米経済指標通過後に下落、149円台に抵抗感も
〇昨日のドル円、米9月CPIの結果を受けていったん上昇
〇失業保険申請件数の悪化で148.35まで下落後、148円台を維持して確り
〇アトランタ連銀総裁による11月利下げ見送り賛同発言、ドル円の下支え要因に
〇今夜は9月米PPI、ミシガン大消費者信頼感指数、シカゴ連銀総裁等の講演に注目
〇149円台回復からは149.54試しとし、高値更新からは150円に挑戦する上昇を想定
〇148円割れからは10/8夕安値147.34前後を試す下落を想定
【概況】
ドル円は10月2日の石破首相・植田日銀総裁会談後の急伸で9月27日午後からの石破ショック安による下げ幅を解消して147円台に到達し、4日夜の米9月雇用統計が予想よりも堅調だったことによる米長期債利回り上昇とドル全面高により7日午前に149.13円へ続騰した。8日夕に147.34円までいったん下げたところを買われて10日早朝に149円台を回復して午後には149.54円まで高値を伸ばしたが、その後は米経済指標発表を控えた持ち高調整で149円を割り込んでいた。
10日夜の米9月CPIは全体の前年比が鈍化したもののコア指数は8月を上回り、前月比は揃って予想を上回った。一方で週間新規失業保険申請件数が予想を大幅に上回る悪化となった。これらの発表を受けてドル円はいったん上昇反応を見せたものの失業保険申請件数の悪化を重視して下落に転じたが、深夜に148.35円まで下げた後は148円台を維持して確りした。
10月10日高値149.54円で8月15日高値149.38円から9月16日安値139.57円までの下げ幅を解消したが、
150円台へ乗せるのは時期尚早として上昇一服感も見られる。しかし、日銀の年内追加利上げ見通しが後退して米国の連続大幅利下げ期待も後退して利下げペースが緩むとの見方が強まったことで9月16日にかけての過度な円高に対する修正的な円安を継続しやすい状況にあり、調整安を消化しながら一段高を伺うのではないかと考える。
アトランタ連銀のボスティック総裁が米WSJ紙のインタビューで11月の利下げ見送りについて「問題はない」と述べたことはドル円の下支え要因になった。今夜は9月の米PPI、ミシガン大消費者信頼感指数、グールズビー・シカゴ連銀総裁やローガン・ダラス連銀総裁、ボウマンFRB理事の講演等がある。
【米新規失業保険申請件数は2021年7月以来最大の増加】
米労働省が発表した新規失業保険申請件数は10月5日までの週間で前週比3万3000件増加の25万8000件となり市場予想の23万件を大幅に上回った。米フロリダ半島等を直撃したハリケーン「ヘリーン」による影響もあったとされるが、週間の増加幅は2021年7月以来で最大となった。フロリダ半島はハリケーン「メリル」にも直撃されて200万人に避難命令が出され大規模な被害も出ているため、今後もハリケーン被害の影響による失業者増が続く可能性も指摘されている。
米労働省による9月CPI(消費者物価指数)上昇率は全体の前年同月比が2.4%となり8月の2.5%から低下した。市場予想の2.3%を上回ったものの、伸び率は6か月連続の低下で2021年2月以来凡そ3年半ぶり低水準に達した。前月比は0.2%で8月と変わらず市場予想の0.1%を上回った。
食品・エネルギーを除くコア指数の上昇率は前年同月比3.3%となり8月の3.2%から加速して市場予想の3.2%を上回り、前月比は0.3%で8月と変わらず市場予想の0.2%を上回った。
【米長期債利回りは上昇後に失速、米国主要株価指数は下落】
10月10日の米長期債利回りはまちまちの動きだった。米CPIや新規失業保険申請件数等の発表を受けて一時上昇したものの上げ幅を削る動きとなった。大幅利下げの可能性はほぼないとしても0.25%利下げとの見方が大勢を占め、利下げ見送りの可能性は1割台にとどまっている。
長期金利指標の10年債利回りは一時4.13%へ上昇して9月17日に付けた3.60%以降の最高としたが、上げ幅を削って前日比0.01%低下の4.06%に終わった。30年債利回りは一時4.41%へ上昇して9月17日に付けた3.90%以降の最高としてから上げ幅を削り前日比0.02%上昇の4.36%で終了した。政策金利動向に敏感な2年債利回りは一時4.06%へ上昇して9月25日に付けた3.51%以降の最高としてから失速して前日比0.06%低下の3.96%に終わった。
