ドル円見通し 147円台到達から下落に転じ8月26日以降の上昇幅の半値強を削る(24/9/4)

ドル円は、4日未明に146円手前へ戻したものの4日朝には145.20円近辺へ失速して続落気配としている。

ドル円見通し 147円台到達から下落に転じ8月26日以降の上昇幅の半値強を削る(24/9/4)

147円台到達から下落に転じ8月26日以降の上昇幅の半値強を削る

〇ドル円、9/3アジア株安と国内長期債利回り上昇を意識し、戻り一巡感から下落に転じる
〇米景況感の悪化、NYダウ大幅下落によるリスク回避的な円高で、9/3深夜145.16へ下落
〇今夜、米JOLTS、明日ADP雇用統計とISMサービス業景況指数、9/6に米8月雇用統計と重要指標相次ぐ
〇米長期債利回りは製造業景況感の悪化により総じて低下、米国株は大幅下落
〇ISM製造業景況指数5か月連続で50割り込み、リセッション懸念が投資家心理を委縮させた印象
〇146円以下での推移中は一段安余地あり、144.90割れからは144.65から144.35への下落を想定
〇146円手前から9/3夜反発時高値146.28にかけては戻り売り有利、146.28超えから上昇再開

【概況】

ドル円は9月3日午前に147.20円へ上昇して8月26日安値143.45円からの上昇幅を3.75円としたが、日経平均や上海総合株価指数の下落等アジア株安と国内長期債利回り上昇を意識して戻り一巡感から下落に転じた。3日夜のS&Pグローバルの米製造業PMI確報値が下方修正され米ISM製造業景況指数が5か月連続で50を割り込み、建設支出も予想を下回る悪化となり、NYダウが大幅下落したことによるリスク回避的な円高で3日深夜に145.16円へ下落した。4日未明に146円手前へ戻したものの4日朝には145.20円近辺へ失速して続落気配としている。

今夜は米JOLTS求人件数、明日夜はADP民間雇用者数増減とISMサービス業景況指数、6日夜に米8月雇用統計と重要指標が相次ぐため、9月FOMCにおける大幅利下げの期待が後退したとして円安ドル高で推移してきた流れにブレーキがかかりいったん仕切り直しに入ったと思われる。ユーロやポンド、豪ドル等が下落してドルストレートではドル高だったが、クロス円全般が大幅下落してドル円も下げたためにドル高に勝る円高のぶり返しという印象だ。
9月3日の国内長期債利回りが総じて上昇したことも円高に寄与した。10年債入札が低調だったこともあり、国内新発10年物国債(第375回)利回りは前日比0.015%上昇の0.920%となり、2年債利回りが0.020%上昇、5年債利回りも0.020%上昇した。

【米景況感悪化】

9月3日夜にS&Pグローバルが発表した8月米製造業PMI確報は47.9となり速報の48.0から下方修正されて7月確報の49.6から悪化した。
米供給管理協会(ISM)による8月製造業景況指数は8か月振り低水準だった7月の46.8から47.2へ改善したものの市場予想の47.5を下回って5か月連続で好不況の分岐点である50を割り込んだ。
米商務省による7月建設支出は年率換算の前月比が0.3%減となり市場予想の0.1%減を下回り6月の0.0%から悪化した。高水準の住宅ローン金利が一戸建て住宅建設の重しとなり、民間部門の建設支出と住宅建設支出はともに0.4%減、新築一戸建て住宅の建設支出が1.9%減と大幅に悪化した。

【米長期債利回りは低下、米国株は大幅下落】

9月3日の米長期債利回りは米製造業景況感の悪化により総じて低下した。
長期金利指標の10年債利回りは前日比0.08%低下の3.83%となったが、8月26日から30日までの5連騰して9月2日の時間外取引で3.94%まで続伸していたもののこの間の上昇幅の過半を解消した。30年債利回りも前日比0.07%低下の4.13%となり、2年債利回りも0.05%低下の3.87%となった。
一方でNYダウは一時720ドル安を超えて前日比626.15ドル安の大幅下落となり、ナスダック総合指数は577.32ポイント安、S&P500指数も119.47ポイント安と大幅下落した。先週までは米国の景気悪化についてはソフトランディングで落ち着いた上で9月から利下げ開始=金融緩和期に入ることで上昇基調を継続できるとの楽観的強気が優勢だったが、今週末の米雇用統計へ重要指標が続く中で仕切り直しの下落に入った印象もある。ISM製造業景況指数が5か月連続で50を割り込んだことによりソフトランディングでは済まずにリセッションへ向かう懸念も投資家心理を委縮させた印象がある。

