153円台到達、米10年債利回り上昇との同調続く
〇ドル円、10/23夜に153.18へ上昇し9/16安値139.57以降の高値更新
〇米10年債利回りの連騰やユーロ、ポンド等の下落によるドル高優勢の流れで153円台に到達
〇米大統領選トランプ氏優勢報道で、財政拡大とインフレ再燃懸念の強まりが米長期債利回りの上昇に寄与
〇9/16への下げ幅の3分の2戻し154.48、日銀追加利上げで急落する前日高値155.21目指す可能性も
〇米長期債利回りは総じて上昇、米主要株価指数は大幅下落
〇153円以下での推移中は下向きとし、152.40割れからは152円前後への下落想定、152円前後は反騰注意
〇153.18超えからは154円前後への上昇を想定、154円到達後の反落に注意
【概況】
ドル円は10月23日夜に153.18円へ上昇して9月16日安値139.57円以降の高値を更新し、その後に152.50円を割り込んだところを買われて確りしている。
直近の米経済指標で米景気の堅調さを示すものが続いたことで、米国の利下げペースが鈍化するとの見方が優勢となり、9月中盤から米長期債利回りが上昇に転じた流れに沿ってドル円は上昇してきたが、23日も米10年債利回りの連騰やユーロ、ポンド等の下落によるドル高優勢の流れで153円台に到達した。
米不動産業者協会(NAR)による9月中古住宅販売件数(季調済、年換算)が前月比1.0%減の384万戸となり予想の386万戸を下回って14年振り低水準だったことがドル高にややブレーキを掛けたものの、米大統領選でのトランプ氏優勢報道もあり、11月5日の米大統領選挙投開票を控えて財政拡大とインフレ再燃への懸念が強まっていることも米長期債利回りの上昇に寄与しているため、まだ暫くは米長期債利回りと同調したドル円の上昇トレンドも続きやすい印象だ。
FRBによる全米12地区連銀景況報告(ベージュブック)では、大半の地区で経済活動が横ばいだったとされ、景気の緩やかな拡大を報告したのは2地区にとどまったが、市場の反応は限定的だった。
23日からはG20財務相・中銀総裁会合が始まり、24日早朝のイベントで日銀の植田総裁は「2%の物価目標実現についてはまだ時間がかかる」とし、「米国と欧州の金融政策を注視する」等と述べたが特に市場反応は見られない。
【当日の高安で2円を超える上昇】
ドル円は23日の安値150.96円から高値153.18円まで2円を超える上昇で、10月21日からの3連騰により21日安値149.08円から23日高値まで4円を超える上昇となった。10月4日の米雇用統計をきっかけとして当日安値145.88円から高値148.99円まで3円を超える上昇としてからは徐々に高値・安値を切り上げるジリ高型の推移だったが、23日夜への上昇で勢いが増した印象だ。
9月16日安値139.57円からの上昇は、7月3日高値161.94円からの急激な円高に対する修正高として始まったが、9月16日への下げ幅22.37円に対する半値戻し150.76円を超えたことで、修正的な上昇というよりも能動的な上昇感を示しているため、3分の2戻し154.48円や、日銀追加利上げにより急落する前日の7月30日高値155.21円等を目指す可能性もあるのではないかと思われる。
【米10年債利回りは3連騰、米国株は下落】
10月23日の米長期債利回りは総じて上昇した。米利下げペースが緩むとの見方を背景として9月後半から上昇に転じてきたが、11月5日の米大統領選挙が迫る中で債券売り・利回り上昇が勢いを増している印象だ。
長期金利指標の10年債利回りは前日比0.04%上昇の4.25%となり、一時4.26%をつけて9月17日に付けた3.60%以降の最高を更新して3連騰とした。30年債利回りも前日比0.02%上昇の4.52%となり、一時4.53%をつけて9月17日に付けた3.90%以降の最高とした。政策金利動向に敏感な2年債利回りは前日比0.05%上昇の4.08%となり、10月10日の4.09%へ迫ったが、日足終値ベースでは9月24日終値3.54%以降の最高とした。
米金利先物市場では、11月と12月の2会合連続で0.25%ずつの利下げとなる期待度が7割弱、年内1回の利下げに留まるとの見方が3割とされている。
一方で23日の米主要株価指数は長期債利回りが一段と上昇したことを嫌って総じて大幅下落した。
NYダウは前日比409.94ドル安となり一時下げ幅は600ドルを超え、21日から3営業日続落した。ナスダック総合指数は22日まで5営業日連騰してきたが23日は前日比296.48ポイント安となり6日ぶりに反落し、S&P500指数は前日比53.78ポイント安で3営業日続落した。
