ドル円、与党惨敗で一時153円台後半まで急上昇。日銀による利上げ観測後退が円売りを誘発(10/29朝)

週明け28日(月)のドル円相場は急上昇。

ドル円、与党惨敗で一時153円台後半まで急上昇。日銀による利上げ観測後退が円売りを誘発(10/29朝)

与党惨敗で一時153円台後半まで急上昇。日銀による利上げ観測後退が円売りを誘発

〇ドル円、衆院選与党大敗後の政局不透明感に追加利上げ観測が後退、ドル円は153.88まで上昇
〇米国時間にかけ、米金利低下等に152.41まで反落するも、終盤持ち直し153円台前半での推移
〇ユーロドル、ECB関係者のタカ派発言と米金利低下に1.08台前半で堅調推移
〇ドル円、日足が主要テクニカルポイント上抜け、強い買いシグナルも継続、地合い極めて強い
〇ファンダメンタルズも日米金利差縮小観測後退、米大統領選へ向けてのドル買い圧力等がドル円を支持
〇引き続き、ドル買い・円売りトレンドの継続をメインシナリオとして予想
〇本日の予想レンジ:152.50ー154.50

海外時間のレビュー

週明け28日(月)のドル円相場は急上昇。(1)週末に開催された衆院選で与党(自民党+公明党)の議席が過半数の233議席を下回る215議席に留まったことや、(2)上記1を背景とした日銀による追加利上げ観測の後退(政局不透明感が高まる中、日銀による追加利上げ実施が一段と難しくなったとの見方が台頭)、(3)日経平均株価の堅調推移(リスク選好の円売り圧力)が支援材料となり、アジア時間朝方にかけて、高値153.88(7/30以来の高値圏)まで上昇しました。しかし、買い一巡後に伸び悩むと、(4)急ピッチな上昇に対する反動売り(利食い売り)や、(5)玉木・国民民主党代表による「自公連立への参画の考えはない」との発言、

(6)政府・日銀による為替介入警戒感、(7)米金利低下に伴うドル売り圧力が重石となり、米国時間朝方にかけて、安値152.41まで反落しました。もっとも、売り一巡後に下げ渋ると、(8)米10月ダラス連銀製造業活動指数(結果▲3.0、予想▲9.4)の市場予想を上回る結果や、(9)米主要株価指数の堅調推移、(10)米大統領選に向けてのドル買い圧力が支えとなり、本稿執筆時点(日本時間10/29午前6時15分現在)では、153.30前後まで持ち直す動きとなっております。

週明け28日(月)のユーロドル相場は堅調な値動き。(1)ムーディーズによるフランス格付け見通しの下方修正(ムーディーズは10/25に、フランスの格付けを「Aa2」で据え置きつつも、見通しを「安定的」から「ネガティブ」に下方修正)や、(2)中東情勢を巡る地政学的リスク(イスラエル軍は10/26にイラン国内の約20カ所の軍事施設にミサイル攻撃を断行)、(3)ECBによる根強い追加利下げ観測が重石となり、アジア時間午後にかけて、安値1.0782まで下落しました。しかし、売り一巡後に下げ渋ると、(4)ベルギー中銀ウンシュ総裁による「利下げペースを加速させる差し迫った必要性はない」とのタカ派的な発言や、(5)米金利低下に伴うドル売り圧力が支えとなり、米国時間朝方にかけて、高値1.0827まで上昇しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間10/29午前6時15分現在)では、1.0815前後で推移しております。

本日の見通し

ドル円は一時153.88(7/30以来の高値圏)まで上昇するなど、約3カ月ぶり高値を更新しました。日足ローソク足が主要テクニカルポイント(21日線、50日線、90日線、200日線、一目均衡表転換線、基準線、雲上限、ボリンジャーミッドバンド)を軒並み上抜けしていることや、強い買いシグナルを示唆する「一目均衡表三役好転」「ダウ理論の上昇トレンド」も成立するなど、テクニカル的に見て、地合いは「極めて強い」と判断できます。

また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)日銀による追加利上げ観測の後退(植田日銀総裁は先週末に開催されたG20財務相・中央銀行総裁会議閉会後に「不確実性が大きい場合には政策変更を慎重に段階的に進めたい。追加利上げを判断するのに時間的な余裕はある」と発言。また、週末の衆院選で与党惨敗となったことから、日銀による追加利上げが一段とやりづらくなったとの見方が台頭)や、(2)米FRBによる過度な利下げ期待の剥落(良好な米経済指標が相次ぐ中、米国のハードランディング懸念が一段と後退)、(3)上記1、2を背景とした円キャリートレードの再開期待、(4)米大統領選に向けてのドル買い圧力(トランプ氏・ハリス氏のいずれに決まったとしても、減税+財政拡張が行われる可能性が高いため、米長期金利に上昇圧力が加わる公算大。特にトランプ氏に決まる場合は、関税引き上げ+減税+財政出動が想起されるため、トランプトレードの米債売り・米ドル買いが活発化する可能性あり)、

(5)政府・日銀による為替介入警戒感の後退(日本の政局不透明感増大+米大統領選を控えるタイミングで為替介入に踏み切ることは容易では無い)など、ドル円相場の上昇を連想させる材料が揃っています。本日予定されている米9月JOLT雇用動態調査や、米10月コンファレンスボード消費者信頼感指数が市場予想を上回る場合には、米金利上昇→米ドル買いの経路で、ドル円にもう一段強い上昇圧力が加わるシナリオが想定されるため、当方では引き続き、ドル買い・円売りトレンドの継続をメインシナリオとして予想いたします(目先は心理的節目155.00を試すシナリオを想定)。

本日の予想レンジ:152.50ー154.50

注:ポイント要約は編集部

与党惨敗で一時153円台後半まで急上昇。日銀による利上げ観測後退が円売りを誘発

ドル円日足

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