ドルは年初来安値を更新、下値リスク拡大
〇本日のドル円、142円割れすると一気に140円台まで下落、16時現在141.35-40で推移
〇中川日銀委員による今後の利上げ示唆がドル売り・円買いの一因に
〇明日の日銀田村委員講演にも注目
〇テクニカルには、年初来安値更新により、昨年12月につけた140.26が次のターゲット
〇本日は米CPI発表に要注目
〇ドル高・円安方向、本日東京でしっかりと下回った142円レベルが最初の抵抗か
〇ドル安・円高方向、本日東京時間に示現した140.70-75の攻防にまずは注目
〇ドル円予想レンジ:140.70-142.20
<< 東京市場の動き >>
東京市場はドルが大幅安。一時140.70円台まで値を下げ、年初来安値を更新する局面も観測されていた。
ドル/円は寄り付いた142円半ばを日中高値にドルは冴えない。それでも142円前後をボトムに、しばらくのあいだ底堅さを醸していたが、底割れするとそのまま一気に140円台まで値を下げた。日米の株安が嫌気されるなか、1月2日に記録した今年の安値140.80円を一時下回っている。16時現在では小戻すも上値は重く、141.35-40円で推移し欧米市場を迎えていた。
一方、材料的に注視されていたものは「日本の金融政策」と「米大統領選討論会」について。
前者は、ブルームバーグが「日銀は今月会合で政策維持へ、利上げ急ぐ必要性低いとの見方」などといった内容を報じるなか、本日の注目材料と目されていた秋田の講演で中川日銀審議委員は「現在の実質金利が極めて低い水準にある」と述べたうえで、「金融緩和の度合いを調整していくことになる」と指摘し、今後の利上げを示唆したことが話題に。為替市場におけるドル売り・円買いの要因にもなっていた。なお、本日の中川氏に続き、明12日は岡山県で田村審議委員が講演を行う予定とされている。こちらも注意を払っておきたいところだ。
後者は、日本時間の11日午前に民主党のハリス副大統領と共和党のトランプ前大統領による、米大統領選に向けたテレビ討論会が開催された。インフレや移民問題などの内政だけでなく、ウクライナやガザの紛争といった外交まで幅広いテーマで議論を交わしたものの、罵り合うような場面も多く、あまり見どころは無かったようだ。しかし事前学習の効果か、ディベートが苦手とされるハリス氏が全体的に無難にこなした印象で、実際に終了後の一部米メディアなどでは「ハリス氏が勝者との見方が大多数」といった見方も伝えられている。そのため、事前には「今回が投票前最初で最後の直接討論になる可能性がある」−−などといった報道も観測されていたが、トランプ氏が巻き返しを図り再戦を挑むとの見方も急浮上しているという。
<< 欧米市場の見通し >>
ドル/円は、6日に示現した141.75円が目先の底値で、仮に割り込むにしても来週以降と考えていたのだが、思いのほか早く底割れしてきた。ドル/円は昨日から本日東京にかけて、3円ものドル安・円高が進行している。140.80円という今年の最安値を下回ったことで、次のサポートは昨年12月につけた140.26円。それも割り込むと、いよいよ140円割れトライとなりそうだ。
市場の関心は来週予定されている日米の金融政策決定会合に高い。それもあり今週は比較的平穏なイメージを抱いていたのだが、前述したように「ドル/円は昨日から本日東京にかけて、3円ものドル安・円高進行」となかなかの暴れっぷり。市場は本日NYで発表される8月の米消費者物価指数を注視している向きもあるが、すでに相場はここまでに荒れ模様だけに影響は限られるといった見方も取り沙汰されていたが果たしてどうなるか。
テクニカルに見た場合、ドル/円は1月2日に付けた今年の年初来安値を更新。これにより、一時162円手前まで進行したドル高・円安がすべてなかったことになる「全戻し」がついに達成されたわけだ。むしろ、さらなるドル安の進行も否定できず、昨年12月につけた140.26円が次のターゲットで、それも割り込むといよいよ140円割れが現実のものとなりそう。
本日は米経済指標として、MBA住宅ローン申請指数や8月の消費者物価指数などが発表される予定となっている。前者はともかく、後者を警戒する向きもある。すでにかなりの変動をたどっているものの、油断せず緊張感をもって臨みたい。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは140.70-142.20円。ドル高・円安方向は、本日東京でしっかりと下回った142円レベルが最初の抵抗か。抜ければ142円半ばや143円を目指す。
対するドル安・円高方向は、本日東京時間に示現した140.70-75円の攻防にまずは注目だ。下回ると以前より指摘している140.26円が次のターゲットに。
ドル円日足
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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