連日の気迷い、ただドルは底堅そう
〇東京市場のドル円、前日安値143.11下回ると一時142.90レベルまで値を崩す
〇日中安値を示現後はドルの買い戻し優勢、143円を回復し夕方には143.70台まで値を上げる
〇142.50-145.00のレンジ形成しつつあり、次の材料を睨み落ち着きどころ探る往来相場たどるか
〇本日、MBA住宅ローン申請指数や8月新築住宅販売件数等の米経済指標が発表予定
〇ドル高円安方向、東京で回復出来ていない144円が最初の抵抗、超えれば昨日高値144.68目指す
〇ドル安円高方向、21日線めぐる攻防に注目、割り込んだ場合は再び回復出来るのか注視
〇欧米時間のドル円予想レンジ:143.10-144.50
<< 東京市場の動き >>
東京市場はドルが小高い。前日割り込めなかった143円を一時下回る局面も観測されたが、最終的にはドルの買い戻しが優勢に。
ドル/円は143.20-25円で寄り付いたのち、当初はドルが冴えない。前日安値143.11円を下回ると、一時は142.90円レベルまで値を崩していた。しかし、日中安値を示現後は逆にドルの買い戻しが優勢となり143円を回復。その後さらに続伸し、夕方には143.70円台まで値を上げたのち、16時現在でもそのまま高値圏で推移、欧米市場を迎えていた。
一方、材料的に注視されていたものは「米金融政策」と「日中関係」について。
前者は、昨24日に発表された米経済指標は好悪混在。しかし、9月のコンファレンス・ボード消費者信頼感指数や同リッチモンド連銀製造業指数は予想よりも悪く、トータル的にはドル売り要因となっていた。対して、ボウマンFRB理事からは「インフレリスクは残っている」としたコメントも聞かれたが、バイデン米大統領からは逆に金融当局がさらに利下げするとの見通しが改めて示されていたようだ。いずれにしろ、それらを受け東京夕方には144円台で推移していたドル/円は、そののちNYでは143円前半へ。今後発表される指標次第では、再び大幅な米利下げ観測が強まる可能性も否定できないのかもしれない。
後者は、中国で日本の児童が死亡した事件が依然として尾を引いている状況だ。自民党総裁選にも出馬している上川外相が中国の王外相と会談したものの、中国サイドは「政治問題化を避けるべき」などとした木で鼻を括ったような回答に終始。また、上川氏が「中国の日本人学校警備に4300万円を拠出する」と発表したことも、被害者側の対応ではないなどとして「弱腰」と指摘されていた。なお、そうしたなか中国国防省は本日午前、核ミサイル部隊を管轄するロケット軍が、模擬弾頭を搭載した大陸間弾道ミサイル(ICBM)1発を軍事演習で発射し、太平洋の予定海域に落下したと発表している。「中国に甘く見られている」−−などといった世論が、日本国内でさらに強まりかねない懸念も取り沙汰されていた。
<< 欧米市場の見通し >>
ドル/円相場は連日の気迷いで、なかなか動静を読みにくい。筆者は昨日も含め、直近だけで2回「移動平均の21日線をサポートに、ドルはいましばらく底堅く推移」−−などとレポートしているのだが、言ったそばから維持できずドルが弱含むという値動きをたどっている。ちなみに、そんな21日線は現在143.40円挟みで位置しており、東京夕方段階ではわずかながら上回っての推移。これが本物なのかはたまたダマシなのか、3度目の正直なのか否か、まずは21日線をめぐる動静に注目だ。
先週、日米の金融政策が発表されたばかりだが、先で一部報じたようにすでに次に向けて様々な思惑が取り沙汰されている。そうしたなか、まずは本日も発表される米経済指標などに要注意。また、先日自民党の次期有力総裁候補として名前の挙がっている高市早苗氏が「金利をいま上げるのはあほや」と述べるなか、同じ総裁候補である林官房長官からは「今後の利上げを含め、具体的手法については日銀に委ねられるべき」とクギを刺す発言が聞かれていた。いよいよ大詰めを迎えている自民党総裁選の行方にも注意を払いたい。
テクニカルに見た場合、ドル/円はしっかりとした方向性が定まらない。16日の140円割れで大底を打ったことは間違いないものの、連日ハッキリしない値動きが続いている。それでも敢えて言えば、142.50-145.00円といったレンジを形成しつつある感を否めず、しばらくはそのなかでの往来相場。次の材料をにらみつつ、落ち着きどころを探る値動きをたどる可能性もある。
本日は米経済指標として、MBA住宅ローン申請指数や8月の新築住宅販売件数が発表される予定となっている。通常であれば、それほど関心の高い指標ではないが、ここ最近の指標は好悪混在ながらやや悪い内容が目に付く。悪化傾向の内容となれば、ドル売り要因となりかねないかもしれない。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは143.10-144.50円。ドル高・円安方向は、東京で回復出来ていない144円が最初の抵抗。超えれば昨日高値144.68円を目指す。
対するドル安・円高方向は、先でも指摘したように足もと超えている移動平均の21日線をめぐる攻防に注目。仮に割り込んだ場合には、NYクローズで再び回復することが出来るのかを注視したい。
ドル円日足
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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