ドル円見通し 米長期債利回り大幅低下で143円台へ下落、8月26日からの戻り幅を解消(24/9/5)

ドル円は、5日未明に144円割れへ続落し、5日午前序盤には8月26日安値143.45円を割り込んだ。

ドル円見通し 米長期債利回り大幅低下で143円台へ下落、8月26日からの戻り幅を解消(24/9/5)

米長期債利回り大幅低下で143円台へ下落、8月26日からの戻り幅を解消

〇昨日のドル円、午前に145円を割り込み、9/5未明には144円割れへ続落
〇9/4夜のJOLTS求人件数大幅悪化による米長期債利回り低下、ドル安加速が背景
〇今週末の米雇用統計が悪化の場合、0.50%の大幅利下げもあり得るか
〇米2年債利回りは昨年10月以降の最低へ大幅低下、米国株はまちまち
〇144.20超えからはいったん戻しに入るとみて144円台後半への上昇を想定
〇144円以下での推移中は一段安警戒とし、143円割れからは142円前後への下落を想定

【概況】

ドル円は9月3日午前高値147.20円から下落に転じ、米経済指標の悪化と株安及び米長期債利回り低下により9月3日夜に145.16円へ下落して4日午前に145円を割り込んだが、4日夜の米7月JOLTS求人件数が予想を大幅に下回ったことで米長期債利回り低下とドル安が加速したために5日未明に144円割れへ続落し、5日午前序盤には8月26日安値143.45円を割り込んだ。
日足は9月3日から2日連続陰線となり9月5日早朝の4日付け終値143.71円で8月27日終値143.92円を割り込んだ。8月5日安値141.69円と8月26日安値143.45円を結んだ下値支持線から転落しており、7月3日以降の下落が二段目に入り始めた印象だ。

【米求人件数予想を大幅に下回る】

9月4日に米労働省が発表した7月雇用動態調査(JOLTS)求人件数は前月比23万7000件減の767万3000件となり市場予想の810万件を大幅に下回って3年半ぶり低水準となり、6月分も当初の818万4000件から791万件へ下方修正された。9月17-18日開催のFOMCにおける利下げ幅は通常の0.25%との予想が優勢だが、今週末の米8月雇用統計が予想よりも悪化する場合には0.50%の大幅利下げもあり得るとの見方が強まりかねないとして米長期債利回りの大幅低下とドル安を招いた。
7月の米製造業新規受注は前月比5.0%増となり市場予想の4.7%増を上回ったが、設備投資の先行指標とされる航空機除く非国防資本財(コア資本財)受注は前月比0.1%減と6月と同じだったもののマイナスに留まった。
7月の米貿易赤字は前月比7.9%増の787億9100万ドルとなり予想の790億ドルにちかかったが6月の730億ドルから増加して2か月振りの拡大だった。輸入は2.1%増、輸出は0.5%増だった。

FRB(米連邦準備理事会)による地区連銀経済報告(ベージュブック)では、3地区で経済活動がわずかな増加だったものの、横ばいか減少となった地区が9地区となり前回の5地区から増加した。
米アトランタ連銀のボスティック総裁は、雇用に過度の悪影響を与える恐れがあるとして「高金利をこれ以上長く維持すべきではない」と利下げ支持姿勢を示した。

【米2年債利回りは昨年10月以降の最低へ大幅低下、米国株はまちまち】

9月4日の米長期債利回りはJOLTS求人件数の減少により大幅利下げもあり得るとして低下した。
長期金利指標の10年債利回りは前日比0.07%低下の3.76%となり3日の0.08%低下からの連続低下で8月26日から30日までの5連騰による上昇幅を解消した。8月5日の急低下時に付けた3.67%にはまだ距離を残すが日足終値ベースでは8月5日の3.78%を割り込み昨年10月23日の5.02%以降の最低とした。
30年債利回りは前日比0.07%低下の4.06%となり4日の0.07%低下から連続低下して10年債利回りと同様に8月26日以降の連騰による上昇幅を解消した。
政策金利動向に敏感な2年債利回りは前日比0.11%低下の3.76%となり、3日の0.05%低下から連続低下となり8月2日の3.85%を割り込んで昨年10月19日に付けた5.26%以降の最低を更新した。

