日夜高値に迫る勢いの反騰が必要と思われる。
60分足の一目均衡表では28日夜への反騰で遅行スパンがいったん好転したものの29日午前の下落で再び悪化し、先行スパン下限に迫ってから一段安しているため、遅行スパン悪化中の安値試し優先とし、先行スパンを上抜き返せないうちは遅行スパンが一時的に好転してもその後に悪化するところから下落再開とする。
60分足の相対力指数は29日午前に30ポイントを割り込んでから40ポイント台中盤へ戻したものの30日早朝に30ポイント台へ再び低下している。50ポイントを超えないか一時的に超えても維持できないうちは一段安警戒とし、次の30ポイント割れからは20ポイント前後への低下を想定する強気転換には55ポイントを超える反騰が必要と思われる。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、4.30円を下値支持線、4.34円を上値抵抗線とする。
(2)4.34円以下での推移中は一段安余地ありとし、4.30円割れからは4.27円前後への下落を想定する。4.27円以下は反騰注意とするが、4.32円以下での推移なら3日も安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)4.34円から4.35円台は戻り売り有利とし、その後に4.32円を割り込むところからは下げ再開とする。
【当面の主な予定】
12月2日
16:00 11月 イスタンブール製造業PMI (10月 45.8)
12月3日
16:00 11月 CPI(消費者物価指数) 前月比 (10月 2.88%、予想 1.91%)
16:00 11月 CPI(消費者物価指数) 前年同月比 (10月 48.58%、予想 46.60%)
16:00 11月 コアCPI(食品エネルギー等除く) 前月比 (10月 2.8%)
16:00 11月 コアCPI(食品エネルギー等除く) 前年同月比 (10月 47.8%)
16:00 11月 PPI(生産者物価指数) 前月比 (10月 1.29%)
16:00 11月 PPI(生産者物価指数) 前年同月比 (10月 32.24%)
12月4日
16:00 11月 貿易省・貿易収支速報 (10月 -57.5億ドル)
12月5日
20:30 外貨準備高 グロス 11月29日時点 (11月22日時点 907.4億ドル)
20:30 外貨準備高 ネット 11月29日時点 (11月22日時点 608.8億ドル)
12月10日
16:00 10月 失業率 (9月 8.6%)
16:00 10月 鉱工業生産 前月比 (9月 1.6%)
16:00 10月 鉱工業生産 前年同月比 (9月 -2.4%)
注:ポイント要約は編集部
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