ドル円見通し 米CB消費者信頼感悪化でドル全面安、144円台を売られ9/16からの戻り一巡感(24/9/25)

ドル円は、24日深夜に米CB消費者信頼感指数が予想外に大幅悪化したことをきっかけとした米長期債利回り低下とドル全面安により25日朝には143円を割り込んだ。

ドル円見通し 米CB消費者信頼感悪化でドル全面安、144円台を売られ9/16からの戻り一巡感(24/9/25)

米CB消費者信頼感悪化でドル全面安、144円台を売られ9/16からの戻り一巡感

〇ドル円、米CB消費者信頼感指数の予想比大幅悪化きっかけに9/25朝143円割り込む
〇9/16安値以降、底上げしながら高値を切り上げてくるも、底上げ基調崩れて戻り一巡感優勢
〇コンファレンスボード9月消費者信頼感指数98.7、8月105.6から低下、市場予想104.0も大幅に下回る
〇米長期債利回り概ね低下、次回FOMCでの0.50%利下げ期待の高まりを反映
〇米株式市場は大幅利下げによる景気後退回避への楽観的な強気優勢、S&P500は史上最高値更新
〇143.50から143.75にかけては戻り売り有利とみる
〇142.50割れからは142.00、9/20午後安値141.73を順次試す下落想定

【概況】

ドル円は9月19日早朝の米FOMCと20日の日銀金融政策決定会合(政策金利現状維持、追加利上げを急がず)を通過して20日深夜に144.48円へ上昇し、23日夜にいったん143.16円まで下げたものの24日午後に植田日銀総裁が追加利上げを急がない姿勢を改めて示したことで夕刻に144.67円を付けて9月16日安値139.57円以降の高値とした。しかし、欧州タイムからドル安優勢の流れとなり、24日深夜に米CB消費者信頼感指数が予想外に大幅悪化したことをきっかけとした米長期債利回り低下とドル全面安により25日朝には143円を割り込んだ。
9月16日安値以降、19日早朝安値140.44円、20日午後安値141.73円、23日夜安値143.16円と底上げをしながら高値を切り上げてきたが、20日深夜以降繰り返し144円台を売られて抵抗感を見せた上で23日夜安値を割り込んだため、底上げ基調が崩れて戻り一巡感が優勢となりつつある。
ポンドドルは1.340ドル台に到達して2022年9月以降の最高値を更新、ユーロドルもFOMC直後の下落を解消して2023年10月以降の高値である8月26日高値に迫っている。

南アランドや豪ドルもFOMC後の高値を更新してドル円も失速し始めたためにドル安優勢の流れが強まってきた印象だ。

日銀の植田総裁は24日の経済団体懇談会後の会見で政策判断(追加利上げ)には「内外の金融資本市場の動向やその背後にある海外経済の状況などについて丁寧に確認していく必要があるし、そうした時間的な余裕はある」と述べ、米国経済については「依然不確実だ」との懸念を示した。20日の日銀金融政策決定会合における会見と内容は変わらないが、改めて追加利上げを急がない姿勢を示した。

米コンファレンス・ボード(CB)による9月の米消費者信頼感指数は98.7となり8月の105.6から低下したが、低下幅は2021年8月以来で最大となり市場予想の104.0を大幅に下回った。所得や労働環境の短期的な見通しを示すとされる期待指数が前月から4.6ポイント低下して81.7となり、景気後退リスクが高まるとされる80に迫った。また仕事が豊富にあるとする消費者比率は30.9%となり8月の32.7%から低下して2021年3月以来最低となった。

【米長期債利回りは低下、米国株は楽観的強気を継続】

9月24日の米長期債利回りは米CB消費者信頼感指数の悪化により概ね低下した。
長期金利指標の10年債利回りは一時3.81%へ上昇してから低下に転じて前日比0.02%低下の3.73%となった。9月17日に付けた昨年10月以降の最低である3.60%からの戻り一巡感も見られる。
30年債利回りも一時4.15%まで上昇してから低下に転じて前日から横ばいの4.09%となった。
政策金利動向に敏感な2年債利回りは前日比0.05%低下の3.54%となり9月16日に付けた3.53%に迫り、日足終値としては昨年10月に付けた5.26%以降の最低を更新した。
9月23日にFRB高官が相次いで大幅利下げ支持姿勢を示したこととCB消費者信頼感指数の悪化により次回FOMCでの0.50%利下げ期待が高まったことを反映している。

