加藤財務相による円安牽制発言を受けて急反落。衆院総選挙前のポジション調整も重石に
〇ドル円、利食い売り、米金利反落、介入警戒感等に米国時間午後にかけ一時151.55まで下落
〇ユーロドル、欧州朝方の安値1.0770から独指標の良化、米金利低下等に1.08台前半を回復
〇ドル円、加藤財務相の円安牽制発言に介入警戒感広がり、ドルロングポジション解消につながったか
〇週末衆院選を控えての政局不透明感も重石となるも、介入の可能性低く、円買い余地は限られるか
〇来週以降は米大統領選に関心シフトし、トランプトレード、米利下げ観測後退のドル買い再開も
〇引き続き、ドル買い・円売りトレンドの継続をメインシナリオとして予想
〇本日の予想レンジ:151.00ー153.00
海外時間のレビュー
24日(木)のドル円相場は冴えない動き。アジア時間朝方にかけて、高値152.83まで上昇するも、一巡後に伸び悩むと、(1)急ピッチな上昇に対する反動売り(利食い売り)や、(2)米金利低下に伴うドル売り圧力、(3)青木官房副長官による「為替の動向を高い緊張感を持って注視」との円安牽制発言、(4)加藤財務相による「投機的な動向も含め為替市場の動向を緊張感をさらに高めて注視していく」「足元では一方的な急速な動きがみられる」との円安牽制発言、(5)上記3、4を背景とした為替介入警戒感、(6)本邦衆議院議員総選挙を控えたポジション調整が重石となり、米国時間午後にかけて、安値151.55まで下落しました。
引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間10/25午前6時00分現在)では、151.85前後で推移しております。尚、昨日発表された米新規失業保険申請件数(結果22.7万件、予想24.2万件)、米10月製造業PMI速報値(結果47.8、予想47.5)、米10月非製造業PMI速報値(結果55.3、予想55.0)、米9月新築住宅販売件数(結果73.8万件、予想72.0万件)はいずれも米経済の力強さを示す良好な結果となりましたが、ドル買いでの反応は限定的となりました。
24日(木)のユーロドル相場は持ち直す動き。(1)オーストリア中銀ホルツマン総裁による「50bpの利下げはありそうにないが不可能ではない」とのハト派的な発言や、(2)スロベニア中銀バスレ総裁による「ECBは政策金利を段階的に引き下げ続けるべき」とのハト派的な発言、(3)ポルトガル中銀センテノ総裁による「ECBは出遅れているためより急速な利下げを検討すべき」とのハト派的な発言、(4)フランス10月製造業PMI速報値(結果44.5、予想45.0)の市場予想を下回る結果、(5)フランス10月非製造業PMI速報値(結果48.3、予想49.9)の市場予想を下回る結果が重石となり、欧州時間朝方にかけて、安値1.0770まで下落しました。
しかし、売り一巡後に下げ渋ると、(6)急ピッチな下落に対する反動買いや、(7)ドイツ10月製造業PMI速報値(結果42.6、予想40.8)の市場予想を上回る結果、(8)ドイツ10月非製造業PMI速報値(結果51.4、予想50.6)の市場予想を上回る結果、(9)ドイツ連銀ナーゲル総裁による「利下げを急ぐべきではない」との早期利下げに慎重な発言、(10)米金利低下に伴うドル売り圧力が支えとなり、米国時間午後にかけて、高値1.0830まで反発しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間10/25午前6時00分現在)では、1.0825前後で推移しております。
本日の見通し
ドル円は前日(10/23)記録した約3カ月ぶり高値153.19(7/31以来の高値圏)をトップに反落に転じると、昨日は一時151.55まで下落しました。加藤財務相より円安牽制発言が見られたことで、海外勢を中心に介入警戒感が広がり、これがロングポジションのアンワインドに繋がったと推察されます。また、週末に予定されている衆議院議員総選挙で自公過半数割れリスクが高まっていることも、政局不透明感を背景とした「リスク回避の円買い」を想起させたと考えられます。とは言え、政府・日銀がこのタイミングで株価急落に繋がるリスクを孕んでいる円買い介入に踏み切る公算は小さいと考えられる他、例え総選挙で自公過半数割れが実現したとしても「円買い」での反応は一時的なものに留まる(政局不透明感の高まりは日銀による金融引き締めの躊躇に繋がる可能性が高い)と見られることから、このままずるずるとドル円が下がり続ける可能性は乏しいと判断できます。
むしろ、来週以降は市場の焦点が米大統領選に移ると見られるため、トランプ・トレード(トリプルレッド期待)と、米利下げ観測後退を材料に、一巡後は再びドル円に強い上昇圧力が加わりそうです。昨日発表された米経済指標(米新規失業保険申請件数、米10月製造業PMI速報値、米10月非製造業PMI速報値、米9月新築住宅販売件数)も軒並み良好な結果を示しているため、当方では引き続き、ドル買い・円売りトレンドの継続をメインシナリオとして予想いたします。尚、本日は東京区部10月消費者物価指数や、米9月耐久財受注速報値、米10月ミシガン大消費者信頼感指数確報値などが予定されております。
本日の予想レンジ:151.00ー153.00
注:ポイント要約は編集部
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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