ドル円 145円前後を戻り高値にドル安再開か(週報9月第4週)

NY市場では144円台半ばまで上伸したものの、東京3連休を控えての調整も入り143円台後半で一週間を終えた動きです。

ドル円 145円前後を戻り高値にドル安再開か(週報9月第4週)

145円前後を戻り高値にドル安再開か

〇先週のドル円、9/16に139.58レベルつけ、FOMCに向けての買い戻しもあり142円水準で発表待ち
〇0.5%利下げで直後には140円台半ばまで押しが入るもすぐに反騰、翌東京で144円近くまで水準上げる
〇ドットプロット、年内2回のFOMCで0.5%の追加利下げの見通し
〇市場参加者の利下げ織り込み度は0.75%、依然として利下げ幅を大きく見ている状況続く
〇9/20の日銀会合は予想通り現状維持、総裁会見がややハト派的で円売り加速、144円台半ばまで上伸
〇年末に向けての日米金利差縮小が長期的なドル安円高トレンドを継続させることは間違いないところか
〇今週は142.00レベルをサポート、145.00レベルをレジスタンスとする週を見る

今週の週間見通し

先週のドル円は前週末から急速に広がった0.5%利下げ思惑が週初にピークに達したことで、東京市場が休場となった16日に139.58レベルと一時140円の大台を割り込む動きから始まりました。その後はFOMCに向けて買い戻しが出たこともあり142円水準で発表待ち。実際に0.5%利下げとなったことで直後には140円台半ばまで押しが入ったものの、前日安値は割り込まずにすぐに反騰し翌東京市場では144円近くまで水準を上げました。

また20日の日銀会合は予想通り現状維持となりましたが、総裁会見の内容がややハト派的と取られ円売りが加速。NY市場では144円台半ばまで上伸したものの、東京3連休を控えての調整も入り143円台後半で一週間を終えた動きです。

今回のFOMCを振り返ると関係者が発言できないブラックアウト期間中に前NY連銀総裁とWSJのティミラオス記者が揃って0.5%の可能性を強く示唆する発言が出ましたが、おそらくは両者を使った公式リークで急激な反応を抑えたというところです。さすがティミラオス氏といった感じもしますが、それまでに出てきた経済指標を見ている限り雇用の悪化はあるものの0.5%利下げをする必要があったのかは疑問です。

おそらくインフレへの対応で引き締めが遅れたことが、その後のインフレ高止まりを招いた反省から、緩和の遅れでリセッションを招くことだけは避けたいということで、大幅利下げによる緩和への転換を選んだということかと思います。予防的な大幅利下げということになりますが、同時に公表されたドットプロット(金利見通し)では、12月時点の金利水準が4.25〜4.5%と年内残り2回のFOMCで0.5%の追加利下げとなっています。

いっぽうでCMEの取引状態から計算される利下げ織り込み度では次回11月での追加利下げが0.25%と0.5%で五分五分、12月時点のコンセンサスは4.0〜4.25%と計0.75%の利下げを見ていて、依然として市場参加者のほうが利下げ幅を大きく見ている状況が続いています。

今後はインフレ率が落ち着く前提で雇用が更なる鈍化を見せるかどうか、それ次第だとは思いますが、11月には大統領選もあり、10月は判断材料が多くなるため、どちらにも動きうる展開が続きそうです。
ただ、米金利が低下していくことだけは確かで、年末に向けての日米金利差縮小が長期的なドル安・円高トレンドを継続させることは間違いないところです。

テクニカルにはいつもの日足チャートをご覧ください。

先週初は140円の大台も割り込んだことで、最初のターゲットとして8月の戻り高値を起点にした逆N波動の127.2%エクスパンション139.64、次が昨年7月安値の137.23として、FOMC後の動き次第では137円台もあり得ると見ていました。

しかし、最初のターゲットで完全に止められその後の反発を見たことで、137円台トライはしばらくお預けという流れになりました。

現状はどこまでの戻りを考えるのかという段階にありますが、9月高値と安値との61.8%戻しが144.26、78.6%戻しが145.53、その間に大台145円があり、当面は大台145円近くまでの戻しを想定しながら、上がったところでは引き続き売りという展開が最もありそうなシナリオです。戻り高値での売りを考えた後は改めて下げということになりますが、半期末の実需がよほど偏らない限り、下値も限定的で142円水準では買い戻しが出てくるでしょう。

今週は上記の値動きを想定し、142.00レベルをサポートに、145.00レベルをレジスタンスとする週を見ておきます。

145円前後を戻り高値にドル安再開か

このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。

今週の予定(時刻表示のあるものは日本時間)

今週注目される経済指標と予定をあげてあります。影響が少ないものはあえて省いています。FRB地区連銀総裁講演の内、2024年FOMCメンバー(ニューヨーク、クリーブランド、リッチモンド、アトランタ、サンフランシスコ)ではない地区連銀総裁はカッコ付で示しました。また、わかりやすさ優先であえて正式呼称で表記していない場合もあります。特に重要度の高いイベントに☆印を付けました。