一方でNYダウは前日比38.04ドル高と小幅上昇して3日の626.15ドル安からやや落ち着いたが、ナスダック総合指数は52.00ポイント安となり3日の577.32ポイント安から続落し、S&P500も8.86ポイント安で3日の119.47ポイント安から続落した。ソフトランディングからの金融緩和期入りという楽観がやや後退して景気後退への不安感も漂う印象だ。

【60分足、サイクル・一目均衡表分析】

【60分足、サイクル・一目均衡表分析】

ドル円は8月26日午前安値143.45円からの反騰を続けてきたが、9月3日午前時点では連騰後の反動安も警戒されるため146.20円割れからはいったん下落期に入るとし、3日深夜に145.16円へ急落したために4日午前時点では9月3日午前高値を目先のピークとした下落期入りとして4日の日中から6日の日中にかけての間への下落を想定した。
9月5日午前へ続落しているため142円台への下落も警戒されるが、144.20円超えからはいったん戻しに入るとみて6日午前から10日午前にかけての間への上昇を想定する。ただし、戻りは短命で米経済指標次第で波乱含みとなると注意し、強気転換した後に直前安値からの戻り幅の過半を解消するところからは次の下落期入りと考える。

60分足の一目均衡表では9月3日深夜への下落で遅行スパンが悪化して先行スパンからも転落したが、その後も両スパン揃っての悪化が続いているので遅行スパン悪化中は安値試し優先とする。大幅下落後の反動高にも注意がいるため遅行スパン好転からはいったん戻しに入るとみるが、先行スパンに届かないうちはその後に遅行スパンが悪化するところから下落再開とする。

60分足の相対力指数は9月2日午前高値から2日夜高値へ一段高した際に指数のピークが切り下がる弱気逆行として低下に転じたが、5日午前には20ポイント台序盤へ低下している。前日は40ポイント近辺で繰り返し売られたため40ポイント以下での推移中は一段安警戒とするが、40ポイント超えからはいったん戻しに入るとみて50ポイント台を試す上昇を想定する。ただし戻りは短命の可能性もあると注意する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、143.00円を下値支持線、144.20円を上値抵抗線とする。
(2)144.00円から144.20円手前にかけては戻り売り有利とするが、144.20円超えからはいったん戻しに入るとみて144円台後半への上昇を想定する。144.70円以上は反落警戒としてその後に144円を割り込むところからは新たな下落期入りとし、9月3日以降の安値を更新するところからは142円前後へ向かう流れとみる。
(3)144円以下での推移中は一段安警戒とし、143円割れからは142円前後への下落を想定する。142円前後はいったん買われやすいとみるが、144円以下での推移か直前安値から1円を大幅に超える反騰がみられないうちは6日も安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の予定】

9/5(木)
10:30 (豪) 7月 貿易収支 (6月 55.89億豪ドル、予想 50.00億豪ドル)
10:30 (日) 高田日銀審議委員、金融経済懇談会挨拶、14時半から記者会見
15:00 (独) 7月 製造業新規受注 前月比 (6月 3.9%、予想 -1.7%)
15:00 (独) 7月 製造業新規受注 前年同月比 (6月 -11.8%、予想 -1.9%)
18:00 (欧) 7月 小売売上高 前月比 (6月 -0.3%、予想 0.1%)
18:00 (欧) 7月 小売売上高 前年同月比 (6月 -0.3%、予想 0.1%)
21:15 (米) 8月 ADP非農業部門民間雇用者増加数 前月比 (7月 12.2万人、予想 14.5万人)
21:30 (米) 4-6月期 非農業部門労働生産性改定値 前期比 (速報 2.3%、予想 2.5%)
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 23.1万件、予想 23.0万件)
21:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 186.8万人、予想 186.5万人)
22:45 (米) 8月 S&PGサービス業PMI改定値 (速報 55.2、予想 55.0)
23:00 (米) 8月 ISMサービス業景況指数 (7月 51.4、予想 51.1)
24:00 (米) エネルギー省EIA週間石油在庫統計

