米大統領選の結果待ち、28日午前と29日夜のダブルトップ以降は円高優勢
〇ドル円、11/6早朝151.33へ下落、右肩下がりの円高優勢で推移
〇米大統領選、トランプ氏勝利なら円安、ハリス氏勝利なら円高が市場の見方
〇2017年1月トランプ政権発足から任期満了にかけ、ドル円下落基調=円高で推移した経緯も
〇米10年債利回り続落、トランプ氏優勢報道時に上昇、ハリス氏巻き返し報道で利回り低下がみられる
〇米国主要株価指数はいずれが勝利しても米経済は堅調との楽観で上昇
〇152.20以下で推移中は一段安余地あり、151.33割れからは150.0台後半試し、150.70以下は反騰注意
〇152.00から152.20手前は売られやすい、152.20超えから強気転換注意とし11/5午後高値152.54試し
【概況】
米大統領選挙が始まった。トランプ氏有利との報道もあるが接戦とされ、大統領と議会を共和党が抑えるのか、ねじれとなるのか、民主党が共に勝利するのか、予断できない状況のようだが、ドル円は6日早朝に151.33円へ下落し、10月28日午前高値153.87円と29日夜高値153.86円をダブルトップとしてからは右肩下がりの円高優勢で推移している。
昨夜は米サプライ管理協会(ISM)の10月サービス業景況指数が予想を上回り2022年7月以来の高水準となったものの、ドル買い反応は一時的で6日早朝へドル円は下落している。
開票は日本時間午前から始まり午後に進展してゆくが、それを眺めて思惑が錯綜する展開となりそうだ。FOMC初日が始まり、ラガルドECB総裁の講演、米財務省の30年債四半期入札等があるが、あくまでも大統領選の大勢が見えてから大きく動くということになると思われる。
市場の声としては、トランプ氏勝利なら円安、ハリス氏勝利なら円高との見方もあるが、2016年の大統領選でトランプ氏が勝利して2017年1月に政権を発足して以降、任期満了にかけてドル円は下落基調=円高で推移した経緯もある。
【米貿易赤字拡大、ISMサービス業景況指数改善】
11月5日の米経済指標はまちまち。
米商務省による9月貿易収支はモノとサービスを合わせた貿易赤字額が前月比19.2%増の843億5900万ドルとなり2か月振りの赤字拡大だったが、輸入が3.0%増で過去最大となり、輸出は1.2%減だった。国別赤字では対中国で318億ドル強で最大であり、仮にトランプ政権発足なら対中関税等で米中関係が再び悪化することも懸念される。因みに日本は赤字対象として9位だった。
S&Pグローバルによる10月米サービス業PMI確報値は55.0で速報の55.3から下方修正されて9月確報の55.2を下回り、総合PMI確報は54.1で速報の54.3から下方修正されたが9月確報の54.0をわずかに上回った。
米サプライ管理協会(ISM)による10月米サービス業景況指数は56.0となり9月の54.9及び市場予想の53.8を上回り、2022年7月以来2年3カ月ぶり高水準だった。内訳では価格指数が前月の8か月振り高水準だった59.4から58.1へ低下した。雇用指数は9月の48.1から53.0へ上昇して2023年9月以来の高水準となった。これらは米労働市場も景気も底固いという印象を与え、一時ドル高反応を招いたが大統領選挙もあり反応は鈍かった。
【米10年債利回りは前日から連続低下、米国主要株価指数は反発】
5日の米長期債利回りは米10年債の四半期入札が堅調だったこと、トランプ氏優勢報道、ISMサービス業景況指数の改善等で強弱錯綜してまちまちだった。
長期金利指標の10年債利回りは前日比0.02%低下の4.27%となり、4日の0.10%低下から続落した。11月1日に前日比0.10%上昇の4.39%となり、9月16日に付けた3.60%以降の最高を更新した後は伸び悩みとなっている。
30年債利回りは前日比0.03%低下の4.44%となり、4日の0.11%低下からの続落となった。1日に前日比0.10%上昇の4.58%で9月16日に付けた3.90%以降の最高とした後は伸び悩みの様相だ。
政策金利動向に敏感な2年債利回りは4日に一時4.25%へ上昇して9月25日に付けた3.51%以降の最高として前日比0.04%上昇としたが、5日は前日比0.02%上昇の4.18%と続伸し一時4.24%をつけた。
トランプ氏優勢報道時に利回りは上昇、ハリス氏の巻き返し報道で利回り低下がみられた。
一方で、米国主要株価指数はいずれが勝利しても米経済は堅調との楽観で上昇した。NYダウは前日比427.28ドル高と上昇して4日の257.59ドル安による下げを解消、ナスダック総合指数は259.19ポイント高で4日の59.94ポイント安から反騰、S&P500指数は4日に16.11ポイント安と下げていたが5日は70.07ポイント高と大幅上昇した。
市場では大統領と上下院多数派のいずれか一党に支配される場合は株安を招くとの見方があるようだ。
【60分足、サイクル・一目均衡表分析】
