ドル円見通し 石破ショックによる急落幅の半値近くを戻す、見通しは不透明(24/10/1)

ドル円は、1日午前序盤には一時143.50円を割り込んだ。

ドル円見通し 石破ショックによる急落幅の半値近くを戻す、見通しは不透明(24/10/1)

石破ショックによる急落幅の半値近くを戻す、見通しは不透明

〇昨日のドル円、143円手前まで買い戻されたのち、午後安値141.64へ一段安
〇その後、石破ショックによる円買い一巡後の修正で143円台を回復
〇FRB議長の大幅利下げ継続に否定的な発言等を受け、143.91まで戻す
〇今後の石破氏発言内容次第でドル円も波乱含みとなりやすいと注意
〇米長期債利回り上昇、NYダウは3連騰
〇今夜は米9月ISM製造業景況指数、8月JOLTS求人件数の発表予定
〇144円超えからは144円台中盤への上昇を想定
〇142.50割れからは下落再開と仮定し、9/30午後安値141.64を試す下落を想定

【概況】

ドル円は9月27日午後の自民党総裁選で石破氏が逆転勝利したことをサプライズとして直前高値146.47円から143円割れへ急落し、28日早朝安値142.06円へ続落して先週を終えていたが、30日午前に143円手前までいったん買い戻されてから午後安値141.64円へ一段安となり、27日午後高値からの下げ幅は4.83円に拡大した。
石破ショックによる円買いが一巡すると過剰反応に対する修正に入って143円台を回復し、シカゴ9月PMIが前月から改善したことやパウエルFRB議長が講演で大幅利下げ継続に否定的姿勢を示したことで1日未明に143.91円まで戻り高値を切り上げ、30日午後安値からの戻り幅を2.27円として27日午後からの急落幅に対する半値近くを戻した。しかし先行き不透明感は払しょくしきれないとして144円には届かず、1日午前序盤には一時143.50円を割り込んだ。
経済情報会社MNIインディケーターズによる9月のシカゴ購買部景況指数は46.6となり8月の46.1から上昇して市場予想の46.3を上回ったが、昨年末から50を下回った状況が続いている。

【石破ショックはひとまず落ち着いたが、ドル円の方向感探る情勢続く】

自民党の石破新総裁はメディアのインタビューで利上げに対する慎重姿勢を示したことや、財務相にアベノミクス推進派である加藤氏起用としたことで、高市氏敗北に対する市場の反応は過剰だったという見方も出ているが、石破氏が早期解散により10月27日に衆議院選挙を行う見通しを示したことも含め先行き不透明感を抱えた状況にある。一部では27日午後からの急落幅解消へ向かうとの期待も見られるが、所信表明演説が10月4日、衆参代表質問が7日から9日にかけての間と想定され、その際の石破氏発言内容次第ではドル円も波乱含みとなりやすいと注意したい。
今夜は米9月ISM製造業景況指数、8月JOLTS求人件数の発表があるが、今週末の米雇用統計へ向けて重要指標の発表も相次ぐ。昨夜のパウエルFRB議長が年内2回のFOMCで0.25%ずつの利下げ見通しを示したことで11月FOMCにおける0.50%連続利下げ期待は後退したが、米国の利下げサイクル入りと日銀の追加利上げを模索する姿勢を踏まえ、米指標が弱ければ円高ドル安へ進みやすくなると思われる。

【米長期債利回り上昇、NYダウは3連騰】

9月30日の米長期債利回りは、パウエルFRB議長が連続大幅利下げに否定姿勢を示したことで総じて上昇し、長期金利指標の10年債利回りは先週末比0.03%上昇の3.78%、30年債利回りは同0.02%上昇の4.12%といずれも小幅な上昇だった。
政策金利動向に敏感な2年債利回りは先週末比0.08%上昇の3.64%となり、9月25日に3.51%へ低下して2023年10月の5.26%以降の最低としたところからの持ち直しを続けて一時3.66%へ上昇した。
パウエルFRB議長発言をきっかけとして11月の利下げ幅については0.50%か0.25%か五分五分だったところから0.25%利下げ期待が6割と優勢になったようだ。

一方で30日の米主要株価指数は総じて上昇した。連続大幅利下げ期待は後退したものの利下げサイクル入り=金融緩和期に入ることで先行きへの楽観的強気が優勢の流れとなっている。
NYダウは先週末比17.15ドル高と小幅上昇だったが3連騰とし、27日に付けた取引時間中の史上最高値更新には至らなかったものの2日連続で終値ベースの史上最高値を更新した。ナスダック総合指数は先週末比69.58ポイント高と上昇、S&P500指数は先週末比24.31ポイント高で26日の取引時間中最高値更新には至らなかったものの終値の最高値を更新した。