一方で米国株式市場は大幅利下げによる景気後退回避への楽観的な強気が優勢であり、NYダウは前日比83.57ドル高と上昇し、9月19日から4連騰として取引時間中及び終値の史上最高値を更新した。ナスダック総合指数も前日比100.25ポイント高と前日から2連騰とし、S&P500指数は前日比14.36ポイント高の上昇で取引時間中及び終値の史上最高値を更新した。
株高はドル円に対する下支え要因となるが、米長期債利回りが戻り一巡で低下に転じ始めたことによるドル売り圧力が勝っている印象だ。

【60分足、サイクル・一目均衡表分析】

【60分足、サイクル・一目均衡表分析】

ドル円は9月24日夕高値144.67円で9月16日安値139.57円からの戻り幅を5.10円に拡大したが、その後の失速で143円を割り込んだ。20日深夜高値144.48円を含めて144円台を繰り返し売られてから下落しているため、24日夕高値をピークとして下落期に入った印象だ。目先の安値形成期は25日午後から27日午後にかけての間とし、強気転換は144円超えからとする。

60分足の一目均衡表では25日朝への下落で遅行スパンが悪化して先行スパンからも転落したため、遅行スパン悪化中は安値試し優先とする。先行スパンへ潜り込む場合は上限試しとするが、先行スパンを上抜き返せないうちはその後の先行スパン転落から下落再開とみる。

60分足の相対力指数は9月24日夕への上昇時に70ポイントに迫ってから25日朝の30ポイント台序盤へ大幅低下しているため、40ポイント台へ戻すところを売られながら20ポイント前後を試す流れとみる。強気転換は50ポイント超えからとする。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、142.50円を下値支持線、143.75円を上値抵抗線とする。
(2)143.50円から143.75円にかけては戻り売り有利とみる。
(3)142.50円割れからは142.00円、20日午後安値141.73円を順次試す下落を想定する。142円以下はいったん買われやすいとみるが、143.50円以下での推移か直前安値から1円を超える反発がみられないうちは26日も安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の予定】

9/25(水)
10:30 (豪) 8月 CPI(消費者物価指数) 前年同月比 (7月 3.5%、予想 2.7%)
23:00 (米) 8月 新築住宅販売件数・年率換算 (7月 73.9万件、予想 70.0万件)
23:00 (米) 8月 新築住宅販売件数 前月比 (7月 10.6%、予想 -5.3%)
23:30 (米) EIA週間石油在庫統計
24:00 (米) 財務省2年物変動利付債(FRN)入札
26:00 (米) 財務省5年債入札

9/26(木)
05:00 (米) クグラーFRB理事、講演
08:50 (日) 日銀・金融政策決定会合議事要旨(7月30-31日分)
15:00 (独) 10月 GFK消費者信頼感 (9月 -22.0、予想 -22.8)
21:30 (米) 4-6月期 GDP・確定値 前期比年率 (改定値 3.0%、予想 2.9%)
21:30 (米) 4-6月期 GDP個人消費・確定値 前期比年率 (改定値 2.9%、予想 2.9%)
21:30 (米) 4-6月期 コアPCEデフレーター・確定値 前期比年率 (改定値 2.8%、予想 2.8%)
21:30 (米) 8月 耐久財受注 前月比 (7月 9.8%、予想 -2.6%)
21:30 (米) 8月 耐久財受注・輸送用機器除く 前月比 (7月 -0.2%、予想 0.1%)
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 21.9万件、予想 22.5万件)
21:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 182.9万人)

22:10 (米) コリンズ・ボストン連銀総裁、クーグラーFRB理事、討論会参加
22:20 (米) パウエル米FRB議長、会合挨拶
22:25 (米) ウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁、会合参加
22:30 (欧) ラガルド欧州中銀総裁、会合挨拶
23:00 (米) 8月 NAR住宅販売保留指数 前月比 (7月 -5.5%、予想 0.4%)
23:00 (米) 8月 NAR住宅販売保留指数 前年同月比 (7月 -4.6%)
26:00 (米) カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁、バーFRB副議長、討論会



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