ドル円見通し 8月15日以降の下落幅解消、7月以降の下落幅に対する半値戻しに挑む(24/10/15)

ドル円は15日早朝に149.97円を付けて150円に迫った。

ドル円見通し 8月15日以降の下落幅解消、7月以降の下落幅に対する半値戻しに挑む(24/10/15)

8月15日以降の下落幅解消、7月以降の下落幅に対する半値戻しに挑む

〇ドル円、昨日は日本・米国共に休場で材料難、本日早朝は149.97を付け150円に迫る
〇7/3以降の下げ幅に対する半値戻し150.76を試す
〇米長期債利回りは9月後半以降の最高を更新、NYダウは連日の史上最高値更新
〇150円超えからは150.00円台中盤への上昇を想定
〇149円割れからは148円台中盤を試す下落を想定

【概況】

ドル円は9月27日の石破ショックにより146.47円から30日午後安値141.64円まで下げ幅4.83円の大幅下落に見舞われたが、2日夕の石破首相・植田日銀総裁会談と両者による追加利上げ否定姿勢により3日午前に147.23円へ切り返してショック安を解消、4日夜の米雇用統計が予想よりも堅調だったことによるドル高で7日午前に149.13円へ一段高した。
急騰後の持ち高調整で8日午後に147.34円まで下げたところを買われて10日午後に149.54円まで高値を伸ばし、10日夜の米9月CPIと新規失業保険申請件数の発表を通過していったん148.35円まで下げたものの先高期待継続としてその後は下げ渋り、11日は米PPIやミシガン大消費者指数の発表を通過して149円台を回復し、149.09円で先週を終えた。

10月11日発表の9月の米PPI(生産者物価指数)上昇率は全体の前月比が0.0%(8月0.2%)、前年同月比が1.8%(8月1.9%)と鈍化したが、コアPPI上昇率は前月比0.2%(8月0.3%)と鈍化したものの前年同月比は2.8%(8月は速報の2.4%から2.6%へ上方修正)と伸びが加速して強弱まちまちのためドル円にとっては決め手に欠ける内容だった。米ミシガン大の10月消費者信頼感指数は68.9で9月の70.1から低下して市場予想の70.8への改善に反して悪化したが、市場の反応は鈍かった。

10月14日は日本市場が休場で米国市場はコロンブスデーのため政府・銀行が休業で債券と為替市場が休場したために手がかりに欠けたが、ドル円は15日早朝に149.97円を付けて150円に迫った。ポンドドルや豪ドル米ドルは下げ渋ったもののユーロドルは1.0887ドルへ下落して9月25日高値1.1213ドル以降の最安値を更新しており、9月後半までのドル全面安からドル高へと風向きを変えた流れは継続している。

FRBのウォラー理事は14日の講演で「利下げは9月に必要とされたよりも慎重なペースで進めるべき」と述べ、最近の米経済指標は「景気が予想程に減速していない可能性が高いことを示している」とし、労働市場についても「かなり健全な状態」で、ハリケーン被害やストの影響で一時的な悪化が見込まれるものの、失業率は歴史的にはかなり低い水準が続くとした。

【7月3日以降の下げ幅に対する半値戻しを試す】

ドル円は7月3日高値161.94円から9月16日安値139.57円まで22.37円の下落幅となったが、10月15日早朝高値149.97円まで10.40円を戻して3分の1戻し147.23円を超えて半値戻し150.76円に迫っている。8月15日高値149.38円からの下げ幅を解消したことで目先は買い戻し一巡感も出やすいところだが、半値戻しをクリアすればテクニカル的には3分の2戻し154.48円を目指す流れへ進みやすくなる。
昨年12月28日安値140.24円からの反騰時は26日移動平均及び一目均衡表の26日基準線超えから上昇が本格化したが、現状も9月27日の石破ショック安を押し目として一段高へ進んだことで両線を超えた上昇期に入っている。昨年12月からの上昇時には途中で3円前後から4円を超える下落を消化しながら徐々に底上げをして高値を切り上げており、現状も26日移動平均や26日基準線を中勢レベルの押し目ラインとして上昇トレンドを形成してゆく可能性があるとみる。
ただし、150円台序盤までの戻りに留まれば、昨年12月28日と今年9月16日の両安値をネックラインとし、7月3日高値を頭、昨年11月13日高値を左肩とし、現状の上昇で右肩を形成して三尊天井型を形成する可能性もある点には留意しておきたい。

【米長期債利回りは9月後半以降の最高を更新、NYダウは連日の史上最高値更新】

14日の米債券市場は休場だったが、先週末までは米国の連続大幅利下げ期待後退による上昇を続けた。
長期金利指標の10年債利回りは11日に前日比0.04%上昇の4.10%で週を終えた。14日の時間外取引では一時4.15%へ上昇し、その後に上げ幅を削ったものの4.10%近辺で確りしている。
30年債利回りの11日は前日比0.05%上昇の4.41%となり、一時4.42%へ上昇して9月17日に付けた3.90%以降の最高を更新した。
政策金利動向に敏感な2年債利回りの11日は前日比変わらずの3.96%で週を終えた。10日に一時4.06%へ上昇して9月25日に付けた3.51%以降の最高としてから失速して前日比0.06%低下に終わったが、11日も小動きにとどまった。

