ドル高リスクだが、目先上昇も一服か
〇東京時間のドル円、本邦要人の円安けん制発言などで一時152.05レベルまで下落
〇テクニカルには高値161.96円起点とした下げ幅61.8%戻し153.40を視界内に捉える
〇9/16安値139.58起点に「1ヵ月で10%のドル高進行」達成、当局が過度の変動と捉える可能性も
〇本日、米新規失業保険申請件数や10月製造業PMI速報等が発表予定、欧米通貨当局者らの発言も要注視
〇ドル高円安方向、153円が最初の抵抗、抜ければ昨日高値153.19をうかがう
〇ドル安円高方向、基本的には底堅いイメージ、200日線割り込むようだと下げが加速しかねない
〇欧米時間のドル円予想レンジ、151.50-153.00
<< 東京市場の動き >>
東京市場はドルが弱含み。前日は欧米時間に一時153円台まで上値を伸ばしたが、本日東京では一度も到達することは出来なかった。
ドル/円は152.70-75円で寄り付いたのち、上値は重いが下値も堅く下げ渋り。152円半ばレベルでは底堅かったが、本邦要人からの円安けん制発言も聞かれるなか、利益確定売りと思しき動きに、ついに底割れとなった。一時日中安値の152.05円レベルまで下落。16時現在でも、そのままドル安値圏で推移し、欧米市場を迎えている。
一方、材料的に注視されていたものは「円安けん制発言」と「米大統領選」について。
前者は、昨日東京時間に152円超え、そののち欧米時間に153円台を示現しても本邦勢による円安けん制発言はとくに聞かれなかったが、本日東京時間の152円台後半などではさすがにけん制発言が観測されていた。具体的には、青木官房副長官が「為替の動向を高い緊張感を持って注視」、「為替相場は安定的推移すること重要」と述べたほか、加藤財務相は「為替は一方的な動きが見られる」としたうえで、「緊張感をもって注視してきたい」と指摘している。なお、それとは別に植田日銀総裁は「日本の金融緩和策の一段の正常化の適切な規模とタイミングを考え出すことが最重要の関心事」と述べており、これが追加利上げ観測を呼び起こしていたようだ。
後者は、11月上旬に実施される米大統領選、依然として「拮抗」といった報道も少なくないが、徐々にトランプ氏有利に傾斜しつつあるとの報道も観測されはじめた。そうしたなか、「もしトラ」に備える格好で、米紙WSJは「トランプ氏再選なら、世界貿易は様相一変の危機に」と警戒感を取り上げている。しかし、米紙NYタイムズが「トランプ氏、ヒトラーは良いこともしたと発言」と報じ、物議を醸す結果に。民主党のハリス副大統領は「非常に危険な思想」などと非難、攻勢を強めているという。上記のようにやや劣勢になりつつあるハリス氏の巻き返しの一手となるのだろうか。
<< 欧米市場の見通し >>
ドル/円はとんとん拍子に上昇し、昨日ついに153円台も。テクニカルには、以前からレポートしている高値161.96円を起点とした下げ幅の61.8%戻し153.40円を完全に視界内に捉えた格好だ。超えるようだと、名実ともに155円を目指す。しかし、9月16日安値139.58円を起点とした場合、およそ「1ヵ月で10%のドル高進行」を達成している。当局からは過度の変動と捉えられても不思議はないだろう。さすがに、このあたりで上昇も一服という気がしないでもない。
市場の関心は引き続き日米金融政策に高く、そうしたなか本日も発表される米指標や要人発言にはまず要注意。なかでも、週間ベースの新規失業保険申請件数と10月の製造業PMI速報にはとくに注意を払いたい。一方、それとは別に市場で思惑を呼んでいるのが日米政治情勢。とくに週末に総選挙が実施される日本の総選挙で、自民党あるいは与党の自公ともに「大敗する」との見通しが大きな関心を集めているようだ。結果が出来るまであと数日、このあとも関連ニュースなどにしっかりと目を配っておきたい。
テクニカルに見た場合、ドル/円は移動平均や一目均衡表のテクニカルポイントを次々上抜け、一時153円台を示現。リスクは間違いなくドル高方向にバイアスがかかりそう。昨日高値153.19円を超えれば153.40円、そしてそれも超えると155円が名実ともに視界内に。
それに対するドルサポートは、移動平均の200日線も近い151.20-30円か。基本は底堅そうだが、足もとの上昇スピードが速かっただけに、一旦崩れたら下げは速いといった声も聞かれている。
本日は米経済指標として、週間ベースの新規失業保険申請件数や10月の製造業PMI速報などが発表されるほか、本日も引き続き欧米通貨当局者らによる講演などの発言機会が多数予定されている。内容次第だが波乱含みだ。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは151.50-153.00円。ドル高・円安方向は、本日東京で超えられなかった153円が最初の抵抗か。抜ければ昨日高値153.19円をうかがう。
対するドル安・円高方向は、強いサポートがしばらくない。基本的には底堅いイメージだが、200日線をしっかり割り込むようだと下げが加速しかねないだろう。150.70円レベルに位置する一目均衡表の先行帯の雲の上限を目指す。
ドル円日足
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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