ドル円見通し 10月28日の高安レンジ内で持ち合い、日銀会合と総裁会見へ臨む(24/10/31)

ドル円は、31日午前は153円台前半に付けている。

ドル円見通し 10月28日の高安レンジ内で持ち合い、日銀会合と総裁会見へ臨む(24/10/31)

10月28日の高安レンジ内で持ち合い、日銀会合と総裁会見へ臨む

〇昨日のドル円、夜に152.77まで下げた後、好調な米指標を受けて持ち直す
〇米ADP民間雇用は予想を大幅に上回り、GDPも10期連続プラス
〇本日の日銀会合と午後の植田総裁会見に注目、ハト派姿勢なら持ち合い上放れのきっかけとなるか
〇米長期債利回りは概ね上昇、主要株価指数はまちまち
〇10/28午前高値153.87超えからは154円台前半への上昇を想定
〇10/30夜安値152.77割れからは152円台前半への下落を想定

【概況】

ドル円は26日の衆院選における与党大敗により日銀の追加利上げが先送りされる可能性が高まったとして28日午前高値153.87円へ急伸し、円売り一巡で28日夜安値152.40円へ下げたところを買われて29日夜に153.86円へ切り返したが、高値更新には至らずに30日夜にかけてはややジリ安で推移した。
30日夜に152.77円まで下げたが、米7‐9月期GDPが予想を若干下回ったものの10期連続でプラス成長とし、ADP民間雇用が予想を大幅に超える増加だったことで持ち直し、31日午前は153円台前半に付けている。
28日午前の急伸以降は28日の高安レンジ内に留まっており、28日午前と29日夜の両高値を結ぶダブルトップ気味の上値抵抗線と、28日夜から30日夜へ安値を切り上げているラインを下値支持線とした三角持ち合いの様相も見られる。

本日昼頃の日銀金融政策決定会合と午後の植田総裁会見や、今夜の米PCEデフレーター等をきっかけとして持ち合い上放れに入るか、持ち合い下放れでいったん調整的な下落期に入るか試されるところだが、一段高した後の三角持ち合いは上昇トレンド継続中の小休止であるケースが多い。
日銀は政局が不安定な状況となったことで本日の金融政策決定会合では現状維持との見方で衆目が一致しているが、午後の会見で植田総裁が利上げへの意欲を強く示すタカ派姿勢を示さずに利上げを急がない姿勢を強調するハト派姿勢ならば持ち合い上放れのきっかけを与える可能性があると注目したい。

【米ADP民間雇用は予想を大幅に上回り、GDPも10期連続プラス】

10月30日夜に米民間雇用サービス会社ADPが発表した10月全米雇用報告では、非農業部門民間就業者数が前月比23万3000人増となり9月の15万9000人(速報の14万3000人から上方修正)及び市場予想の11万4000人を大幅に上回った。内訳では製造業が1.9万人減少した他は増加しており、物流、教育医療、サービス等の増加が目立ち、米雇用の底固さを示した。

米商務省による7‐9月期GDP速報値は季節調整済み年率換算で前期比2.8%増となり、4‐6月期の3.0%及び市場予想の3.0%を下回ったものの10期連続のプラス成長見通しとなった。GDPの凡そ7割を占める個人消費は3.7%増で前期の2.8%増を大幅に上回り市場予想の3.3%増も上回って2期連続で加速したが、設備投資は3.3%増で前期の3.9%増から鈍化し、住宅投資は5.1%減で2期連続のマイナスだった。
インフレ指標ではGDPデフレーターが前期の2.5%から1.8%へ、PCE(個人消費支出)デフレーターが前期の2.5%から1.5%へ大幅に鈍化、コアPCEデフレーターも前期の2.8%から2.2%へ大幅に鈍化した。
インフレ鈍化傾向は利下げ継続に歓迎されるが、景気の堅調さにより年内2回のFOMCでの利下げについては0.25%ずつ連続となるか、1回は見送られる可能性も残した印象だ。

【米長期債利回りは概ね上昇、主要株価指数はまちまち】

10月30日の米長期債利回りは米経済指標の堅調さと来週の米大統領選挙を意識した債券売り・利回り上昇反応により概ね上昇した。
長期金利指標の10年債利回りは28日に4.34%へ上昇してから29日に一時4.19%まで低下したが、30日は前日比0.04%上昇の4.30%と切り返し、日足終値ベースでは年初来最低とした9月16日以降の最高を更新した。
30年債利回りは29日に一時4.58%へ上昇して9月17日の3.90%以降の最高としてから低下し、30日は一時4.44%へ低下したものの米経済指標を通過して持ち直し、前日比変わらずの4.50%とした。
政策金利動向に敏感な2年債利回りは前日比0.08%上昇の4.18%とし、一時4.185%をつけて9月25日の年初来最低である3.51%以降の最高を更新した。

一方で米国主要株価指数はまちまちの動き。NYダウは28日に6日ぶり反発としたが、30日は前日比91.51ドル安と下落し、ナスダック総合指数は29日まで4連騰していたが30日は104.82ポイント安と5日ぶり反落に終わり、S&P500指数は19.25ポイント安で3日ぶりに反落した。
来週の米大統領選挙とFOMCを控えてやや慎重な動きだが、昨年末からの上昇基調は維持されており、ドル円にとっては米長期債利回りの上昇と米国株高が下支え要因として引き続き機能している印象だ。

