米長期債利回り上昇で9月16日以降の高値更新、ユーロや豪ドルの下落も目立つ
〇昨日のドル円、米長期債利回り連騰や対ユーロ・豪ドルでのドル高を背景に一段高
〇本日早朝に149.36へ上昇し、9/16安値139.57以降の高値更新
〇FOMC議事要旨、0.25%利下げ主張も
〇今夜の米9月CPI、週間新規失業保険申請件数に注目
〇149.50超えからは150円前後への上昇を想定
〇148.50割れからは148円前後への下落を想定
【概況】
ドル円は米国の利下げペースが緩慢になるとの見方を背景に米長期債利回りの上昇が続く中、10日早朝に149.36円へ上昇して7日朝高値149.13円を上抜き、9月16日安値139.57円以降の高値を更新した。
10月2日の石破首相・植田日銀総裁会談と両者が追加利上げへの否定姿勢を示したことで9月27日午後からの石破ショック安による急落を解消し、4日夜の米雇用統計が予想より堅調だったことで米国の利下げペースが緩むとの見方から米長期債利回りが大幅上昇してドル全面高となり7日朝に149円台へ到達し、急騰一服による持ち高調整で8日夕刻に147.34円まで下げたところを買われ、9日も米長期債利回りの連騰とユーロや豪ドル等が9月後半以降の安値を更新してドル高優勢が続いたためにドル円も一段高へ進んだ。
サンフランシスコ連銀総裁やダラス連銀総裁が緩やかな利下げペースを支持する姿勢を示し、10日3時に公開されたFOMC議事要旨では0.50%大幅利下げに賛同せずに0.25%利下げを主張するメンバーもいたことが分かったが、サプライズ感はなく市場の反応は限定的だった。
今夜は米9月CPI、週間新規失業保険申請件数に注目が集まる。CPIが予想以上に鈍化して失業保険申請件数が悪化する場合はドル安のぶり返しも警戒されるが、CPIがさほど鈍化せず失業保険申請件数も労働市場悪化感を強めないならばドル高継続としてドル円は150円に迫る可能性があるとみる。
【FOMC議事要旨 0.25%利下げ主張も】
米連邦準備制度理事会(FRB)は9月17-18日開催のFOMC(連邦公開市場委員会)議事要旨を公表した。同会合では0.50%の大幅利下げが決定されて4年半ぶりの利下げ開始となり2026年に向けて利下げを継続してゆく姿勢が示されたが、大多数の参加者が0.50%の大幅利下げを支持したものの一部は0.25%の通常利下げを主張して見解が分かれていたとされた。採決での反対票はボウマン理事だけだったが、議論においては0.25%利下げ主張も相当程度存在していたということのようだ。
発表後の市場反応は鈍かったが、8日のウィリアムズNY連銀総裁やボストン連銀総裁らが今後の0.25%ずつの通常利下げペースを支持する姿勢を示したのに続き、9日もサンフランシスコ連銀のデイリー総裁が、年内利下げ回数について指標次第で「2回か1回」とし、ダラス連銀のローガン総裁も「今後はより緩やかな利下げが適切」との姿勢を示しており、市場では11月と12月のFOMCでは0.25%ずつの利下げ見込みが優勢で、指標次第では11月利下げが見送られる可能性もあるという印象が強まっている。
ドル円にとっては日銀が年内の追加利上げに否定姿勢を示していることも踏まえてドル高円安基調を続けやすい環境にあると言えそうだ。
【米長期債利回りの上昇続くがNYダウは楽観的強気優先で史上最高値を更新】
10月9日の米長期債利回りは米国の利下げペースが緩むとの見方を背景に総じて上昇した。
長期金利指標の10年債利回りは前日比0.06%上昇の4.07%となり、4日の米雇用統計後の急伸で0.12%上昇とし、7日に0.06%上昇、8日は4.03%まで続伸してからの反落で0.02%低下に終わったが、9日はこの間の最高を更新した。30年債利回りも0.04%上昇の4.34%としたが、一時4.35%をつけてこの間の最高を更新した。
政策金利動向に敏感な2年債利回りは前日比0.06%上昇の4.02%となった。10月4日に0.22%の大幅上昇となり7日に0.07%上昇と続伸し、8日は0.04%低下といったん下げたものの9日は前日の低下幅を解消している。
一方で米国主要株価指数は米長期債利回り上昇による圧迫感よりも緩やかながら利下げが継続し米景気もソフトランディングから好転してゆくとの楽観が勝り、NYダウは前日比431.63ドル高と大幅上昇して終値ベースの史上最高値を更新し、ナスダック総合指数も108.70ポイント高と連騰、S&P500指数も40.91ポイント高と連騰して取引時間中及び終値ベースの史上最高値を更新した。
米長期債利回り上昇傾向と株高がドル円の押し上げ要因となっている。
【60分足、サイクル・一目均衡表分析】