【60分足、サイクル・一目均衡表分析】

【60分足、サイクル・一目均衡表分析】

ドル円は9月27日午後高値146.47円から30日午後安値141.64円へ大幅下落したが、急落商状が落ち着いて買い戻し優勢となり1日未明高値143.91円まで戻した。目先は30日午後安値を底として戻りを試しているところと思われ、144円台へ乗せてくれば2日の日中から4日午後にかけての間への上昇を想定するが、142.50円割れからは下落再開を疑い30日午後安値試しとし、底割れからは27日午後からの下落が二段目に入るため、3日午後から7日午後にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では30日午後からの反騰で遅行スパンが好転して先行スパン下限に潜り込んでいるため、遅行スパン好転中は高値試し優先とする。先行スパン上限では売られやすいとみるが、先行スパンを上抜き返す場合は上昇が勢い付くとみて27日午後からの下落解消へ進む可能性もあるとみる。
ただし26本基準線割れからは下向きとし、遅行スパン悪化からは下落再開と一段安を警戒して安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は9月30日午後への安値更新に際して指数のボトムがフラットとなる強気逆行を見せて1日未明に60ポイント台へ戻したため、50ポイント以上を維持する内は70ポイント超えへ上昇する余地ありとするが、50ポイント割れからは下向きとし、45ポイント割れからは30ポイント前後への低下へ向かうとみる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、142.50円を下値支持線、144.00を上値抵抗線とする。
(2)142円台後半を維持する内は上昇余地ありとし、144円超えからは144円台中盤(144.35円から144.65円)への上昇を想定する。144.50円以上は反落警戒とするが、143円を上回っての推移か直前高値から1.50円を超える反落がみられないうちは2日も高値試しへ向かう可能性ありとみる。
(3)142.50円割れからは下落再開と仮定して30日午後安値141.64円を試す下落を想定する。142円以下は買われやすいとみるが、142.50円を下回っての推移なら2日も安値試しへ向かいやすいとみる。急落商状で30日午後安値を割り込む場合は2日から4日にかけて140円割れを試す流れと考える。

【当面の予定】

10/1(火)
休場 中国、香港、メキシコ
10:30 (豪) 8月 住宅建設許可件数 前月比 (7月 10.4%、予想 -4.3%)
10:30 (豪) 8月 小売売上高 前月比 (7月 0.0%、予想 0.4%)
16:55 (独) 9月 HOCB製造業PMI・改定値 (速報 40.3、予想 40.3)
17:00 (欧) 9月 HOCB製造業PMI・改定値 (速報 44.8、予想 44.8)
17:30 (英) 9月 S&PG製造業PMI・改定値 (速報 51.5、予想 51.5)
18:00 (欧) 9月 HICP(調和消費者物価指数)・速報値 前年同月比 (8月 2.2%、予想 1.8%)
18:00 (欧) 9月 コアHICP(食品エネルギー除く)・速報値 前年同月比 (8月 2.8%、予想 2.7%)
22:45 (米) 9月 S&PG製造業PMI・改定値 (8月 47.0、予想 47.0)
23:00 (米) 9月 ISM製造業景況指数 (8月 47.2、予想 47.5)
23:00 (米) 8月 建設支出 前月比 (7月 -0.3%、予想 0.1%)
23:00 (米) 8月 JOLTS(雇用動態調査)求人件数 (7月 767.3万件、予想 765.5万件)
24:00 (米) ボスティック・アトランタ連銀総裁、会合挨拶
24:10 (米) クックFRB理事、アトランタ連銀総裁と対談

10/2(水)
休場 中国、インド
07:15 (米) アトランタ連銀総裁、リッチモンド連銀総裁、ボストン連銀総裁の討論会
08:50 (日) 9月 マネタリーベース 前年同月比 (8月 0.6%)
14:00 (日) 9月 消費者態度指数・一般世帯 (8月 36.7、予想 37.0)
15:30 (日) 植田日銀総裁、全国証券大会で挨拶
18:00 (欧) 8月 失業率 (7月 6.4%、予想 6.4%)
21:15 (米) 9月 ADP非農業部門民間雇用者数 前月比 (8月 9.9万人、予想 12.0万人)
23:05 (米) ムサレム・セントルイス連銀総裁、会合挨拶
23:30 (米) EIA週間石油在庫統計
24:00 (米) ボウマンFRB理事、講演
25:15 (米) バーキン・リッチモンド連銀総裁、講演


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