ドル円見通し 石破ショック安解消で147円台到達後も米長期債利回り上昇と原油高で高止まり(24/10/4)

ドル円は、147円到達後は上値が重くなっているものの、3日夕に146.29円までいったん下げたところも買われて146円台後半中心の揉み合いで高止まりしている。

ドル円見通し 石破ショック安解消で147円台到達後も米長期債利回り上昇と原油高で高止まり(24/10/4)

石破ショック安解消で147円台到達後も米長期債利回り上昇と原油高で高止まり

〇昨日のドル円、早朝に9/27午後高値146.47を超え、147.23へ高値を伸ばす
〇夕刻146.29までいったん下げたところも買われ、146円台後半中心の揉み合いで高止まり
〇石破ショック解消による円安継続感、米長期債利回り上昇によるドル円押し上げ続く
〇米経済指標はまちまち、ISMサービス業景況指数は強め
〇米長期債利回り上昇、NYダウ等は反落
〇146.29を上回るうちは上昇余地ありとし、147.23超えからは147円台後半への上昇を想定
〇146.29割れからは下向きとして145.50前後への下落を想定

【概況】

ドル円は10月2日午後の石破首相・植田日銀総裁会談後に両者が揃って当面の追加利上げを否定して金融緩和的状況を維持する姿勢を強く示したことで直前の144円前後から急伸して3日早朝に27日午後高値146.47円を超え、3日午前には147.23円へ高値を伸ばした。
9月27日の自民党総裁選における石破氏逆転勝利を石破ショックとして27日午後高値146.47円から30日午後安値141.64円まで下げ幅4.83円となった大幅下落を解消して一段高に入ったため、9月16日以降の円安基調継続感が強まった。147円到達後は上値が重くなっているものの、3日夕に146.29円までいったん下げたところも買われて146円台後半中心の揉み合いで高止まりしている。

英中銀のベイリー総裁が「インフレ圧力の軽減が続けば政策金利の引き下げについてもう少し積極的になる」と英ガーディアン紙が報じたことをきっかけにポンドドルが急落したが、欧州中銀のハト派姿勢でユーロドルが9月25日高値以降の安値を更新し、豪ドル米ドルも1日未明以降の安値を更新するなど9月後半までのドル安基調が崩れてドル高優勢へ風向きが変わっている。
米10年債利回りは10月3日に9月17日以降の最高を更新したが、原油価格高騰や米港湾ストによるインフレ再燃懸念が米国の連続大幅利下げ期待を後退させていることも影響しており、ドル円には石破ショック解消による円安継続感と米長期債利回り上昇による押し上げが続いている印象だ。

【米経済指標はまちまちだったがISMサービス業景況指数は強め】

10月3日の米経済指標は強弱まちまちだったが、FOMCの大幅利下げ継続に寄与しないとして米長期債利回り上昇とドル高反応を招いた。
米労働省による新規失業保険申請件数は9月28日までの週間で前週比6000件増の22万5000件となり市場予想の22万人を上回って3週ぶりに悪化したが、失業保険受給者総数は9月21日までの週間で182万6000人となり前週から1000人減少して市場予想の183万2000人を下回った。
米商務省による8月製造業受注は前月比0.2%減で7月の4.9%増から大幅に低下して市場予想の0.0%を下回った。変動の激しい輸送関連を除き0.1%減、国防関連除き0.4%減だった。
S&Pグローバルによる9月米サービス業PMI確報値は55.2となり速報の55.4から下方修正されて8月確報値55.7から悪化した。総合PMIは54.0となり速報の54.4から下方修正されて8月確報値の54.6から悪化した。
米サプライ管理協会(ISM)による9月米サービス業景況指数は54.9となり8月の51.5から3.4ポイント上昇して市場予想の51.7を上回り凡そ1年振り高水準とし、3か月連続で強弱目安の50を上回った。このうち価格指数は8月の57.3から59.4へ上昇した。

【米長期債利回り上昇、NYダウ等は反落】

10月3日の米長期債利回りは中東情勢悪化による原油価格急騰とISMサービス業景況指数の改善により総じて上昇した。
長期金利指標の10年債利回りは前日比0.07%上昇の3.85%となり、一時3.86%をつけて9月17日に付けた2023年10月以降の最低である3.60%後の最高とした。30年債利回りも0.05%上昇の4.18%となった。政策金利動向に敏感な2年債利回りは0.06%上昇の3.71%となり、9月25日に付けた2023年10月以降の最低である3.51%後の最高とした。
一方で中東情勢悪化と米長期債利回り上昇及びドル高を嫌って米国主要株価指数は下落した。NYダウは前日比184.93ドル安と下落して一時41847.81ドルまで下げて9月27日の史上最高値42628.32ドル以降の安値とし、ナスダック総合指数は6.64ポイント安と小幅下落したが一時18000を超えたところを売られた。S&P500指数は9.60ポイント安と下落に終わった。
バイデン政権はイスラエルとイラン対策を協議しているが、バイデン大統領は3日にイラン石油施設への報復を一定容認する発言をしており、報復のエスカレートがイラン・イスラエル全面戦争への懸念を強めている。

