ドル円 基本ドルは底堅そう、政治要因など要注意か(週報9月第4週)

先週のドル/円相場は、終わってみればドル堅調裡。週初に昨年7月28日以来の140円割れを示現したものの、その後は逆行高をたどっている。

ドル円 基本ドルは底堅そう、政治要因など要注意か(週報9月第4週)

基本ドルは底堅そう、政治要因など要注意か

〇先週のドル円、週初に昨年7/28以来の140円割れ示現し139.58つけるも、その後は逆行高
〇日米金融政策発表などの材料をこなし総じて堅調推移、週末は週間高値144.50示現
〇FOMC「0.5%利下げ」発表、パウエル議長の会見受けて次回会合以降の追加利下げ期待はやや減退
〇日銀会合は金利据え置き発表、植田総裁「世界経済不透明感強くすぐに利上げという事にはならない」
〇総裁発言、強気派にはネガティブサプライズ、週末144円半ばまでドル高円安が進行した主な原動力に
〇ドル高円安方向、先週高値144.50が最初の抵抗、上抜けると上値重そうだが145円の節目を目指す展開
〇ドル安円高方向、先週末上抜けた21日線の攻防に注目、NYクローズでしっかり下回ると下値リスク再燃
〇今週のドル円予想レンジ、142.00-146.00

<< 先週の回顧 >>

先週のドル/円相場は、終わってみればドル堅調裡。週初に昨年7月28日以来の140円割れを示現したものの、その後は逆行高をたどっている。

前週末には、高市経済安全保障担当相が、日本記者クラブ主催の自民総裁候補討論会で、「金融緩和は我慢して続けるべき」と発言したことが思惑を呼ぶ。一方、トランプ氏を狙った「暗殺未遂」と見られる事件がまたもや発生。物議を醸していたようだ。
そうした状況下、ドル/円は140.75-80円で寄り付いたのち、140円を割り込み139.58円を示現。早いタイミングで週間安値をつけたものの、以降は注目の日米金融政策発表などの材料をこなしつつ、ドルは総じて堅調推移をたどっていた。とくに週末はドル一段高の様相で、週間高値の144.50円を示現。安値から見れば5円近い上昇を記録した計算になる。最終盤には調整と思しき売りにやや押されたが、週末NYはそれでも高値圏の143.90円前後で取引を終え越週に。

一方、週間を通して注視されていた材料は、「米金融政策」と「日本の金融政策」について。
前者は、米FOMC前日にあたる17日発表された8月の小売売上高などが予想を上回る好数字となったものの、ブルームバーグは「9月の米利下げ、指標発表後も市場の予想は0.5%に傾く」と報道。そして実際に発表された会合の内容も、0.25%ではなく「0.5%の利下げ」だった。しかし、さすがに発表前後の相場は荒れ模様で、ドル/円相場も短時間で2円を超える変動が記録されている。一方、次回会合以降については、パウエルFRB議長が会見で、「今回の決定が『新しいペースだ』とは誰も捉えるべきではない」などと述べたことが、追加利下げ期待をやや減退させていた面もあったようだ。そして先でも指揮したように、ドル/円相場などでドルが週末にかけて底堅さを醸した一因になっていたようだ。

対して後者は、週末20日の東京時間に日銀会合の結果として、「金利の据え置き」を発表した。前週には「現在の日銀審議委員でもっともタカ派」−−とも言われる田村委員から「少なくとも1%程度まで利上げが必要」とした発言も聞かれたが、飽くまで長期的な視点に立つもので、短期的な変更は見込みにくいとの見方が事前から有力。結果も、まさにそうした内容だった。しかし、そののち実施された植田総裁の会見が、強気派にとってはネガティブ・サプライズに。具体的には「物価上振れリスクは相応に減少」、「世界経済に不透明感が強く、すぐに利上げということにはならない」といった内容で、これが週末144円半ばまで一時ドル高・円安が進行した主な原動力となったことは間違いないだろう。

<< 今週の見通し >>

先でも指摘したようにドル/円相場は、今週はじめに140円を一時割り込んだものの、以降はむしろ堅調推移。ザラ場ベースで144円半ばまで上昇したほか、143円半ばに位置する移動平均の21日線を週末NYクローズでも上回ってきた。まだ「しっかり超えた」とは言えず、実際今月初めに「ダマシ」の動きも観測されている。油断は禁物ながら、ドルに徐々に底堅さが戻りつつあるようだ。とは言え、上方向の抵抗は多く、右肩上がりにドル高が進行する展開も予想しにくい。
注視されていた日米の金融政策が先週発表されたが、前述したように、ともに一部でサプライズがあった。それを受け相場は乱高下も。そんな先週の余韻あるいは残滓が残るなか、今週はまず発表される米経済指標の内容に注目。なかなか重要な指標の発表が多いことから内容如何では今週も予断を許さない。また今週は日本の自民党総裁選、今週始まる国連総会の一般討論演説でイスラエル首相らが26日に演説を実施する見通しなど、別途重要な政治要因が目白押し。久しぶりに、政治要因が相場の変動要因となる可能性もある。

テクニカルに見た場合、ドル/円相場は大きな流れこそ依然としてドル安方向にバイアスがかかるものの、しばらくは底堅く推移する公算が大きい。むしろ、上値は重そうだが145円を超えて、さらなるドルの戻り高トライも。
しかしながら、週明け段階で143.40円台に位置し、今後も非常に緩やかな下降をたどる見込みの21日線を再び「しっかり」と下回ると、その限りではない。9月上旬にみせたような「ダマシ」だった可能性が浮上しそうだ。

そうしたなか今週は、9月の製造業PMI速報や同コンファレンスボード消費者信頼感指数、8月のPCEデフレーターなど多くの米経済指標が発表される予定となっている。先週発表された米指標は総じて良好な内容が多かったが、今週は果たして如何に。また米通貨当局者の講演も多く、発言内容も場合によっては波乱要因に。

そんな今週のドル/円予想レンジは、142.00-146.00円。ドル高・円安については、先週高値144.50円が最初の抵抗。上抜けると145円の節目を目指す展開となろう。需給的にも上値は重そうだが、果たして超えられるのか注目だ。
対してドル安・円高方向は、先週末段階で上抜けている21日線の攻防にまずは注目。ザラ場で一時的に割り込むぐらいであれば問題ないが、NYクローズでしっかり下回ってしまうと下値リスクが再燃しかねない。

基本ドルは底堅そう、政治要因など要注意か

ドル円日足


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