一方でNYダウは景気後退への懸念が薄まる中での金融緩和期入りを歓迎して11日に前日比409.74ドル高の大幅上昇で取引時間中の史上最高値を42899.75ドルへ伸ばして終値42863.86ドルも終値ベースの最高値とし、14日も前日比201.36ドル高と上昇して43139.00ドルへ取引時間中の最高値を更新、終値43065.22ドルで2日連続の史上最高値更新とした。
ナスダック総合指数は11日に前日比60.89ポイント高と上昇し、14日も同159.75ポイント高と連騰して8月5日以降の高値を更新し、S&P500指数は11日に前日比34.98ポイント高、14日に同44.82ポイント高と連騰して2日連続で取引時間中の史上最高値及び終値ベースの史上最高値を更新した。
米長期債利回りの上昇基調と米国株高による日本株高への波及がリスク選好感を増してドル円を押し上げている印象だ。

【60分足、サイクル・一目均衡表分析】

【60分足、サイクル・一目均衡表分析】

ドル円は9月16日安値139.57円を起点とした上昇トレンドを継続しており、9月27日午後高値146.47円までを一段目とし、9月30日午後安値141.64円を押し目底として二段目の上昇期に入っている。
10月10日午後高値149.54円から10日夜安値148.35円へ下げてから149円台を回復しているため、10日夜安値を起点として新たな上昇期に入ったとみて、149円台を維持する内は15日の日中から17日午後にかけての間への上昇を想定する。ただし、149円割れからはいったん仕切り直しの下落期に入るとみて15日夜から17日深夜にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では15日早朝への上昇で遅行スパンが好転して先行スパンも上抜いているため、遅行スパン好転中は高値試し優先とし、先行スパンを上回るうちは遅行スパンが一時的に悪化してもその後に好転するところから上昇再開とするが、先行スパンから転落する場合は下落期入りとみて遅行スパン悪化中の安値試し優先へ切り替える。

60分足の相対力指数は15日早朝に70ポイント台後半へ上昇してから低下したものの60ポイント台を維持しているので65ポイント超えからは上昇継続とみて70ポイント台を再び試すとみる。ただし、相場が高値を更新する際に指数のピークが切り下がる弱気逆行がみられる場合は反落警戒とし、50ポイント割れからはいったん下げに入るとみて40ポイント前後への低下を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、149.00円を下値支持線、150.00を上値抵抗線とする。
(2)149.50円以上での推移中は一段高余地ありとし、150円超えからは150.00円台中盤(150.35円から150.65円)への上昇を想定する。150.50円以上は反落注意としるが、149.50円を上回っての推移なら16日も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)149.50円割れを弱気転換注意とし、149円割れからは148円台中盤(148.65円から148.35円)を試す下落を想定する。148.50円以下は反騰注意とし、その後に149円を超えるところからは上昇再開とするが、148.35円を割り込む場合は9月30日以降の底上げ基調が崩れるため下落が長引く可能性に注意する。

【当面の予定】

10/15(火)
13:30 (日) 8月 鉱工業生産・確報値 前月比 (速報 -3.3%)
13:30 (日) 8月 鉱工業生産・確報値 前年同月比 (速報 -4.9%)
13:30 (日) 8月 設備稼働率 前月比 (7月 2.5%)
15:00 (英) 8月 失業率・ILO方式 (7月 4.1%、予想 4.1%)
18:00 (独) 10月 ZEW景況感 (9月 3.6、予想 10.0)
18:00 (欧) 8月 鉱工業生産 前月比 (7月 -0.3%、予想 1.7%)
18:00 (欧) 8月 鉱工業生産 前年同月比 (7月 -2.2%、予想 -1.0%)
21:30 (米) 10月 ニューヨーク連銀製造業景況指数 (9月 11.5、予想 3.9)
24:30 (米) デーリー・サンフランシスコ連銀総裁、講演
26:00 (米) クグラーFRB理事、討論会

10/16(水)
休場 イスラエル
06:45 (NZ) 7-9月期 CPI(消費者物価指数) 前期比 (4‐6月 0.4%、予想 0.7%)
06:45 (NZ) 7-9月期 CPI(消費者物価指数) 前年同期比 (4‐6月 3.3%、予想 2.2%)
08:50 (日) 8月 機械受注 前月比 (7月 -0.1%、予想 -0.1%)
08:50 (日) 8月 機械受注 前年同月比 (7月 8.7%、予想 3.6%)
10:30 (日) 安達日銀審議委員、金融経済懇談会出席、14:30〜会見
15:00 (英) 9月 CPI(消費者物価指数) 前月比 (8月 0.3%、予想 0.1%)
15:00 (英) 9月 CPI(消費者物価指数) 前年同月比 (8月 2.2%、予想 1.9%)
15:00 (英) 9月 コアCPI(食品エネルギー除く) 前年同月比 (8月 3.6%、予想 3.4%)
15:00 (英) 9月 RPI(小売物価指数) 前年同月比 (8月 3.5%、予想 3.1%)
21:30 (米) 9月 輸入物価指数 前月比 (8月 -0.3%、予想 -0.3%)
21:30 (米) 9月 輸出物価指数 前月比 (8月 -0.7%、予想 -0.6%)


注:ポイント要約は編集部

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