リスクオフ再燃で145円台へ急落。タカ派な植田総裁発言と不冴な米ISM指数も重石
〇ドル円、米国時間朝方にかけ一時145.16まで急落、145円台半ばでの推移
〇タカ派な植田総裁発言と不冴な米8月ISM指数、製造業PMIが重石
〇ユーロドル、欧州株急落、欧州債利回り低下等に1.10台前半の冴えない動き
〇ドル円、日足が21日移動平均線やボリンジャーミッドバンドを下抜け、短期の買いサインも消失
〇ファンダメンタルズは円キャリートレードの再開期待がドル円をサポート
〇引き続き、ドル買い・円売りトレンドの再開をメインシナリオとして予想
〇本日の予想レンジ:144.50ー147.00
海外時間のレビュー
3日(火)のドル円相場は大幅下落。アジア時間朝方にかけて、高値147.21まで上値を伸ばすも、一巡後に伸び悩むと、(1)急ピッチな上昇に対する反動売り(利食い売り)や、(2)日経平均株価の冴えない動き(リスク回避の円買い圧力)、(3)米金利低下に伴うドル売り圧力、(4)植田日銀総裁による経済財政諮問会議での「(物価見通しが実現すれば)引き続き政策金利を引き上げ金融緩和の度合いを調整する」とのタカ派的な見解発表、(5)上記4を背景とした仕掛け的なドル売り・円買い(短期筋のストップSELLを誘発)、(6)米8月製造業PMI確報値(結果47.9、予想48.1)の不冴な結果、(7)米8月ISM製造業景況指数(結果47.2、予想47.5)の市場予想を下回る結果が重石となり、米国時間朝方にかけて、安値145.16まで急落しました。もっとも、売り一巡後に下げ渋ると、(8)上記7で発表された米ISM製造業景況指数の内訳である雇用指数(結果46.0、前回43.4)の前回比改善や、(9)米長期金利の低下幅縮小が支えとなり、本稿執筆時点(日本時間9/4午前6時15分現在)では、145.50前後で推移しております。
3日(火)のユーロドル相場は上値の重い展開。アジア時間朝方にかけて、高値1.1073まで上値を伸ばすも、一巡後に伸び悩むと、(1)欧州株の急反落(リスクオフ再燃)や、(2)欧州債利回りの急低下、(3)ユーロクロスの冴えない動き(対英ポンドや対スイスフラン、対円などでユーロが下落→ユーロドル連れ安)、(4)欧州経済の先行き不透明感が重石となり、米国時間午後にかけて、安値1.1027まで下落しました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間9/4午前6時15分現在)では、1.1045前後で推移しております。尚、昨日はリトアニア中銀シムカス総裁による「9月利下げを支持する説得力のある論拠は多い」「10月利下げはほぼないだろう」との発言や、ドイツ連銀ナーゲル総裁による「インフレの大波は終わった」「9月利下げを支持するかどうかは事前に明言しない」との発言が見られましたが、市場の反応は限定的となりました。
本日の見通し
ドル円は147.21から145.16まで急落するなど不安定な値動きが続いています。日足ローソク足が再び21日移動平均線やボリンジャーミッドバンドを下抜けした他、4時間足ベースで強い買いシグナルが消失するなど、テクニカル的に見て、地合いの悪化が警戒されます。但し、ファンダメンタルズ的に見ると、日米金利差の縮小スピードが緩やかなものに留まるとの見方の台頭(年内追加利上げに踏み切りづらい日銀と大幅利下げ観測が後退しつつある米FRB)や、それに伴う円キャリートレードの再開期待(IMM通貨先物における非商業部門の取組状況で円の買い越し額が3年半ぶり水準となっていることも、円キャリートレード再構築を後押し)など、ドル円相場の一巡後に反発を連想させる材料が増えつつあります。
昨日発表された米ISM製造業景況指数の内訳の雇用指数が改善を示していたことも、米労働市場に対する過度に悲観論の後退を通じて、米ドルを下支えすると見られることから、当方では引き続き、ドル買い・円売りトレンドの再開をメインシナリオとして予想いたします(※欧米株の急落を受けてアジア株も全面安となる可能性が高いため、一時的に144円台へ突入する恐れはあるものの、下がったところでは押し目買いに支えられてすぐに持ち直すシナリオを想定)。尚、本日は米7月製造業受注や、米7月耐久財受注、米7月JOLT雇用動態調査、米地区連銀経済報告(ベージュブック)などに注目が集まります。
本日の予想レンジ:144.50ー147.00
注:ポイント要約は編集部
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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