米FOMC通過で乱高下、一時急落から2円超えの反騰
〇ドル円、FOMC0.5%利下げ決定を受けいったん140.44へ急落後、142.69へ急伸
〇ドル売りイベント通過感、次回FOMCでの連続大幅利下げ期待は薄いとの見方からドル高ぶり返す
〇9/19朝は142円割れを買われつつ方向感探る、8時台に142.70台へ高値伸ばす
〇米長期債利回りは上昇、ダウは最高値更新後に反落
〇141.70を上回るうちは上昇余地あり、143円超えからは143円台中盤への上昇を想定
〇141.50割れからは下落再開を警戒して141円試しとする
【概況】
米FRB(連邦準備制度理事会)は9月17/18日開催のFOMC(連邦公開市場委員会)で0.50%の利下げを決定して年内の追加利下げ見通しを示した。ドル円はと当初のドル安反応により発表前の142円近辺からいったん140.44円へ急落したが、当面のドル売りイベント通過感と次回FOMCでの連続大幅利下げ期待は薄くなったとしてドル高がぶり返す中で142.69円へ急伸した。19日朝は142円割れを買われつつ乱高下が落ち着いたところで方向感を探っていたが、8時台には142.70円台へ高値を伸ばしている。
米10年債利回りは前日に昨年10月以降の最低を更新する低下傾向で進んできたが、FOMC通過後に上昇した。先週末に米WSJ紙や英FT紙が0.50%利上げの可能性を報道したことで市場も0.50%利下げへの期待度を6割強としていたため、利下げ決定後は期待通りとしてドル安反応だったもののサプライズ感は乏しく、年末にかけての追加利下げも緩やかなペースとなるのではないかとの見方が米長期債利回り上昇とドル高のぶり返しを誘った印象だ。
ドル円にとっては今週末の日銀金融政策決定会合で追加利上げへの前傾姿勢が見られれば円高が再燃しかねないが、日銀の追加利上げ姿勢が緩い場合は7月からの円高が一巡していったん中勢レベルでのリバウンドに入ってもよいかもしれない。
【FOMCは0.50%利下げ、年内は0.25%ずつの追加利下げか】
米FOMCは0.50%の利下げを決定して政策金利を4.75〜5.00%とした。2020年3月以来4年半ぶりの利下げであり、インフレ抑制のための利上げサイクルが終了して利下げサイクルに入った。19人中1人(ボウマン理事)が0.25%利下げを主張したがその他は0.50%利下げに賛同した。
FOMC声明ではインフレ率が目標の2%に低下する確信が強まる中で雇用の伸びが鈍化したことで利下げを決定したとし、「金利の追加調整に際しては指標などを注意深く精査する」として今後の追加利下げ姿勢を示した。
FOMC参加者によるドットプロットでの2024年金利予想は、4.50〜4.75%への低下予想が7人、4.25〜4.50%への低下予想が9人で最多、4.00〜4.25%への低下予想が1人となり、予想中央値としては今後の2会合で0.25%ずつの利下げを行う見通しとしたが、0.50%利下げを含む連続利下げ予想も多く、今後の米経済指標次第では次回会合での0.50%利下げの可能性も残ったという印象だ。2025年については0.25%の利下げを4回、2026年は同2回というのが今回会合での予想中央値であり、2026年の金利水準は2.75〜3.00%が6人で最多だった。
インフレ率については2024年末に2.3%(6月会合時点は2.6%)、失業率は2024年末に4.4%(同4.0%)と予想された。
【米長期債利回りは上昇、ダウは最高値更新後に反落】
9月18日の米長期債利回りは総じて上昇した。0.50%利下げを織り込んで今後の利下げぺースは緩やかになるとの見方で10年債や30年債の利回りが顕著に上昇したが、2年債利回りは乱高下で上昇幅も小幅だった。
長期金利指標の10年債利回りは9月17日に一時3.60%へ低下して2023年10月に付けた5.02%以降の最低を更新していたが、18日は安値更新を回避して前日比0.06%上昇の3.71%と反発した。
30年債利回りも17日に一時3.90%まで低下して昨年10月につけた5.18%以降の最低を更新してから持ち直していたが、18日は前日比0.07%上昇の4.03%となった。
政策金利動向に敏感な2年債利回りは16日に一時3.53%をつけて昨年10月19日に付けた5.26%以降の最低を更新したところから持ち直していたが、18日は一時3.72%へ大幅上昇してから3.55%へ低下して再び戻す乱調な展開だったものの前日比0.01%上昇の3.62%で落ち着いた。
一方でNYダウは一時41981.7ドルを付けて取引時間中の史上最高値を更新してから下落に転じて前日比103.08ドル安の41503.10ドルで終了して高値からは500ドル近い下落幅となり、ナスダック総合指数も17832.70へ上昇してからの反落で前日比54.76ポイント安の17573.30で終了した。S&P500指数も一時5689.75へ上昇して史上最高値を更新してから反落して前日比16.32ポイント安の5618.26で終了した。