【60分足、サイクル・一目均衡表分析】

【60分足、サイクル・一目均衡表分析】

ドル円は8月26日午前安値143.45円から27日夕高値145.17円までの高安レンジ内で三角持ち合いを形成し、8月29日夜に27日夕高値を超えて三角持ち合いから上放れし、30日午前に反落したところからさらに一段高へ進んだために8月30日午前安値を起点とした上昇期として高値形成期を9月3日夜から5日夜にかけての間と想定したが、連騰後の反動安も警戒されるため146.50円割れを弱気転換注意として146.20円割れからはいったん下落期に入るとした。
9月3日深夜に145.16円へ急落したため、9月3日午前高値を目先のピークとした下落期入りとして9月4日の日中から6日の日中にかけての間への下落を想定する。8月26日からの上昇幅の半値以上を削ったため、いったん戻しに入ってから9月3日以降の安値を更新する場合は新たな下落期に入ることで下落基調が長引く可能性もあると注意する。強気転換は9月3日夜の反発時高値(146.28)超えからとする。

60分足の一目均衡表では9月3日深夜への下落で遅行スパンが悪化して先行スパンからも転落したが、その後も両スパン揃っての悪化が続いているので遅行スパン悪化中は安値試し優先とする。先行スパンからの転落中は遅行スパンが一時的に好転してもその後に悪化するところから下落再開とし、強気転換は9月3日夜高値超えからとする。

60分足の相対力指数は9月2日午前高値から2日夜高値へ一段高した際に指数のピークが切り下がる弱気逆行気配がみられたために3日午前時点では60ポイント割れから下向きとしたが、3日深夜に30ポイントへ低下した後も40ポイント台へ戻したところを売られているため20ポイント前後への低下余地ありとみる。強気転換は50ポイント超えから続伸する勢いある上昇が必要と思われる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、144.90円を下値支持線、146.00円を上値抵抗線とする。
(2)146円以下での推移中は一段安余地ありとし、144.90円割れからは144円台中盤(144.65円から144.35円)への下落を想定する。144.50円以下はいったん買われやすいとみるが145.50円以下での推移が続く場合及び直前安値から1円を大幅に超える反騰がみられないうちは5日も安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)146円手前から9月3日夜反発時高値(146.28)にかけては戻り売り有利とするが、146.28円超えからは上昇再開として147円前後を目指す上昇を想定する。

【当面の予定】

9/4(水)
10:30 (豪) 4-6月期 GDP 前期比 (1-3月 0.1%、予想 0.3%)
10:30 (豪) 4-6月期 GDP 前年同期比 (1-3月 1.1%、予想 1.0%)
10:45 (中) 8月 財新サービス業PMI (7月 52.1、予想 51.8)
16:55 (独) 8月 HOCBサービス業PMI改定値 (速報 51.4、予想 51.4)
17:00 (欧) 8月 HOCBサービス業PMI改定値 (速報 53.3、予想 53.3)
17:30 (英) 8月 S&PGサービス業PMI改定値 (速報 53.3、予想 53.3)
18:00 (欧) 7月 PPI(生産者物価指数) 前月比 (6月 0.5%、予想 0.3%)
18:00 (欧) 7月 PPI(生産者物価指数) 前年同月比 (6月 -3.2%、予想 -2.5%)

21:30 (米) 7月 貿易収支 (6月 -731億ドル、予想 -790億ドル)
22:45 (加) カナダ中銀 政策金利 (現行 4.50%、予想 4.25%)
23:00 (米) 7月 製造業新規受注 前月比 (6月 -3.3%、予想 4.7%)
23:00 (米) 7月 JOLTS(雇用動態調査)求人件数 (6月 818.4万件、予想 810.0万件)
27:00 (米) 米地区連銀経済報告(ベージュブック)

9/5(木)
08:30 (日) 7月 現金給与総額 前年同月比 (6月 4.5%、予想 3.0%)
10:30 (豪) 7月 貿易収支 (6月 55.89億豪ドル、予想 49.00億豪ドル)
10:30 (日) 高田日銀審議委員、金融経済懇談会挨拶、14時半から記者会見
15:00 (独) 7月 製造業新規受注 前月比 (6月 3.9%、予想 -1.5%)
15:00 (独) 7月 製造業新規受注 前年同月比 (6月 -11.8%、予想 -1.9%)
18:00 (欧) 7月 小売売上高 前月比 (6月 -0.3%、予想 0.2%)
18:00 (欧) 7月 小売売上高 前年同月比 (6月 -0.3%、予想 0.2%)

21:15 (米) 8月 ADP非農業部門民間雇用者増加数 前月比 (7月 12.2万人、予想 13.8万人)
21:30 (米) 4-6月期 非農業部門労働生産性改定値 前期比 (速報 2.3%、予想 2.5%)
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 23.1万件、予想 22.8万件)
21:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 186.8万人)
22:45 (米) 8月 S&PGサービス業PMI改定値 (速報 55.2)
23:00 (米) 8月 ISMサービス業景況指数 (7月 51.4、予想 51.0)
24:00 (米) エネルギー省EIA週間石油在庫統計



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