151円台到達、9月16日以降は米10年債利回り上昇と同調
〇昨日のドル円、午後に151.09をつけ、10/23未明に151.19へ高値を伸ばす
〇米長期債利回り連騰、対ユーロ、ポンドでのドル高優勢の流れがドル円押し上げる
〇ドル円、米10年債利回りと同調した上昇基調
〇米景気堅調と欧州景気低迷感により、ユーロドル等の下落続く
〇151.50以上は反落注意とする
〇150.50割れからいったん仕切り直しの下落へ進む可能性があるとみて150.0前後試しとする
【概況】
ドル円は米経済指標の堅調さと米長期債利回り上昇を背景に10月18日早朝に150.32円へ上昇して9月16日安値139.57円以降の高値を更新し、21日午前安値149.08円までいったん下げたところを買われて21日夜に18日早朝高値を超えたが、22日午後に151.09円を付けて7月31日以来の151円台に到達し、23日未明には151.19円へ高値を伸ばした。
22日は材料に乏しかったものの米長期債利回りの連騰と、ユーロやポンドが9月後半以降の安値を更新したことによるドル高優勢の流れでドル円も押し上げられた。
【米10年債利回りと同調した上昇基調】
米10年債利回りは9月17日に付けた3.60%を底として上昇期に入り22日は一時4.22%へ続伸したが、ドル円の9月16日安値139.57円からの上昇はこの流れとほぼ同調している。米国が9月0.50%大幅利下げから11月も連続大幅利下げへ進むのではないかとの見方が払拭されて利下げペースは緩やかとなるとの認識が大勢となる中で、米10年債利回りは9月17日への大幅低下に対する修正的な上昇を続けている。
ドル円は7月31日の日銀追加利上げと8月2日から5日にかけての世界連鎖株安、米国の連続大幅利下げの可能性を意識して140円割れまで大幅下落したわけだが、石破ショックを通過して年内追加利上げ見通しが後退し、NYダウが史上最高値更新へと切り返したことでリスク選好的な株高円安の流れとなり、米長期債利回り上昇が続いていることで151円台へ到達してきたため、これらの基本的な関係性が維持されるなら年末にかけて円安基調も続きやすいのだろうと思われる。
ただし、円安が日銀に対して追加利上げを急がせる可能性にも注意したい。国際通貨基金(IMF)は日本の成長率を2024年に0.3%(7月予想0.7%)、2025年に1.1%とした上で、日銀の政策金利については中期的に1.5%程度へ緩やかに引き上げられるとの見通しを示し、7月時点の0.5%から大幅に上方修正している。
【ユーロドル等の下落続く】
ユーロドルは10月22日安値で1.0790ドルをつけて年初来高値である9月25日高値1.1213ドル以降の安値を更新し、ポンドドルは22日安値で1.2942ドルを付けて9月26日の年初来高値1.3434ドル以降の安値を更新したが、豪ドル米ドルも22日安値で0.6648ドルを付けて年初来高値である9月30日高値0.6942ドル以降の最安値を更新している。
米国と共に欧州中銀、英中銀、豪中銀も利下げサイクルに入っているのだが、米景気の堅調さと比較して欧州の景気低迷感が顕著であり、インフレ率の鈍化傾向も欧英で進行しているため、今後も積極的な利下げが続くとの見方からドル高優勢の流れを続けている。
ビルロワドガロー仏中銀総裁は22日に「経済成長の低迷が続けばインフレ率はECB目標を下回る可能性がある」、「ECBは利下げで後手に回るリスクに直面する」と述べている。ECBは今年3回の利下げを実施してきたが、当面は連続利下げが続くのではないかと市場は見ていることがユーロドルの下落につながっている。
ユーロやポンド、豪ドル等の軟調さによりユーロ円、ポンド円、豪ドル円もドル円の一段高に対して遅れをとっている状況がみられる。
【米10年債利回りは小幅連騰、米国株はまちまち】
10月22日の米長期債利回りは小幅連騰から変わらずの動きに留まったが、10年債利回りの上昇継続感は増している。最近の米経済指標が底固く、11月の米大統領選が迫る中でいずれの候補が勝利しても財政支出拡大による債券需給の緩みで債券売り・利回り上昇につながるのではないかとの見方が優勢のようだ。
長期金利指標の10年債利回りは21日に先週末比0.11%の大幅上昇で4.20%として9月17日に付けた3.60%以降の最高を更新したが、22日も0.01%の小幅上昇で4.21%としたが、一時4.22%をつけてこの間の最高を更新した。
30年債利回りは21日に0.11%の大幅上昇で4.50%とし、22日は前日比変わらずに終わったが一時4.53%まで高値を伸ばした。
政策金利動向に敏感な2年債利回りは21日に0.08%の大幅上昇で4.03%とし、22日は前日比変わらずだったものの一時4.06%へ上昇して9月25日に付けた3.51%以降の最高である10月10日の4.09%以来の高値水準とした。
一方で米国主要株価指数は利食いと先高期待が交錯してまちまちの動きだった。