総じて大幅利下げを好感して上昇したものの今後の利下げペースは緩いとみて利益確定売りに圧された印象だが、米経済指標がリセッション入りを懸念させるような悪化へ進まなければ楽観的株高は継続しやすいと思われる。
【60分足、サイクル・一目均衡表分析】
ドル円は9月19日未明へ急落してから一段高へ反騰したため、19日未明安値を16日夕安値に対する押し目底として上昇期に入ったと思われる。目先の高値形成期は18日朝高値を基準として21日朝から25日朝にかけての間と想定するが、日銀会合による波乱も警戒されるため141.50円割れからは弱気転換注意として19日未明安値140.44円試しを想定する。
60分足の一目均衡表では9月19日未明の急落時に遅行スパンが悪化して先行スパンからも転落したが、その後の急伸で両スパン揃って好転しているため遅行スパン好転中は高値試し優先とする。ただし波乱含みの展開が続きやすいと注意し、遅行スパン悪化からは安値試し優先とし、先行スパンから再び転落する場合は9月16日からの戻り一巡による下落期入りを警戒する。
60分足の相対力指数は9月19日未明の急落時に40ポイントを割り込んでから60ポイント到達へきりかえしたため、50ポイントを上回るうちは70ポイント超えを目指す上昇を想定する。ただし、相場が一段高する際に指数のピークが切り下がる弱気逆行がみられる場合は反落警戒とし、波乱が続く可能性もあるために45ポイント割れからは下落期入りとして30ポイント前後への低下へ向かうとみる。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、141.50円を下値支持線、143.00円を上値抵抗線とする。
(2)141.70円を上回るうちは上昇余地ありとし、143円超えからは143円台中盤(143.35円から143.65円)への上昇を想定する。143.50円以上は反落注意とするが、明日の日銀会合後に波乱含みとなりやすい点に注意する。
(3)141.50円割れからは下落再開を警戒して141円試しとする。141円前後は買われやすいとみるが、明日の日銀会合次第では急落もあり得ると注意する。
【当面の予定】
9/19(木)
日銀金融政策決定会合初日
南ア、ノルウェー、トルコ政策金利発表
10:30 (豪) 8月 新規雇用者数 (7月 5.82万人、予想 2.50万人)
10:30 (豪) 8月 失業率 (7月 4.2%、予想 4.2%)
17:00 (欧) 7月 経常収支・季調済 (6月 505億ユーロ)
20:00 (英) 英中銀 政策金利 (現行 5.00%、予想 5.00%)
21:30 (米) 4-6月期 経常収支 (1-3月 -2376億ドル、予想 -2600億ドル)
21:30 (米) 9月 フィラデルフィア連銀製造業景況指数 (8月 -7.0、予想 -1.0)
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 23.0万件、予想 23.0万件)
21:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 185.0万人、予想 185.4万人)
23:00 (米) 8月 コンファレンスボード景気先行指数 前月比 (7月 -0.6%、予想 -0.3%)
23:00 (米) 8月 中古住宅販売件数・年率換算 (7月 395万件、予想 390万件)
23:00 (米) 8月 中古住宅販売件数 前月比 (7月 1.3%、予想 -1.3%)
26:00 (米) 財務省10年インフレ連動債入札
9/20(金)
未 定 (日) 日銀金融政策決定会合 政策金利 (現行 0.25%、予想 0.25%)
08:01 (英) 9月 GFK消費者信頼感 (8月 -13)
08:30 (日) 8月 全国CPI(消費者物価指数) 前年同月比 (7月 2.8%、予想 3.0%)
08:30 (日) 8月 全国CPI(生鮮食料品除く) 前年同月比 (7月 2.7%、予想 2.8%)
08:30 (日) 8月 全国CPI(生鮮食料品・エネルギー除く) 前年同月比 (7月 1.9%、予想 2.0%)
15:00 (英) 8月 小売売上高 前月比 (7月 0.5%、予想 0.4%)
15:00 (英) 8月 小売売上高 前年同月比 (7月 1.4%、予想 1.3%)
15:00 (英) 8月 小売売上高・除自動車 前月比 (7月 0.7%、予想 0.5%)
15:00 (英) 8月 小売売上高・除自動車 前年同月比 (7月 1.4%、予想 1.1%)
15:00 (独) 8月 PPI(生産者物価指数) 前月比 (7月 0.2%、予想 0.0%)
15:30 (日) 植田日銀総裁、会見
23:00 (欧) 9月 消費者信頼感・速報値 (8月 -13.5、予想 -13.2)
24:00 (欧) ラガルド欧州中銀総裁、講演
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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