ドル円 もみあいを挟んで戻り売りの流れは継続(週報9月第5週)

先週のドル円はまさか自民党総裁選でここまで動くとは全くの想定外で、一日の値幅4円43銭が週間レンジとなる大荒れの一日となりました。

ドル円 もみあいを挟んで戻り売りの流れは継続(週報9月第5週)

もみあいを挟んで戻り売りの流れは継続

〇先週のドル円、週初から水曜までは上下の値幅をともに広げる拡散型のもみあい相場
〇9/27 高市総裁の可能性が高まり、一時146.49レベルの高値つける
〇石破氏当選直後143円台を割り込み、海外市場でも円買いの流れ継続、142.06レベルまで下落
〇短期的には今週の米JOLTS、ADP、雇用統計に注目
〇今週は141.00レベルをサポートに、144.00レベルをレジスタンスとする週を見る

今週の週間見通し

先週のドル円はまさか自民党総裁選でここまで動くとは全くの想定外で、せいぜい1円動く程度ではないかと考えていたら一日の値幅4円43銭が週間レンジとなる大荒れの一日となりました。週初から水曜までは中国の緩和と景気刺激策などはあったものの、上下の値幅をともに広げる拡散型のもみあい相場となり、木曜には上値側だけ広げたことで底堅い地合いで総裁選を迎えました。

この木曜から金曜前場にかけての円安の動きは高市総裁となる可能性が高く、その場合アベノミクス再来ということで緩和(引き締め中断)、円安という見方が広がったことによるものです。そして今回の総裁選では候補者が多かったことから決選投票にもつれこむことが確実視されていましたが、1回目投票で高市氏が1位となったことで円安はピークに達し、一時146.49レベルの高値をつけました。

しかし、決選投票では2位の石破氏が勝ったことで、金融所得課税に積極的な立場であることから株式急落と円急騰劇を見ることとなりました。ドル円は直後に143円台を割り込み海外市場でも円買いの流れが継続、NY後場には142.06レベルまで下値を広げて安値圏での引けとなりました。週末には主要閣僚が発表され、また解散総選挙の実施、投開票が27日で進める方針のようです。

金曜に株式(先物)市場、為替市場とも大きく下げたこともありますし、本日は半期末ということも重なって基本的にはやや買い戻しが出た後は様子見ということになりやすいと思いますが、中期的には一時的とはいえ146円台まで上げてから振り落とされた余波もあり、145円の大台がかなり遠のいたという流れでしょうか。

短期的には米国FOMCで緩和後最初の雇用統計が今週金曜に発表されます。恒例でJOLTSから始まり、ADP、本番の雇用統計へと進みますが、ジャクソンホールでのパウエル議長講演後はインフレから雇用へと注目材料が変化して来ていますので、雇用関連の数字が悪化するのかどうか、そのあたりを見極めて年末に向けての追加利下げ思惑がどうなるのかといったところです。

現時点ではテクニカルを中心に考えた方が良いので、いつもの日足チャートをご覧ください。今週はかなり拡大した表示としています。

先週金曜の乱高下を含めて8月中旬高値からのレジスタンスラインと8月安値と9月安値を結んだラインとで作られるほぼ平行の下降チャンネルを想定できます。中長期的にはこの中での動きを考えることとなりますが、上がったら売りと考える参加者は一段と増えてきていると考えられることから上値は金曜レンジの半値144.27を参考に出来ると思います。

いっぽうで短期的な下値は9月安値と先週高値との78.6%押しとなる141.06が妥当で、安値をすぐに更新する動きとはならないと考えています。今週は上記の水準を参考に、141.00レベルをサポートに、144.00レベルをレジスタンスとする週を見ておきます。

もみあいを挟んで戻り売りの流れは継続

このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。
また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。

今週の予定(時刻表示のあるものは日本時間)

今週注目される経済指標と予定をあげてあります。影響が少ないものはあえて省いています。FRB地区連銀総裁講演の内、2024年FOMCメンバー(ニューヨーク、クリーブランド、リッチモンド、アトランタ、サンフランシスコ)ではない地区連銀総裁はカッコ付で示しました。また、わかりやすさ優先であえて正式呼称で表記していない場合もあります。特に重要度の高いイベントに☆印を付けました。

9月30日(月)
**:** NZ夏時間移行
10:30 中国9月製造業PMI
10:45 中国9月MarkIt製造業・サービス業PMI
15:00 ドイツ8月輸入物価
15:00 英国4〜6月期GDP改定値
21:00 ドイツ9月CPI速報値 ☆
22:00 ラガルドECB総裁議会証言 ☆
22:45 米国9月シカゴ購買部協会景況指数 ☆
26:00 パウエルFRB議長講演 ☆