NYダウは16日から18日の3連騰で史上最高値を更新し、21日は利食いに圧されて前日比344.31ドル安と下げ、22日も6.71ドル安と小幅続落だったが、一時は下げ幅が200ドルを超えた。ナスダック総合指数は前日比33.12ポイント高と上昇して16日から5連騰として8月5日以降の高値を更新したが、S&P500指数は前日比2.78ポイント安で小幅ながら21日から続落とした。
【60分足、サイクル・一目均衡表分析】
ドル円は10月21日安値149.08円を起点として上昇を再開して18日早朝高値を超えて一段高に入ったため、目先の高値形成期は23日早朝から25日早朝にかけての間と想定したが、23日未明に151.19円へ高値を切り上げた後も151円を挟んで揉み合いのためまだ上昇余地ありとみる。ただし18日早朝高値から3日を経過しているので150.50円割れからは下落期入りを疑い150.0円前後への下落を想定する。
60分足の一目均衡表では21日夜の上昇で遅行スパンが好転して先行スパンを上抜いたが、その後も両スパン揃っての好転を維持しているので遅行スパン好転中の高値試し優先とする。22日朝以降は上昇角度が鈍っているので遅行スパン悪化からはいったん下げに入る可能性があるとみて安値試し優先とし、先行スパンへ潜り込み始める場合はその下限を試すとみるが、先行スパンを上回るうちはその後に遅行スパンが好転するところから上昇再開とする。
60分足の相対力指数は22日早朝に80ポイントに迫ったが、その後に相場が高値を更新しているものの指数のピークが切り下がっている。60ポイント以上での推移中は一段高余地ありとするが、60ポイント割れを弱気転換注意とし、50ポイント割れからは下落期入りとみて30ポイント台への低下を想定する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、150.50円を下値支持線、151.50円を上値抵抗線とする。
(2)150.50円を上回るうちは上昇余地ありとし、23日未明高値151.19円超えからは151.50円前後への上昇を想定する。151.50円以上は反落注意とするが、150.50円を上回っての推移か、直前高値から1円規模の反落が発生しないうちは24日も高値試しを続けやすいとみる。
(3)150.50円割れからいったん仕切り直しの下落へ進む可能性があるとみて150.0円前後試しとする。150.0円前後は買われやすいとみるが、150.50円以下での推移が続く場合は24日も安値試しへ向かいやすいとみる。
【当面の予定】
10/23(水)
G20財務相・中央銀行総裁会議(10/24まで)、BRICS首脳会議(10/24まで)
22:00 (米) ボウマンFRB理事、講演
22:45 (加) カナダ銀行 政策金利 (現行 4.25%、予想 3.75%)
23:00 (欧) 10月 消費者信頼感・速報値 (9月 -12.9、予想 -12.5)
23:00 (米) 9月 中古住宅販売件数・年率換算 (8月 386万件、予想 386万件)
23:00 (米) 9月 中古住宅販売件数 前月比 (8月 -2.5%、予想 0.0%)
23:00 (欧) ラガルド欧州中銀総裁、講演
23:30 (米) EIA週間石油在庫統計
25:00 (米) バーキン・リッチモンド連銀総裁、講演
27:00 (米) 米地区連銀経済報告(ベージュブック)
10/24(木)
G20財務相・中央銀行総裁会議(最終日)、BRICS首脳会議(最終日)
16:30 (独) 10月 HOCB製造業PMI・速報値 (9月 40.6、予想 40.8)
16:30 (独) 10月 HOCBサービス業PMI・速報値 (9月 50.6、予想 50.7)
17:00 (欧) 10月 HOCB製造業PMI・速報値 (9月 45.0、予想 45.1)
17:00 (欧) 10月 HOCBサービス業PMI・速報値 (9月 51.4、予想 51.5)
17:30 (英) 10月 S&PG製造業PMI・速報値 (9月 51.5、予想 51.5)
17:30 (英) 10月 S&PGサービス業PMI・速報値 (9月 52.4、予想 52.4)
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 24.1万件、予想 24.0万件)
21:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 186.7万人)
22:45 (米) 10月 S&PG製造業PMI・速報値 (9月 47.3、予想 47.6)
22:45 (米) 10月 S&PGサービス業PMI・速報値 (9月 55.2、予想 55.2)
23:00 (米) 9月 新築住宅販売件数・年率換算件数 (8月 71.6万件、予想 72.0万件)
23:00 (米) 9月 新築住宅販売件数 前月比 (8月 -4.7%、予想 0.6%)
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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