米消費者物価の発表に注意、波乱含みか
〇東京市場のドル円、揉み合いながら下値を少しずつ切り上げ日中高値155.15レベルまで値を上げる
〇上昇スピードも速く、一旦調整の動きが入ると下落も早いか
〇本日、米消費者物価指数の内容には要注視
〇トランプ新政権の閣僚人事が続々決定されるなか、次期財務長官の人事が波乱要因になることも
〇ドル高円安方向、155.20レベルが最初の抵抗、上抜けると156円が視界内
〇ドル安円高方向、東京安値154円半ばをめぐる攻防に注目、割り込んでも基本は底堅そう
〇欧米時間のドル円予想レンジ:154.30-155.50
<< 東京市場の動き >>
東京市場は小幅に続伸。わずかではあるものの、前日超えられなかった155円の壁を超えてきた。
ドル/円は154.60-65円で寄り付いたのち、揉み合いながら下値を少しずつ切り上げる展開。ただ、それでも上値は重く155円が抵抗になる局面が続いていたが、夕方近くになりついに上抜け。日中高値の155.15円レベルまで一時値を上げている。その後もドルは高値圏で推移し、16時現在でも155円台をキープしたまま欧米市場を迎えていた。
そうしたなか、暗号資産(仮想通貨)ビットコイン連日の高値更新。一時史上初の9万ドル台も。
一方、材料的に注視されていたものは「米の次期政権人事」と「ロシア情勢」について。
前者は、引き続きトランプ次期政権における組閣人事が思惑を呼ぶ。「重用確実」とされながら、具体的な役職は決まっていなかったテスラのマスク氏だが、新設される「政府効率化省」トップに起用するとトランプ氏自身が発表している。また、国防長官には陸軍州兵出身でFOXニュースのヘグセス氏、国家安全保障問題担当の大統領補佐官にウォルツ下院議員をそれぞれ充てるとも表明していた。それぞれ個性的なメンバーで、その手腕を注視しておきたい。一方、財務長官ポストの人選には苦戦している感もあり、実際「有力」とされていた米著名投資家のポールソン氏が自ら辞退したことを表明している。ただ、ブルームバーグからは「マクロヘッジファンドのキー・スクエア・グループを率いるベセント氏を支持」との報道も見られるなど、ウォール街出身者を起用される可能性は依然として高いもようだ。
後者は、北朝鮮による助勢に加え、ウクライナ支援に消極的と見られるトランプ氏が次期米大統領に内定したことで、ロシアがウクライナ侵攻でさらに勢いを増している感がある。たとえば、英紙テレグラフは和平交渉で有利な立場に立つために、「プーチン氏、米大統領就任前のクルスク州全域奪還を狙う」と報じていた。一方、NATO事務総長は「露朝ミサイル協力は日米欧の脅威」と懸念を表明していたほか、EUの次期外交安全保障上級代表(外相)に指名されたエストニアのカラス前首相も、「米国は中国の心配をする前にロシアを気にすべき」と発言。トランプ氏に再考を促していた。
<< 欧米市場の見通し >>
ドル/円相場は、予想以上のスピードでのドル高進行。上値は依然として重いなか、前述したように155円台へと上伸している。テクニカルには、東京高値に近い155.20円が弱い抵抗ながら、超えるとしばらくまた抵抗はうかがえない。次はというと156円台後半か。一連の過程では、もちろん本邦要人による円安けん制発言などは要注意だが、さらなるドル高の進行にも注意しておきたいところだ。
市場では、12月に発表される日米金融政策への関心が高く、本日はそれに向けて発表される米消費者物価指数の内容がとくに注視されている。上振れすれば、ドルはさらに買い進められ、先で指摘した155.20円レベルを超えてくる可能性も指摘されており、しっかりと注意しておきたい。また、前述したようにトランプ新政権における閣僚人事が続々決定されるなか、次期財務長官の人事なども場合によっては波乱要因となりかねないだろう。
テクニカルに見た場合、ドル/円はしばらく152.14-154.71円というレンジ取引が続く、と予想していたのだが、思いのほか早く平穏は崩れた。レンジをすでに上抜けしており、ドルのさらなる続伸には注意を払いたい。目先の抵抗は155.20円レベルで、超えれば156円台も。
ただ、上昇スピードの速さもあり、一旦調整の動きが入れば下落も早そう。その場合のサポートはまず154円半ば、そして153円台後半か。
本日は米経済指標として、10月の消費者物価指数が発表される予定で、こちらは数字如何で相場の波乱要因となりかねないかもしれない。またセントルイス連銀総裁の講演なども実施される予定で、こちらも一応要注意。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは154.30-155.50円。ドル高・円安方向は、155.20円レベルが最初の抵抗。上抜けると明確なメドはなく、一本調子に到達するか否かは別にして、156円が視界内に。
対するドル安・円高方向は、東京安値にもあたる154円半ばをめぐる攻防にまずは注目。割り込んでも基本は底堅そうだが、上昇スピードがやや速いところは気掛かり。
ドル円日足
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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