【60分足、サイクル・一目均衡表分析】

【60分足、サイクル・一目均衡表分析】

ドル円は10月28日午前高値153.87円と29日夜高値153.86円をフラットな抵抗線とし、28日夜安値152.40円から30日夜安値152.77円へ底上げ気味の下値支持線とした三角持ち合い型、ないしは28日の高安レンジ内でのボックス型持ち合いを形成している印象だ。
28日午前高値超えからは持ち合い上放れに入るため、31日の日中から11月4日午前にかけての間への上昇を想定し、30日夜安値152.77円割れからは下向きとして31日の日中から11月1日午後にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では28日の高安レンジ内で持ち合いを続けているため、28日午前高値超えからは持ち合い上放れとして遅行スパン好転中の高値試し優先とするが、先行スパンから転落中は下向きとして遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は30日夕に30ポイント台へ低下してから持ち直し、50ポイントを挟んだ揉み合いとしているため、60ポイント超えからは上昇が勢い付くとみて70ポイント台を目指す上昇を想定し、40ポイント割れからは下落が長引くとみて20ポイント台への低下を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、10月30日夜安値152.77円を下値支持線、28日午前高値153.87円を上値抵抗線とする。
(2)152.77円を上回るうちは一段高余地ありとし、28日午前高値153.87円超えからは154円台前半への上昇を想定する。154.35円以上は反落注意とするが、153.50円以上での推移なら1日も高値試しへ向かう可能性があるとみる。
(3)152.77円割れからは152円台前半への下落を想定する。152.40円前後は反騰注意とするが、152.40円割れから続落の場合は152円割れを試す下落を想定し、152.77円以下での推移なら1日も安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の予定】

10/31(木)
休場 シンガポール、マレーシア、スリランカ
未 定 (日) 日銀金融政策決定会合、政策金利 (現行 0.25%、予想 0.25%)
10:30 (中) 10月 NSB製造業PMI (9月 49.8、予想 49.9)
10:30 (中) 10月 NSB非製造業PMI (9月 50.0、予想 50.4)
14:00 (日) 9月 新設住宅着工戸数 前年同月比 (8月 -5.1%、予想 -4.1%)
15:30 (日) 植田日銀総裁、記者会見
16:00 (独) 9月 輸入物価指数 前月比 (8月 -0.4%、予想 -0.4%)
16:00 (独) 9月 小売売上高 前月比 (8月 1.6%、予想 -0.5%)
19:00 (欧) 10月 HICPI(調和消費者物価指数)速報値 前年同月比 (9月 1.7%、予想 1.9%)
19:00 (欧) 10月 コアHICP(食品エネルギー除く)速報値 前年同月比 (9月 2.7%、予想 2.6%)
19:00 (欧) 9月 失業率 (8月 6.4%、予想 6.4%)

21:30 (米) 7-9月期 単位労働コスト速報値 前期比年率 (4‐6月 0.9%、予想 0.9%)
21:30 (米) 9月 個人所得 前月比 (8月 0.2%、予想 0.3%)
21:30 (米) 9月 PCE(個人消費支出) 前月比 (8月 0.2%、予想 0.4%)
21:30 (米) 9月 PCEデフレーター 前年同月比 (8月 2.2%、予想 2.1%)
21:30 (米) 9月 コアPCEデフレーター(食品・エネルギー除く) 前月比 (8月 0.1%、予想 0.3%)
21:30 (米) 9月 コアPCEデフレーター(食品・エネルギー除く) 前年同月比 (8月 2.7%、予想 2.6%)
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 22.7万件、予想 23.0万件)
21:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 189.7万人、予想 188.5万人)
22:45 (米) 10月 シカゴ購買部協会景況指数 (9月 46.6、予想 47.0)

11/1(金)
06:45 (NZ) 9月 住宅建設許可件数 前月比 (8月 -5.3%)
09:30 (豪) 7-9月期 PPI(生産者物価指数) 前期比 (4‐6月 1.0%)
09:30 (豪) 7-9月期 PPI(生産者物価指数) 前年同期比 (4‐6月 4.8%)
10:45 (中) 10月 財新製造業PMI (9月 49.3、予想 49.7)
18:30 (英) 10月 S&PG製造業PMI・改定値 (速報 50.3、予想 50.3)
21:30 (米) 10月 非農業部門就業者数 前月比 (9月 25.4万人、予想 10.8万人)
21:30 (米) 10月 失業率 (9月 4.1%、予想 4.1%)
21:30 (米) 10月 平均時給 前月比 (9月 0.4%、予想 0.3%)
21:30 (米) 10月 平均時給 前年同月比 (9月 4.0%、予想 4.0%)
22:45 (米) 10月 S&PG製造業PMI・改定値 (速報 47.8)
23:00 (米) 10月 ISM製造業景況指数 (9月 47.2、予想 47.6)
23:00 (米) 9月 建設支出 前月比 (8月 -0.1%、予想 0.0%)




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