9月23日(月)
**:** 東京市場休場
16:15 フランス9月製造業・サービス業PMI速報値 ☆
16:30 ドイツ9月製造業・サービス業PMI速報値 ☆
17:00 ユーロ圏9月製造業・サービス業PMI速報値 ☆
17:30 英国9月製造業・サービス業PMI速報値 ☆
21:00 アトランタ連銀総裁講演
22:00 チポローネECB理事講演
22:45 米国9月製造業・サービス業PMI速報値 ☆
23:15 (シカゴ連銀総裁講演)
26:00 (ミネアポリス連銀総裁)

9月24日(火)
13:30 豪中銀政策金利発表
17:00 ドイツ9月企業景況感
22:00 米国7月ケースシラー住宅価格 ☆
23:00 米国9月消費者信頼感、リッチモンド連銀製造業景況指数
**:** 国連総会

9月25日(水)
15:45 フランス9月消費者信頼感
23:00 米国8月新築住宅販売 ☆
23:30 週間原油在庫統計

9月26日(木)
08:50 日銀会合(7月)議事要旨公表 ☆
15:00 ドイツ10月消費者信頼感
16:30 スイス中銀政策金利発表
21:30 米国4?6月期GDP確報値
21:30 米国新規失業保険申請数 ☆
22:10 クーグラーFRB理事、(ボストン連銀総裁)講演
22:20 パウエルFRB議長講演 ☆
22:25 NY連銀総裁講演
22:30 ラガルドECB総裁講演 ☆
23:00 米国8月住宅販売保留件数
23:30 バーFRB副議長講演

9月27日(金)
08:30 本邦9月東京区部CPI ☆
**:** 自民党総裁選開票 ☆
15:45 フランス9月CPI速報値 ☆
15:45 フランス8月PPI、消費支出
16:55 ドイツ9月失業率
17:15 レーンECB理事講演 ☆
18:00 ユーロ圏9月消費者信頼感
21:30 米国8月個人所得・消費支出 ☆、卸売在庫
23:00 米国9月ミシガン大消費者信頼感

前週の主要レート(週間レンジ)

前週の主要レート(週間レンジ)

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。
為替の高値・安値は東京午前9時―NY午後5時のインターバンクレート。

先週の概況

9月16日(月)
東京市場が休場で参加者も少ない中ドル売りが先行、FOMCで0.5%利下げ思惑が広がり、0.5%の利下げ折り込み度が0.25%よりも高くなったことを背景に東京昼過ぎには140円の大台割れ。欧州市場序盤には139.58レベルの安値をつけましたが、その後は利食いの買い戻しに加えNY市場では強めの経済指標が出たこともあって140.91レベルと日中高値を更新後に週明け寄り付きの水準に押して引けました。

9月17日(火)
早朝に一時的に141円台に乗せた動きを除いてNY市場までは140円台半ばから後半でのもみあいを続けていました。NY市場に入り発表された一連の経済指標が予想よりも強かったことをきっかけに米金利上昇、ドル買い戻しの動きが強まり、引けにかけて142.47レベルの高値をつけそのまま高値引けとなりました。

9月18日(水)
前日NY市場で上げた反動と日経平均株価の下げもあり、東京市場のドル円は売りが先行、昼過ぎには141.22レベルまで水準を下げていました。その後はFOMCを控えて買い戻しも入り142円水準でFOMCの結果待ち。結果は先週後半から急速に思惑が高まった0.5%の利下げとなり、為替市場は当初ドル売りで反応、140.44レベルの安値をつけました。しかし、前日安値を試せなかったことから急反転し142.71レベルの高値をつけ、引けは142円台前半へと押しました。

9月19日(木)
ドル円はFOMC後のドル買い戻しの動きが続き、仲値過ぎには一時143.94レベルの高値をつけました。しかし9月上旬の時と同様に144円超えにはドル売りオーダーも見受けられ反落、欧州市場序盤には142円目前と朝方の水準に押して海外市場入り。改めて買いで入る向きがいたことやNY朝方の経済指標が強かったことから米金利が上昇し143.77レベルまで買われたものの上げきれず再び反落。引けは142円台半ばと一日が終わると上値が重たい印象でした。

9月20日(金)
日銀会合を控えて細かい上下を挟みながらも上値が重たい展開が続き、現状維持が発表されたもののより注目度が高い総裁会見待ちとなりました。会見前には141.74レベルと一時的に前日安値を割り込んだものの、特に変わった発言も見られず若干ハト派的と取られたことでイベント通過による買い戻しが一気に強まりました。欧州市場前場には米金利が上昇する動きも手伝って144円台に乗せ、NY市場では144.50レベルまで上昇後に週末前のポジション調整から143円台後半に押して引けました。


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