関心は米FOMCに、連日の乱高下には要注意
〇本日のドル円、調整のドル売り・円買い優勢で154円割れ
〇三村財務官から円安けん制発言もあり、上値は重い
〇米FOMCは0.25%利下げ見通しが大勢、年内再利下げの可能性に要注目
〇ドル高・円安方向、昨日そして本日高値154.70レベルが最初の抵抗
〇ドル安・円高方向、大きなテクニカルポイントはないが153円前後の攻防には要注意
〇ドル円予想レンジ:153.00-154.70
<< 東京市場の動き >>
東京市場は一転してドルが弱含み。再び154円を割り込む局面も観測されていた。
ドル/円は154.60-65円で寄り付いたものの、上値は重い。早々に、三村財務官から「行きすぎた動きに対しては適切な対応をとる」とした円安けん制発言が聞かれたこともあり、なおさら上値は買いにくい状況だった。調整と思しきドル売り・円買いが優勢で、緩やかな右肩下がりをたどるなか途中で154円割れ。そののち回復したものの、再び売り込まれるなどドルの戻りは鈍い。16時現在でも154円をわずかに下回った153.90-95円で推移し、欧米市場を迎えている。
一方、材料的に注視されていたものは「米大統領選」と「トランプ氏勝利余波」について。
前者は、前日の執筆時段階で「トランプ氏勝利確定」まで明らかになっていなかったが、そののち正式にトランプ氏の次期米大統領就任が決定した。そうしたなか、ハリス氏はトランプ氏に電話し、敗北を認めたとも伝えられている。なお、予想よりも差がついたうえ、トランプ氏が勝利を収めたことで、事前に懸念されていた暴動などの動きはとくになし。そうした意味では静かなままの「ノーサイド」となった。一方、トランプ氏は各国首脳から当選の祝辞を受けるだけでなく、一部首脳とは早々に電話会談を実施している。たとえばフランス大統領やイスラエル首相、日本の石破首相、韓国大統領などと会談をこなしているもよう。
後者は、先のように、次期米大統領がトランプ氏に内定したことで、各国ともその「対策」に頭を悩ませているようだ。かく言う当の米国もポリティコによると、「ホワイトハウスがトランプ氏就任前、ウクライナ支援残額の支出を急ぐ」などと報じられていた。また、日本については産経新聞が「永田町では石破首相との関係構築に不安の声が上がっている」と報じるなど、先行きを不安視する声も少なくないようだ。一方、それとは別に米紙WSJは「トランプ氏が望むドル安、言うはやすく実現は困難」としたうえで、実際の相場は逆方向に動いていると伝えていた。
<< 欧米市場の見通し >>
ドル/円相場は、昨日7月30日以来の154円台。本日も154円台を付ける局面が観測されていたが、前述したように東京夕方段階では154円をわずかに割り込んでいる。基本的なリスクはドル高方向で、155円へと向かう展開はまだ有効か。しかし、本日東京の154円台では日本の三村財務官から円安けん制発言が聞かれたこともあり、一本調子のドル高進行も予想しにくい。上値は依然として重そうだ。
まだ完全に織り込まれたわけではないものの、トランプ氏勝利で幕を閉じた米大統領選ファクターも取り敢えず一巡。マーケットは再び日米金融政策へと関心が移行しており、そうしたなか発表される本日の米FOMCの結果発表に注目が集まっている。ちなみに市場では「0.25%の利下げ」見通しが大勢であり、利下げそのものは材料になりにくそうだが、加えて年内再利下げの可能性をどこまで織り込むのかに対する関心も高く、こちらは状況次第で乱高下。波乱要因となりかねない。
テクニカルに見た場合、ドル/円は心理的な意味も含めた抵抗155円を前にやや上げ渋りの様相。本邦勢の円安けん制発言もあり、ドルの上値は抑制されている。
ただ下値も堅く、短期的には153円前後では取り敢えず下げ止まりそうだが、米FOMCという重要材料を控えていることで、あまり決め打ちはしたくない。また割り込むと152円半ば、そして移動平均の200日線などに向けた続落もありそうだ。
本日は米経済指標として、週間ベースの新規失業保険申請件数が発表されるものの、それより欧米各国で予定されている政策金利発表への関心が高い。もちろん、もっとも高いのは米国、FOMCの結果発表だが、英中銀による金利発表などにも一応注意しておきたいところだ。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは153.00-154.70円。ドル高・円安方向は、昨日そして本日高値に当たる154.70円レベルが最初の抵抗。上抜けると155円が名実ともターゲットに。
対するドル安・円高方向は、大きなテクニカルポイントはないものの、それでも153円前後の攻防には要注意だ。仮に下回るようだと、さらに1円程度下落しても不思議がない。
ドル円日足
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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