ドル円は10月28日午前高値153.87円と29日夜高値153.86円をダブルトップとした三角持持ち合いから転落し、植田維総裁会見後の下落で152円を割り込んでから米雇用統計を通過して152円割れを買われて153円到達まで戻す凡そ1円幅の騰落を続けていたが、4日夜に151.51円へ、6日早朝に151.33円へと安値を切り下げて下降トレンドを形成している。
5日午後高値152.54円を超えないうちは一段安余地ありとし、6日の日中から8日午前にかけての間への下落を想定するが、152.20円超えを強気転換注意とし、5日夜高値152.54円超えからは下降トレンドからの脱却として6日深夜から9日早朝にかけての間への上昇を想定する。
60分足の一目均衡表では11月6日早朝への下落で遅行スパンが悪化して先行スパンからも再び転落した。2日早朝高値から失速してから先行スパンを上抜き返せない状況が続いているため、先行スパンを上抜き返せないうちは遅行スパンが一時的に好転してもその後に悪化するところから下落再開とするが、先行スパンを上抜くところからは上昇継続とみて遅行スパン好転中の高値試し優先へ切り替える。
60分足の相対力指数は6日早朝への下落で30ポイント台序盤へ低下してから40ポイント台へ戻している。55ポイント超えからは上昇期入りとみて70ポイントを目指す流れとするが、50ポイントを超えないか超えても維持できないうちは一段安警戒とし、35ポイント割れからは20ポイント前後への低下を想定する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、11月6日早朝安値151.33円を下値支持線、152.20円を上値抵抗線とする。
(2)152.20円以下での推移中は一段安余地ありとし、151.33円割れからは150.0円台後半試しとする。150.70円以下は反騰注意とするが、急落商状の場合は150.00円前後へ下値目途を引き下げる。
(3)152.00円から152.20円手前は売られやすいとみるが、152.20円超えからは強気転換注意として5日午後高値152.54円試しとし、高値更新からは上昇継続とみて153円を試す上昇を想定する。急伸商状の場合は153円台前半へ上値目途を引き上げる。
【当面の予定】
11/6(水)
米大統領選挙開票、FOMC(米連邦公開市場委員会初日)、中国全人代常務委員会(11/8まで)
16:00 (独) 9月 製造業新規受注 前月比 (8月 -5.8%、予想 1.5%)
16:00 (独) 9月 製造業新規受注 前年同月比 (8月 -3.9%、予想 -2.1%)
17:55 (独) 10月 HOCBサービス業PMI・改定値 (速報 51.4、予想 51.4)
18:00 (欧) 10月 HOCBサービス業PMI・改定値 (速報 51.2、予想 51.2)
19:00 (欧) 9月 PPI(生産者物価指数) 前月比 (8月 0.6%、予想 -0.6%)
19:00 (欧) 9月 PPI(生産者物価指数) 前年同月比 (8月 -2.3%、予想 -3.5%)
24:30 (米) EIA週間石油在庫統計
27:00 (米) 財務省四半期定例入札(30年債、250億ドル)
11/7(木)
中国全人代常務委員会(11/8まで)
09:30 (豪) 9月 貿易収支 (8月 56.44億豪ドル、予想 53.00億豪ドル)
12:00 (中) 10月 貿易収支・米ドル建て (9月 817.1億ドル、予想 742.0億ドル)
16:00 (独) 9月 鉱工業生産 前月比 (8月 2.9%、予想 -1.0%)
16:00 (独) 9月 鉱工業生産 前年同月比 (8月 -2.7%、予想 -3.2%)
16:00 (独) 9月 貿易収支 (8月 225億ユーロ、予想 209億ユーロ)
19:00 (欧) 9月 小売売上高 前月比 (8月 0.2%、予想 0.4%)
19:00 (欧) 9月 小売売上高 前年同月比 (8月 0.8%、予想 1.3%)
21:00 (英) 英中銀 政策金利 (現行 5.00%、予想 4.75%)
21:30 (英) ベイリー英中銀総裁、会見
22:30 (米) 7-9月期 非農業部門労働生産性・速報値 前期比 (4‐6月 2.5%、予想 2.3%)
22:30 (米) 7-9月期 単位労働コスト・速報値 前期比年率 (4‐6月 0.4%、予想 0.8%)
22:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 21.6万件)
22:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 186.2万人)
24:00 (米) 9月 卸売売上高 前月比 (8月 -0.1%)
28:00 (米) 米FOMC 政策金利 (現行 4.75-5.00%、予想 4.50-4.75%)
28:30 (米) パウエルFRB議長、会見
29:00 (米) 9月 消費者信用残高 前月比 (8月 89.3億ドル、予想 134.5億ドル)
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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