【60分足、サイクル・一目均衡表分析】

【60分足、サイクル・一目均衡表分析】

ドル円は石破ショック安を解消して147円台に到達したところで高止まりの様相だ。急騰後の反動安も警戒されるので3日夕安値146.29円割れからはいったん下げに入るとみて4日の日中から7日の日中にかけての間への下落を想定するが、今夜の米雇用統計次第では波乱含みとなるため、米雇用統計を通過して一段高へ進む場合は来週前半への続伸を想定する。

60分足の一目均衡表では3日午前高値以降を持ち合いとしているため遅行スパンは実線と交錯に入りつつあるが、先行スパンを上回る状況を維持している。3日夕安値割れからはいったん下げに入るとみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とするが、3日午前高値超えからは一段高に入るため遅行スパン好転中の高値試し優先とする。米雇用統計等をきっかけに急落する場合は先行スパン下限の145円台序盤を試す可能性もあると注意する。

60分足の相対力指数は2日夜から3日午前への上昇で80ポイントを超えていたが、4日朝には60ポイント割れへ低下している。65ポイント超えからは上昇再開とみて70ポイント台後半への上昇を想定するが、50ポイント割れから続く場合は下向きとし、45ポイント割れからは30ポイント以下への低下へ向かう流れとみる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、10月3日夕安値146.29円を下値支持線、3日午前高値147.23円を上値抵抗線とする。
(2)146.29円を上回るうちは上昇余地ありとし、147.23円超えからは147円台後半への上昇を想定する。米雇用統計から急伸する場合は148円台を目指し、週明けも高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)146.29円割れからは下向きとして145.50円前後への下落を想定する。145.50円以下は反騰注意とするが、米雇用統計通過後に急落する場合は145円前後への下落と週明けの続落を想定する。

【当面の予定】

10/4(金)
休場 中国
21:30 (米) 9月 非農業部門就業者数 前月比 (8月 14.2万人、予想 14.0万人)
21:30 (米) 9月 失業率 (8月 4.2%、予想 4.2%)
21:30 (米) 9月 平均時給 前月比 (8月 0.4%、予想 0.3%)
21:30 (米) 9月 平均時給 前年同月比 (8月 3.8%、予想 3.8%)


注:ポイント要約は編集部

オーダー/ポジション状況

関連記事

「FX羅針盤」 ご利用上の注意
掲載している情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。
掲載している商品やサービス等の情報は、各事業者から提供を受けた情報または各事業者のウェブサイト等にて公開されている特定時点の情報をもとに作成したものです。
当サイトはFXに関する情報の提供を目的としています。当サイトは、特定の金融商品の売買等の勧誘を目的としたものではありません。
FXに関する取引口座開設、取引の実行並びに取引条件の詳細についてのお問合せ及びご確認は、利用者ご自身が各FX取扱事業者に対し直接行っていただくものとします。また、投資の最終判断は、利用者ご自身が行っていただくものとします。
当社はFX取引に関し何ら当事者または代理人となるものではなく、利用者及び各FX取扱事業者のいずれに対しても、契約締結の代理、媒介、斡旋等を行いません。したがって、利用者と各FX取扱事業者との契約の成否、内容または履行等に関し、当社は一切責任を負わないものとし、FX取引に伴うトラブル等の利用者・各FX取扱事業者間の紛争については両当事者間で解決するものとします。
当社は、当サイトにおいて提供する情報の内容の正確性・妥当性・適法性・目的適合性その他のあらゆる事項について保証せず、利用者がこれらの情報に関連し損害を被った場合にも一切の責任を負わないものとします。
当サイトにおいて提供する情報の全部または一部は、利用者に対して予告なく、変更、中断、または停止される場合があります。
当サイトには、他社・他の機関のサイトへのリンクが設置される場合がありますが、当社はこれらリンク先サイトの内容について一切関知せず、何らの責任を負わないものとします。
当サイト上のコンテンツに関する著作権は、当社もしくは当該コンテンツを創作した著作者または著作権者に帰属しています。
当社は、当社の事前の許諾なく、当サイト上のコンテンツの全部または一部を、複製、改変、転載等により利用することを禁じます。
当サイトのご利用に当たっては上記注意事項をご了承いただくほか、FX羅針盤利用規約にご同意いただいたものとします。

ページトップへ戻る