ダウはマクドナルドが食中毒問題で5%を超える下落となったことも響いたが、米大統領選挙を控えて9月からの上昇一服感がみられる。
株安はドル円にとって圧迫要因になるが、米長期債利回り上昇基調と9月後半からのユーロ、ポンド、豪ドル等の下落によるドル高優勢の流れが続く内はドル円の騰勢も続くのではないかと思われる。
【60分足、サイクル・一目均衡表分析】
ドル円は10月21日午前安値を起点とした上昇期入りとして23日早朝から25日早朝にかけての間への上昇を想定してきたが、10月23日夜に153.18円へ急伸してから失速しているため、目先は153円到達後の調整安に入ったところと考える。目先の安値形成期は24日の日中から28日午前にかけての間と想定されるのでまだ下落余地ありとするが、23日夜高値を超えるところからは新たな上昇期入りとして28日夜から30日夜にかけての上昇を想定する。
60分足の一目均衡表では21日夜の上昇で遅行スパンが好転して先行スパンを上抜き、その後も両スパン揃っての好転を維持しているが、153円到達後に反落したため目先は安値試しへ進みやすいと注意し、遅行スパン悪化からは先行スパン上限への下落を想定する。先行スパンへ潜り込み始める場合は下落が長引く可能性ありとするが、先行スパンを上回る状況を維持する内は遅行スパンが一時的に悪化してもその後に好転するところから上昇再開とする。
60分足の相対力指数は23日夜に90ポイントを超えてから60ポイント台へ失速しているため、急騰後の調整安期とみて50ポイント弱から40ポイント前後への低下を想定する。ただし、50ポイント前後へ低下してから65ポイント超えへ反騰するところからは上昇再開とし、70ポイント超えからは80ポイント台への上昇を想定する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、152.00円を下値支持線、23日夜高値153.18円を上値抵抗線とする。
(2)153円以下での推移中は下向きとし、152.40円割れからは152円前後への下落を想定する。152円前後は反騰注意とするが、152.40円以下での推移か、直前安値から1円近い反騰がみられない場合は25日も安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)153.18円超えからは154円前後への上昇を想定する。154円到達後の反落に注意するが、153円台を維持しての推移なら25日も高値試しを続けやすいとみる。
【当面の予定】
10/24(木)
G20財務相・中央銀行総裁会議(最終日)、BRICS首脳会議(最終日)
16:30 (独) 10月 HOCB製造業PMI・速報値 (9月 40.6、予想 40.8)
16:30 (独) 10月 HOCBサービス業PMI・速報値 (9月 50.6、予想 50.6)
17:00 (欧) 10月 HOCB製造業PMI・速報値 (9月 45.0、予想 45.3)
17:00 (欧) 10月 HOCBサービス業PMI・速報値 (9月 51.4、予想 51.5)
17:30 (英) 10月 S&PG製造業PMI・速報値 (9月 51.5、予想 51.4)
17:30 (英) 10月 S&PGサービス業PMI・速報値 (9月 52.4、予想 52.4)
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 24.1万件、予想 24.2万件)
21:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 186.7万人、予想 187.5万人)
22:45 (米) 10月 S&PG製造業PMI・速報値 (9月 47.3、予想 47.5)
22:45 (米) 10月 S&PGサービス業PMI・速報値 (9月 55.2、予想 55.0)
23:00 (米) 9月 新築住宅販売件数・年率換算件数 (8月 71.6万件、予想 72.0万件)
23:00 (米) 9月 新築住宅販売件数 前月比 (8月 -4.7%、予想 0.6%)
10/25(金)
08:01 (英) 10月 GFK消費者信頼感 (9月 -20、予想 -21)
08:30 (日) 10月 東京CPI(消費者物価指数、生鮮食料品除く) 前年同月比 (9月 2.0%、予想 1.7%)
