ドル円続伸、一時144円台を回復
1日午前の東京市場でドル円は上値を探る動き。朝方、143.63レベルで取引の始まったドル円は、序盤、143.37まで反落後は上昇に転じ、10時前に144円台を回復。144.13の高値をつけた後、東京時間正午現在は143.96での取引です。
日経平均株価は、昨晩米市場で主要株価指数が続伸した流れを受け買いが先行。前日大きく下げた反動や、ドル円の上昇等も追い風となり、上げ幅は一時700円を超えました。その後はやや戻し、556円高で午前の取引を終了しています。
昨晩海外市場では、欧州序盤の安値141.65から米国時間終盤にかけほぼ一方向上昇。終盤にかけ143.91まで上げ、143.63でアジア時間につないでいます。
シカゴ購買部協会景気指数、ダラス連銀製造業景況指数等の米指標が市場予想を上回ったうえ、FRBパウエル議長が、講演で、利下げを急がず、「時間とともに」政策金利を引き下げていく姿勢を示したこと、今後の政策についてはデータ次第との姿勢を崩さなかったものの、当局者予想が11月、12月に0.25%ずつの利下げを示唆していることを認めた事がドル円の上昇要因となりました。
テクニカルにはドル円は、昨晩からの上昇で、再び21日移動平均線、基準線等を上抜けて転換線に絡む動きとなっています。
もっとも、今回の乱高下は、市場の総裁選の勝敗の読み違いからの一時的な要因によるもので、混乱が収拾し、落ち着きどころを見つけるまでは、ややテクニカル分析が利きにくい局面となっています。
そもそもドル円相場は、日本の政局からはほぼ影響を受けないのがこれまでのセオリー。2009年8月に初めて自民党が政権を失った時も、逆に2012年12月に自民党が政権を取り戻した時も、ドル円の一日の値幅はせいぜい1円20銭に過ぎず、当時「ここまで動かないものか」と思った覚えがあります。
それは、伝統的に日本の政府が政権は変われども基本的には日銀の独立性を尊重してきたことにも理由があると思われます。
それに比して今回は、総裁選の混戦の中、候補者が直接日銀の政策に口を挟むという、耳を疑う状況が生じました。結果、自民党の総裁選という「内輪」の選挙により、ドル円の乱高下が生じたわけですが、これは日本において中央銀行の独立性が揺らいでいると市場が判断したと考えざるをえません。
もちろん、植田総裁は圧力があったとしても、独立性を簡単に放棄するとは思えず、政治からの圧力には屈しない姿勢を示すでしょうし、今回、比較的中銀の独立性を重んじるスタンスとみられている石破氏が総裁となったことも、市場参加者には一安心といったところでしょう。
ただ、トランプ前米大統領、エルドアントルコ大統領等、最近世界では中銀の独立性など意に介せぬ指導者が目につく状況にもあります。
日本が「先進国」であり続けるためにも、このような風潮に迎合することなく、「日本政治と無関係の円相場」のセオリー早期復活と、無用の相場混乱の回避が強く期待されるところです。
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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