9/6(金)
08:30 (日) 7月 全世帯消費支出 前年同月比 (6月 -1.4%、予想 1.2%)
14:00 (日) 7月 景気先行指数CI速報値 (6月 109.0、予想 109.4)
14:00 (日) 7月 景気一致指数CI速報値 (6月 113.2、予想 116.2)
15:00 (独) 7月 鉱工業生産 前月比 (6月 1.4%、予想 -0.4%)
15:00 (独) 7月 鉱工業生産 前年同月比 (6月 -4.1%、予想 -3.5%)
15:00 (独) 7月 貿易収支 (6月 204億ユーロ、予想 208億ユーロ)
18:00 (欧) 4-6月期 GDP確定値 前期比 (改定値 0.3%、予想 0.3%)
18:00 (欧) 4-6月期 GDP確定値 前年同期比 (改定値 0.6%、予想 0.6%)
21:30 (米) 8月 非農業部門就業者増加数 前月比 (7月 11.4万人、予想 16.5万人)
21:30 (米) 8月 失業率 (7月 4.3%、予想 4.2%)
21:30 (米) 8月 平均時給 前月比 (7月 0.2%、予想 0.3%)
21:30 (米) 8月 平均時給 前年同月比 (7月 3.6%、予想 3.7%)
21:45 (米) ウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁、基調講演
24:00 (米) ウォラーFRB理事、経済見通しについて講演


注:ポイント要約は編集部

オーダー/ポジション状況

関連記事

「FX羅針盤」 ご利用上の注意
掲載している情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。
掲載している商品やサービス等の情報は、各事業者から提供を受けた情報または各事業者のウェブサイト等にて公開されている特定時点の情報をもとに作成したものです。
当サイトはFXに関する情報の提供を目的としています。当サイトは、特定の金融商品の売買等の勧誘を目的としたものではありません。
FXに関する取引口座開設、取引の実行並びに取引条件の詳細についてのお問合せ及びご確認は、利用者ご自身が各FX取扱事業者に対し直接行っていただくものとします。また、投資の最終判断は、利用者ご自身が行っていただくものとします。
当社はFX取引に関し何ら当事者または代理人となるものではなく、利用者及び各FX取扱事業者のいずれに対しても、契約締結の代理、媒介、斡旋等を行いません。したがって、利用者と各FX取扱事業者との契約の成否、内容または履行等に関し、当社は一切責任を負わないものとし、FX取引に伴うトラブル等の利用者・各FX取扱事業者間の紛争については両当事者間で解決するものとします。
当社は、当サイトにおいて提供する情報の内容の正確性・妥当性・適法性・目的適合性その他のあらゆる事項について保証せず、利用者がこれらの情報に関連し損害を被った場合にも一切の責任を負わないものとします。
当サイトにおいて提供する情報の全部または一部は、利用者に対して予告なく、変更、中断、または停止される場合があります。
当サイトには、他社・他の機関のサイトへのリンクが設置される場合がありますが、当社はこれらリンク先サイトの内容について一切関知せず、何らの責任を負わないものとします。
当サイト上のコンテンツに関する著作権は、当社もしくは当該コンテンツを創作した著作者または著作権者に帰属しています。
当社は、当社の事前の許諾なく、当サイト上のコンテンツの全部または一部を、複製、改変、転載等により利用することを禁じます。
当サイトのご利用に当たっては上記注意事項をご了承いただくほか、FX羅針盤利用規約にご同意いただいたものとします。

ページトップへ戻る