ドル円は10月7日朝高値149.13円から8日夕安値147.34円へ下落したところを買われて10日早朝に一段高しているため、現状は8日夕安値を起点とした上昇期にあると思われる。目先の高値形成期は10日早朝から14日午前にかけての間と想定されるのでまだ上昇余地ありとし、10日早朝高値149.36円超えからは150円を目指すとみるが、148.50円割れからは弱気転換注意として147円台後半への下落を想定する。
60分足の一目均衡表では8日夕安値からの上昇を続けて遅行スパンが好転して先行スパンも上抜いている。10日午前時点も両スパン揃っての好転を維持しているので遅行スパン好転中は高値試し優先とする。遅行スパン悪化からはいったん仕切り直しの下落期に入る可能性ありとみて安値試し優先とするが、先行スパンからの転落を回避する内は遅行スパンがその後に好転するところから上昇再開とする。
60分足の相対力指数は10日未明に70ポイントを超えてからやや低下したものの60ポイント台を維持しているのでまだ上昇余地ありとするが、相場が一段高する際に指数のピークが切り下がる弱気逆行がみられる場合は反落注意とし、50ポイント割れからは下落期入りとして30ポイント台への低下を想定する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、148.50円を下値支持線、149.50円を上値抵抗線とする。
(2)148.50円を上回るうちは上昇余地ありとし、149.50円超えからは150円前後への上昇を想定する。150円前後は売られやすいと注意するが、149円台を維持しての推移なら11日も高値試しへ向かいやすいとみる。米経済指標をきっかけとして急伸する場合は150.50円前後へ上値目途を引き上げる。
(3)148.50円割れからは148円前後への下落を想定する。148円前後は買われやすいとみるが、148.50円以下での推移なら11日も安値試しへ向かいやすいとみる。米経済指標をきっかけとして急落する場合は8日夕安値147.34円に迫る可能性もあると注意する。
【当面の予定】
10/10(木)
休場 台湾
16:35 (日) 日氷見野日銀副総裁、講演
21:30 (米) 9月 CPI(消費者物価指数) 前月比 (8月 0.2%、予想 0.1%)
21:30 (米) 9月 CPI(消費者物価指数) 前年同月比 (8月 2.5%、予想 2.3%)
21:30 (米) 9月 コアCPI(食品エネルギー除く) 前月比 (8月 0.3%、予想 0.2%)
21:30 (米) 9月 コアCPI(食品エネルギー除く) 前年同月比 (8月 3.2%、予想 3.2%)
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 22.5万件、予想 23.0万件)
21:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 182.6万人、予想 183.0万人)
22:15 (米) クックFRB理事、講演
23:45 (米) バーキン・リッチモンド連銀総裁、懇談会に参加
24:00 (米) ウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁、講演
10/11(金)
休場 香港
08:50 (日) 9月 マネーストックM2 前年同月比 (8月 1.3%)
15:00 (独) 9月 CPI(消費者物価指数)・改定値 前月比 (8月 0.0%)
15:00 (独) 9月 CPI(消費者物価指数)・改定値 前年同月比 (8月 1.6%)
15:00 (英) 8月 鉱工業生産 前月比 (7月 -0.8%、予想 0.2%)
15:00 (英) 8月 鉱工業生産 前年同月比 (7月 -1.2%、予想 -0.5%)
15:00 (英) 8月 貿易収支・物品 (7月 -200.03億ポンド、予想 -193.00億ポンド)
15:00 (英) 8月 貿易収支 (7月 -75.14億ポンド、予想 -60.00億ポンド)
21:30 (米) 9月 PPI(生産者物価指数) 前月比 (8月 0.2%、予想 0.1%)
21:30 (米) 9月 PPI(生産者物価指数) 前年同月比 (8月 1.7%、予想 1.6%)
21:30 (米) 9月 コアPPI(食品エネルギー除く) 前月比 (8月 0.3%、予想 0.2%)
21:30 (米) 9月 コアPPI(食品エネルギー除く) 前年同月比 (8月 2.4%、予想 2.7%)
22:45 (米) グールズビー・シカゴ連銀総裁、講演
23:00 (米) 10月 ミシガン大学消費者信頼感指数・速報値 (9月 70.1、予想 70.5)
23:45 (米) ローガン・ダラス連銀総裁、パネル討論会
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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