10月1日(火)
08:30 本邦8月失業率・有効求人倍率
08:50 日銀会合(9月)主な意見公表 ☆
08:50 日銀短観 ☆
16:00 デギンドスECB副総裁講演 ☆
16:15 ドイツ連銀総裁講演 ☆
16:50 フランス9月製造業PMI
16:55 ドイツ9月製造業PMI
17:00 ユーロ圏9月製造業PMI
17:00 フィンランド中銀総裁講演
17:30 英国9月製造業PMI
18:00 ユーロ圏CPI速報値 ☆
22:45 米国9月製造業PMI
23:00 米国8月JOLTS求人件数 ☆
23:00 米国9月ISM製造業景況指数 ☆
23:00 米国8月建設支出

10月2日(水)
**:** 中国市場休場(〜4日)
07:15 アトランタ連銀、リッチモンド連銀、(ボストン連銀)総裁講演
18:00 ユーロ圏8月失業率
18:30 レーンECB理事講演 ☆
20:00 エルダーソンECB理事講演
21:15 米国9月ADP全国雇用者数 ☆
23:00 オーストリア中銀総裁講演
23:05 (セントルイス連銀総裁講演)
23:30 週間原油在庫統計
24:00 ボウマンFRB理事講演 ☆

10月3日(木)
16:50 フランス9月サービス業PMI
16:55 ドイツ9月サービス業PMI
17:00 ユーロ圏9月サービス業PMI
17:30 英国9月サービス業PMI
18:00 ユーロ圏PPI ☆
20:30 米国9月チャレンジャー人員削減数 ☆
21:30 米国新規失業保険申請数 ☆
22:45 米国9月サービス業PMI
23:00 米国9月ISM非製造業景況指数 ☆
23:00 米国8月製造業新規受注

10月4日(金)
15:45 フランス8月鉱工業生産
16:00 スペイン中銀総裁講演
17:30 英国9月建設業PMI
21:30 米国9月雇用統計 ☆

前週の主要レート(週間レンジ)

前週の主要レート(週間レンジ)

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート
為替の高値・安値は東京午前9時―NY午後5時のインターバンクレート

先週の概況

9月23日(月)
週明けは東京市場が休場となる中、前週末の底堅い値動きから東京前場の時間帯に144.45レベルの高値をつけました。しかし金曜高値をトライしきれず反落、欧州市場序盤には弱い経済指標に反応してユーロが対円でも大きく下げたことをきっかけにドル円はNY市場まで下げ143.16レベルの安値をつけました。NY市場ではFRB関係者によるタカ派寄り発言を受け米金利が上昇、144.35レベルまで反発したものの米金利が急反転し元の水準に押したことで、ドル円も143円台半ばでの引けとなりました。

9月24日(火)
東京市場では中国の緩和による人民元安の動きが円安にも波及し、その後は植田日銀総裁のややハト派的な発言や実需のドル買いも出て欧州市場序盤には144.68レベルまで水準を切り上げました。しかし、144円台では相変わらずドル売りオーダーが控えていたこと、ユーロドルの買い、NY市場での米金利低下などが重なり、143.11レベルまで押し安値圏での引けとなりました。

9月25日(水)
ドル円は前日の下げに対する調整と中国の景気刺激策発表もあり円安の動きを強める流れとなりました。欧州市場以降は実需のドル買いも出ていた様子で、NY引け間際には144.84レベルをつけ高値引けとなりました。

9月26日(木)
ドル円は前日の円売りの動きが継続してスタート、株式市場が大幅高となる中で欧州市場序盤には145.20レベルの高値をつけました。海外市場に移ってからは145円台で利食い売りも出たことに加え米金利が低下する動きも見られNY朝方には安値144.11レベルをつけました。NY市場では強い経済指標に反応し米金利が上昇、日経先物が続伸したこともあって145円台を回復後にやや押して引けました。

9月27日(金)
金曜のドル円は自民総裁選前後に想定外の乱高下を見せる結果となりました。総裁選前には高市氏が優勢との見方から円売りが先行、1回目投票で高市氏が1位となったことで、146.49レベルの高値をつけました。しかし、決選投票では2位の石破氏が逆転勝利し新総裁となることが決まると急反転、143円割れとなりました。その後も円じり高の展開を辿り142.06レベルの安値をつけ、そのまま安値圏での週末クローズとなりました。

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