衆院選での与党大敗で急伸、夜にかけての反落を切り返して153円台回復
〇昨日のドル円、連立与党大敗を受け153円台に急伸、午前に153.87へ一段高
〇円売り一巡後、米10年債利回りに合わせいったん152.40へ下落してから153円台前半へ戻す
〇今週は米GDP、日銀政策会合、雇用統計等、来週は米大統領選、FOMCに注目
〇米指標が予想以上に堅調なら、年内FOMCにおいて1回は利下げが見送られる可能性も
〇153.87超えからは154円台前半への上昇を想定
〇152.40割れからはいったん下げに入るとみて151円台後半への下落を想定
【概況】
10月27日の衆院選で連立与党が過半数割れの大敗となったため、政局不安定化と日銀の追加利上げが遠のくとの見方から28日早朝のオセアニア市場開始からドル円は153円台へ急伸して23日夜高値153.18円を超え、28日午前には153.87円へ一段高となり9月16日安値139.57円以降の高値を更新した。
衆院選絡みの円売りがひとまず落ち着いたことの揺れ返しと米10年債利回りがいったん低下したために28日夜安値152.40円へ下落したが、米10年債利回りが上昇に転じたことで153円台前半へ戻している。
日銀は10月31日に金融政策決定会合の結果を公表して午後に植田総裁が会見するが、政局不安を踏まえて当面は利上げを急がない姿勢を継続するのではないかとみられる。
ドル円としては政局不安によるリスク回避的な円の買い戻しよりも日銀の利上げ先送りを見込んだ円売りが優勢となった印象だ。日経平均も当初に下落してから前日比691.61円高と大幅上昇しており、衆院選結果に対する市場の不安感は薄い印象であり、株高円安のセット的な流れも継続しやすくなった印象だ。
今週は米GDP、日銀金融政策決定会合、米PCEデフレーター、週末の米雇用統計と続き、来週は11月5日の米大統領選挙、11月6-7日のFOMCと重要イベントが続く。米景気指標がサプライズ的に悪化せずにインフレも緩やかな低下レベルなら、米FRBの利下げが緩やかなペースにとどまり、米景気指標が予想以上に堅調なら年内2回のFOMCにおいて1回は利下げが見送られる可能性も高まることも考えられる。
米長期債利回りが9月後半からの上昇基調を維持するか高止まりするうちはドル円も上昇を継続しやすい環境にあると思われる。153円割れを買われて確りする内は、7月3日高値161.94円から9月16日安値139.57円までの下げ幅に対する3分の2戻しラインとなる154.48円超えを試し、さらに7月31日の日銀追加利上げによる急落前の7月30日高値155.21円等を目指すことも考えられるところだ。
【米10年債利回りは2連騰、NYダウは6日ぶり反発】
10月28日の米長期債利回りは原油相場の急落でいったん低下したものの、2年債と5年債の入札が低調だったことと来週の米大統領選挙を控えた債券売りにより総じて上昇した。
長期金利指標の10年債利回りは一時4.23%へ低下してから反騰して先週末比0.03%上昇の4.28%となり、25日から2連騰し、日足終値ベースでは9月後半以降の最高とした。
30年債利回りは先週末比0.03%上昇の4.53%となり、一時4.55%へ上昇して9月17日につけた3.90%以降の最高を更新し、2年債利回りは先週末比0.03%上昇の4.14%となり、一時4.16%へ上昇して9月25日に付けた3.51%以降の最高を更新した。
一方で先週末にかけて5営業日続落したNYダウは先週末比273.17ドル高で6日ぶりに反発し、ナスダック総合指数は先週末比48.58ポイント高で24日から3連騰、S&P500指数も15.40ポイント高と反発した。
イスラエルによるイランへの報復攻撃が石油関連施設等を避けて軍事施設関連に限定されたために両国の全面戦争化や中東原油供給への懸念が後退したとしてNY原油が急落したが、エネルギー関連株が売られたものの地政学的リスク後退として買われたようだ。
米長期債利回りの上昇と米国株高によりドル円は上昇しやすい状況と思われる。
【60分足、サイクル・一目均衡表分析】
ドル円は10月23日夜高値153.18円から25日午後安値151.46円へ下落したが、28日午前の急伸で23日夜高値を超えた。その後の反落も切り返しているため29日の日中から30日夜にかけての間への上昇余地ありとみる。
28日夜の反落時安値152.40円を割り込むところからはいったん下げに入るとみて30日午後から11月1日午後にかけての間への下落を想定するが、25日午後安値を割り込まない範囲で押し目形成とすれば次の上昇期で一段高へ進む可能性が高まると考える。