08:50 (日) 9月 企業向けサービス価格指数 前年同月比 (8月 2.7%、予想 2.7%)
14:00 (日) 8月 景気一致指数CI・改定値 (速報 113.5)
14:00 (日) 8月 景気先行指数CI・改定値 (速報 106.7)
17:00 (独) 10月 IFO企業景況指数 ( 9月 85.4、予想 85.6)
21:30 (米) 9月 耐久財受注 前月比 (8月 0.0%、予想 -1.0%)
21:30 (米) 9月 耐久財受注・輸送用機器除く 前月比 (8月 0.5%、予想 -0.1%)
23:00 (米) 10月 ミシガン大学消費者信頼感指数・確報値 (速報 68.9、予想 69.5)
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
関連記事
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:田代 昌之
2024.11.21
東京市場のドルは154円台後半で推移、今晩も要人発言で上下に動く可能性アリ(24/11/21)
東京時間(日本時間8時から15時)のドル・円は、時間外の米10年債利回りも上げ一服となったことでドルは一時154円台を付ける場面も見られた。
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:斎藤登美夫
2024.11.21
ドル円 地政学リスクくすぶるも再びレンジの様相に(11/21夕)
東京市場は一転してドルが弱含み。とくに終盤下げ足を速めている。
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:照葉 栗太
2024.10.24
ドル円、200日線突破で約3カ月ぶり高値圏へと急上昇。一時153円台に乗せる場面も(10/24朝)
23日(水)のドル円相場は大幅上昇。
-
みんなのFX トレイダーズ証券
みんなのFXはスワップもスプレッドも高水準!口座開設とお取引で最大1,010,000円キャッシュバックキャンペーン中!
取引は1,000通貨からOK、手数料も無料!eKYCで最短1時間後に取引可能
- 「FX羅針盤」 ご利用上の注意
- 掲載している情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。
- 掲載している商品やサービス等の情報は、各事業者から提供を受けた情報または各事業者のウェブサイト等にて公開されている特定時点の情報をもとに作成したものです。
- 当サイトはFXに関する情報の提供を目的としています。当サイトは、特定の金融商品の売買等の勧誘を目的としたものではありません。
- FXに関する取引口座開設、取引の実行並びに取引条件の詳細についてのお問合せ及びご確認は、利用者ご自身が各FX取扱事業者に対し直接行っていただくものとします。また、投資の最終判断は、利用者ご自身が行っていただくものとします。
- 当社はFX取引に関し何ら当事者または代理人となるものではなく、利用者及び各FX取扱事業者のいずれに対しても、契約締結の代理、媒介、斡旋等を行いません。したがって、利用者と各FX取扱事業者との契約の成否、内容または履行等に関し、当社は一切責任を負わないものとし、FX取引に伴うトラブル等の利用者・各FX取扱事業者間の紛争については両当事者間で解決するものとします。
- 当社は、当サイトにおいて提供する情報の内容の正確性・妥当性・適法性・目的適合性その他のあらゆる事項について保証せず、利用者がこれらの情報に関連し損害を被った場合にも一切の責任を負わないものとします。
- 当サイトにおいて提供する情報の全部または一部は、利用者に対して予告なく、変更、中断、または停止される場合があります。
- 当サイトには、他社・他の機関のサイトへのリンクが設置される場合がありますが、当社はこれらリンク先サイトの内容について一切関知せず、何らの責任を負わないものとします。
- 当サイト上のコンテンツに関する著作権は、当社もしくは当該コンテンツを創作した著作者または著作権者に帰属しています。
- 当社は、当社の事前の許諾なく、当サイト上のコンテンツの全部または一部を、複製、改変、転載等により利用することを禁じます。
- 当サイトのご利用に当たっては上記注意事項をご了承いただくほか、FX羅針盤利用規約にご同意いただいたものとします。