米10年債利回りが4日ぶりに低下、153円台到達後の修正安続き151円台中盤
〇ドル円、米10年債利回り低下と共に本日未明安値151.53へ続落
〇概ね堅調な米経済指標、米長期債利回り上昇に結びづかず、10/23夜からの下落基調の要因に
〇日銀の植田総裁、利上げを急がず、月末の日銀会合は現状維持の見込み
〇米10年債利回りは4日ぶり低下、米主要株価指数はまちまち
〇151.35割れからは151.00、150.70等を順次試す下落を想定
〇152.28超えからは反騰期に入るとみて10/23夜高値153.18を目指す上昇を想定
【概況】
ドル円は10月23日夜に153.18円へ上昇して9月16日安値139.57円以降の高値を更新したが、153円台到達に対する高値警戒感から持ち高調整的に売られ、24日夜は前日まで3連騰していた米10年債利回りが4日ぶりに低下したことで25日未明安値151.53円へ続落し、その後も152円を下回っての推移にとどまっている。
24日発表の米経済指標は新規失業保険申請件数が2週連続で改善し、S&Pグローバルの製造業及びサービス業のPMIが共に市場予想を上回ったものの、米10年債利回りの上昇には結びつかなかったため、ドル円も23日夜からの下落基調を続けた。
23日夜高値153.18円から25日未明安値151.53円までの下げ幅は1.65円だが、10月4日夜の米雇用統計堅調をきっかけとした急伸後の7日朝高値149.13円から8日夕安値147.34円までの下げ幅1.79円に近い規模であり、その時は調整安を消化してその後の高値切り上げへと進んでいる。今回は153円台まで急伸した後のため8日にかけての下落時を上回ることも懸念されるが、150円前後までで確りできれば底上げ基調を維持して次の上昇時に23日夜高値超えへ向かう可能性もあると思われる。
【米経済指標は概ね堅調】
10月24日夜発表の米新規失業保険申請件数は前週比1万5000件減の22万7000件となり、2週連続で改善して市場予想の24.2万件を大幅に下回ったことは米国の利下げペースが緩むとの見方に寄与したが、1週遅れの失業保険受給者数は189万7000人で前週の186万9000人から増加して市場予想の187万5000人を上回ったため、市場への影響は鈍かった。
S&Pグローバルによる10月米製造業PMI速報値は47.8となり9月の47.3及び市場予想の47.5を上回り、サービス業PMIも55.3となり9月の55.2及び市場予想の55.0を上回ったことも米国景気の底固さを示したが、製造業の50割れは4か月連続であり、米長期債利回り上昇には結びつかなかった。
米9月新築住宅販売件数は年率換算で73.8万件となり8月の70.9万件及び市場予想の72万件を上回ったことへの反応も鈍かった。
【日銀の植田総裁、利上げを急がず】
G20財務相・中銀総裁会合に出席した日銀の植田総裁は24日の会見で、追加利上げの判断には「時間的な余裕はある」とし、「米経済の先行きに楽観論が少し広がりつつある」ものの「いいデータが長く続くのか、一時的な振れにすぎないのか分析を深めないといけない」、金融市場動向については「引き続き不安定な状況にある」と述べた。
日銀は10月30-31日に金融政策決定会合を開くが総裁の慎重姿勢を踏まえれば現状維持と見込まれる。
【米10年債利回りは4日ぶり低下、米主要株価指数はまちまち】
10月24日の米長期債利回りは米経済指標が景気の堅調さを示して米国の利下げペースを緩めることに寄与する結果だったものの上昇反応は限られて概ね低下に終わった。
長期金利指標の10年債利回りは23日までの3連騰で一時4.26%をつけて9月17日に付けた3.60%以降の最高を更新したが、24日は前日比0.04%低下の4.21%に終わった。30年債利回りも23日に一時4.53%をつけて9月17日に付けた3.90%以降の最高としたが、24日は前日比0.04%低下の4.48%に終わった。
政策金利動向に敏感な2年債利回りは23日に前日比0.05%上昇の4.08%として10月10日の4.09%へ迫っていたが、24日は一時4.04%へ低下してから戻したものの前日比横ばいの4.08%に終わった。
米国の利下げペース鈍化見込みに加え、米大統領選でのトランプ氏優勢との見方が長期債利回り上昇基調を招いてきたが、まだこの流れは継続しやすいと思われる。
一方で米国主要株価指数は上昇一服感も見られ、米大統領選を控えて慎重な動きに入っている印象だ。
NYダウの24日は前日比140.59ドル安となり、21日から4営業日続落した。23日はマクドナルド食中毒問題、24日はIBM決算冴えずボーイングのスト問題で売られた。ナスダック総合指数はテスラ株高に牽引されて138.84ポイント高と上昇し、S&P500指数は前日まで3営業日続落していたが24日は12.44ポイント高と4日ぶり反発とした。
NYダウの続落と米10年債利回りの上昇一服感、最近の日経平均が冴えない展開を続けていることが、ドル円にとっては153円到達後に下落に寄与している印象だ。
【60分足、サイクル・一目均衡表分析】
ドル円は10月21日午前安値を起点とした上昇期入りとして23日早朝から25日早朝にかけての間への上昇を想定してきたが、10月23日夜に153.18円へ急伸してから失速したために24日午前時点では153円到達後の調整安に入ったとし、目先の安値形成期を24日の日中から28日午前にかけての間と想定した。
25日未明へ続落後も下げ渋り程度のためまだ下落余地ありとするが、24日夜反発時高値152.28円超えからは上昇再開とみて28日夜から30日夜にかけての間への上昇と23日夜高値超えへの挑戦を想定する。
60分足の一目均衡表では25日未明への続落で遅行スパンが悪化して25日午前序盤には先行スパンからも転落しているため遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。先行スパンを上抜き返せないうちは遅行スパンが一時的に好転してもその後に悪化するところから下げ再開とするが、先行スパンを上抜き返すところからは上昇再開とみて遅行スパン好転中の高値試し優先へ切り替える。
60分足の相対力指数は23日夜に90ポイントを超えてから低下に転じ、25日未明には30ポイント台へ下げたが、その後も40ポイント近辺にとどまっているのでまだ下落余地ありとみる。ただし、相場が安値を更新する際に指数のボトムが切り上がるかフラットに留まる強気逆行がみられる場合は反騰注意とし、50ポイント超えからは上昇再開とみて60ポイント台後半への上昇を想定する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、151.35円を下値支持線、24日夜高値152.28円を上値抵抗線とする。
(2)152.28円を下回るうちは一段安警戒とし、151.35円割れからは151.00円、150.70円等を順次試す下落を想定する。150.70円以下は反騰注意とするが、152円以下での推移なら週明けも安値試しを続けやすいとみる。
(3)152.28円超えからは反騰期に入るとみて23日夜高値153.18円を目指す上昇を想定する。153円手前ではいったん売られやすいとみりが、152.28円を超えての推移なら週明けも高値試しを続けやすいとみる。
【当面の予定】
10/25(金)
14:00 (日) 8月 景気一致指数CI・改定値 (速報 113.5)
14:00 (日) 8月 景気先行指数CI・改定値 (速報 106.7)
17:00 (独) 10月 IFO企業景況指数 ( 9月 85.4、予想 85.6)
21:30 (米) 9月 耐久財受注 前月比 (8月 0.0%、予想 -1.0%)
21:30 (米) 9月 耐久財受注・輸送用機器除く 前月比 (8月 0.5%、予想 -0.1%)
23:00 (米) 10月 ミシガン大学消費者信頼感指数・確報値 (速報 68.9、予想 69.0)
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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