NYダウは9日に終値ベースの史上最高値を更新したが、10日は労働市場統計の悪化と米WSJ紙インタビューでアトランタ連銀総裁が11月の利下げ見送りに賛同する姿勢を示したことを嫌気して前日比57.88ドル安と下落し、ナスダック総合指数も9.57ポイント安と小幅ながら下落した。S&P500指数は9日に40.91ポイント高と連騰して取引時間中及び終値ベースの史上最高値を更新したが、10日は前日比11.99ポイント安と下落した。
米長期債利回りの上昇一服感と米国株安がドル円にとっては目先の重石となった印象だ。
【60分足、サイクル・一目均衡表分析】
ドル円は10月8日夕安値147.34円を起点として上昇期に入ったが、10日午後高値149.54円をピークとしていったん仕切り直しの下落期に入った印象だ。目先の安値形成期は11日の日中から15日夕にかけての間と想定されるのでまだ下落余地ありとするが、149円超えからは強気転換注意として10日午後高値試しとし、高値更新からは新たな上昇期入りとみて15日から17日にかけての間への上昇を想定する。
60分足の一目均衡表では10日午後高値からの下落で遅行スパンが悪化して先行スパンへ潜り込んでいるため、遅行スパン悪化中は安値試し優先とし、先行スパンから転落する場合は下げ足が速まる可能性に注意する。ただし、先行スパンを上抜き返すところからは上昇再開の可能性ありとし、遅行スパン好転からは新たな上昇期入りと仮定して高値試し優先とする。
60分足の相対力指数は10日未明に70ポイントを超えてから低下に転じ、10日夜に40ポイントを割り込んだ後も40ポイント台中心に下げ渋り程度の動きに留まっている。55ポイント超えからは上昇再開の可能性ありとみて60ポイント台後半への上昇を想定するが、50ポイント以下での推移中は下向きとし、次の40ポイント割れからは20ポイント台への低下を想定する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、148.00円を下値支持線、10日午後高値149.54円を上値抵抗線とする。
(2)10日夜安値148.35円を上回るうちは上昇余地ありとし、149円台回復からは149.54円試しとし、高値更新からは150円に挑戦する上昇を想定する。150円前後は反落警戒とするが、149円台を維持しての推移なら週明けも高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)148.35円割れからは下向きとし、148円割れからは8日夕安値147.34円前後を試す下落を想定する。147.50円以下は買われやすいとみるが、下げ足が速まる場合は147円前後試しへ下値目途を引き下げ、148円以下での推移なら週明けも安値試しへ向かいやすいとみる。
【当面の予定】
10/11(金)
休場 香港
15:00 (独) 9月 CPI(消費者物価指数)・改定値 前月比 (8月 0.0%)
15:00 (独) 9月 CPI(消費者物価指数)・改定値 前年同月比 (8月 1.6%)
15:00 (英) 8月 鉱工業生産 前月比 (7月 -0.8%、予想 0.2%)
15:00 (英) 8月 鉱工業生産 前年同月比 (7月 -1.2%、予想 -0.5%)
15:00 (英) 8月 貿易収支・物品 (7月 -200.03億ポンド、予想 -192.50億ポンド)
15:00 (英) 8月 貿易収支 (7月 -75.14億ポンド、予想 -59.25億ポンド)
21:30 (米) 9月 PPI(生産者物価指数) 前月比 (8月 0.2%、予想 0.1%)
21:30 (米) 9月 PPI(生産者物価指数) 前年同月比 (8月 1.7%、予想 1.6%)
21:30 (米) 9月 コアPPI(食品エネルギー除く) 前月比 (8月 0.3%、予想 0.2%)
21:30 (米) 9月 コアPPI(食品エネルギー除く) 前年同月比 (8月 2.4%、予想 2.7%)
22:45 (米) グールズビー・シカゴ連銀総裁、講演
23:00 (米) 10月 ミシガン大学消費者信頼感指数・速報値 (9月 70.1、予想 70.8)
23:45 (米) ローガン・ダラス連銀総裁、パネル討論会
26:10 (米) ボウマンFRB理事、講演
10/14(月)
米国はコロンブス・デーで一部休場(政府・為替・債券は休場、株式・商品は通常取引)
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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