60分足の一目均衡表では28日午前の急伸で遅行スパンが好転して先行スパンも上抜き、28日夜の反落時も先行スパンを上回った状況を維持しているので、先行スパンを上回るうちは一段高余地ありとして遅行スパン好転中の高値試し優先とするが、先行スパンから転落する場合は下落継続とみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。
60分足の相対力指数は28日午前の急伸で80ポイント台後半へ上昇してから夜に50ポイントを割り込んだが、その後は60ポイント前後で推移しているのでまだ上昇余地ありとし、65ポイント超えからは70ポイント台後半への上昇を想定する。ただし、50ポイント割れからは弱気転換注意とし、45ポイント割れからは下落期入りとみて30ポイント台前半への低下を想定する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、10月28日夜安値152.40円を下値支持線、28日午前高値153.87円を上値抵抗線とする。
(2)152.40円を上回るうちは一段高余地ありとし、28日午前高値153.87円超えからは154円台前半への上昇を想定する。154.20円以上は反落注意とするが、152.40円以上での推移なら30日も高値試しへ向かう可能性があるとみる。
(3)152.40円割れからはいったん下げに入るとみて151円台後半への下落を想定する。151.70円以下は反騰注意とするが、152.40円を割り込んでの推移なら30日も安値試しへ向かいやすいとみる。
【当面の予定】
10/29(火)
休場 トルコ
16:00 (独) 11月 GFK消費者信頼感 (10月 -21.2、予想 -20.5)
21:30 (米) 9月 卸売在庫 前月比 (8月 0.2%)
22:00 (米) 8月 FHFA住宅価格指数 前月比 (7月 0.1%、予想 0.1%)
22:00 (米) 8月 FHFA住宅価格指数 前年同月比 (7月 4.5%)
22:00 (米) 8月 ケース・シラー住宅価格指数 前月比 (7月 0.0%)
22:00 (米) 8月 ケース・シラー住宅価格指数 前年同月比 (7月 5.9%、予想 5.1%)
23:00 (米) 9月 JOLTS(雇用動態調査)求人件数 (8月 804.0万件、予想 800.0万件)
23:00 (米) 10月 コンファレンス・ボード消費者信頼感指数 (9月 98.7、予想 99.5)
10/30(水)
日銀・金融政策決定会合初日
09:30 (豪) 7-9月期 CPI(消費者物価指数) 前期比 (4‐6月 1.0%、予想 0.3%)
09:30 (豪) 7-9月期 CPI(消費者物価指数) 前年同期比 (4‐6月 3.8%、予想 2.9%)
09:30 (豪) 9月 CPI(消費者物価指数) 前年同月比 (8月 2.7%、予想 2.3%)
14:00 (日) 10月 消費者態度指数・一般世帯 (9月 36.9、予想 36.7)
17:55 (独) 10月 失業率 (9月 6.0%、予想 6.1%)
18:00 (独) 7-9月期 GDP速報値 前期比 (4‐6月 -0.1%、予想 -0.1%)
18:00 (独) 7-9月期 GDP速報値・季調済 前年同期比 (4‐6月 0.0%、予想 -0.3%)
18:00 (独) 7-9月期 GDP速報値、季調前 前年同期比 (4‐6月 0.3%、予想 0.1%)
19:00 (欧) 10月 消費者信頼感・確定値 (速報 -12.5)
19:00 (欧) 10月 経済信頼感 (9月 96.2、予想 96.3)
19:00 (欧) 7-9月期 GDP速報値 前期比 (4‐6月 0.2%、予想 0.2%)
19:00 (欧) 7-9月期 GDP速報値 前年同期比 (4‐6月 0.6%、予想 0.8%)
21:15 (米) 10月 ADP非農業部門民間雇用者数 前月比 (9月 14.3万人、予想 9.8万人)
21:30 (米) 7-9月期 GDP速報値 前期比年率 (4‐6月 3.0%、予想 3.0%)
21:30 (米) 7-9月期 GDP個人消費速報値 前期比年率 (4‐6月 2.8%)
21:30 (米) 7-9月期 コアPCEデフレーター速報値 前期比年率 (4‐6月 2.8%)
22:00 (独) 10月 CPI(消費者物価指数)速報値 前月比 (9月 0.0%、予想 0.2%)
22:00 (独) 10月 CPI(消費者物価指数)速報値 前年同月比 (9月 1.6%、予想 1.8%)
23:00 (米) 9月 NAR住宅販売保留指数 前月比 (8月 0.6%)
23:00 (米) 9月 NAR住宅販売保留指数 前年同月比 (8月 -4.3%)
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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