ドル安リスク根強いが、目先はレンジ取引も
〇本日のドル円、積極的な動意は手控えられ、144.25-145.00とやや狭めのレンジ取引に終始
〇昨日安値143円半ばを目先安値に、上値を147円程度としたレンジを形成するか注視される
〇基本的なリスクは下向き、143円半ばを割り込むと、安値141.68が再び視界内に
〇発表される米経済指標に注目、本日は8月消費者信頼感指数など要注意
〇欧米時間のドル円予想レンジは144.40-145.60、ドル高円安方向は145円レベルが最初の抵抗
〇ドル安円高方向、144円半ばをめぐる攻防にまずは注目
<< 東京市場の動き >>
東京市場はドルが底堅い。株価の動きなどをにらみつつも、久しぶりにやや大人しめの値動きだった。
ドル/円は144円半ばで寄り付いたものの、積極的な動意は手控えられ気味。実際、144.25-145.00円とやや狭めのレンジ取引に終始した。途中、鈴木財務相から「為替が日本経済に与える影響を注視している」といった発言が聞かれるも、レベル的には市場介入を意識した感もないため、影響は限られている。16時現在では144.80-85円で推移し、欧米市場を迎えていた。
一方、材料的に注視されていたものは「ロシア情勢」と「日中関係」について。
前者は、ウクライナがロシアへの越境攻撃を続けるなか、ロシアはウクライナ全土に向けて100発以上のミサイルと、攻撃用ドローン約100機を発射したことを明らかにした。少なくとも10地域で電力などの重要インフラを標的とした攻撃だったと言われている。一方、インドのモディ首相は、バイデン米大統領と電話会談し、ロシアが侵攻を続けるウクライナ情勢などについて意見交換。ウクライナの和平と安定の早期回復に向け、全面的に支援すると伝達したという。
後者は、外務省の鯰アジア大洋州局長が、中国外務省の劉アジア局長と中国による日本産食品の輸入規制などをめぐり意見交換するなか、中国軍機が長崎県男女群島沖の領空を侵犯したとされ、日本では大問題に。日本政府は中国政府に厳重に抗議し、再発防止を求めたという。なお、そうしたなか超党派の日中友好議員連盟の二階会長(自民党元幹事長)らが中国に向けて出発したと報じられていた。王外相や中国共産党中央対外連絡部(中連部)の劉部長らとの面会を調整しているとされるが、一連の動きのなかで先の領空侵犯についてしっかりと抗議の意思を表明することが出来るのだろうか。
<< 欧米市場の見通し >>
ドル/円相場は、やや悩ましい状況。昨日東京時間に143.45円の安値を示現したものの、その後は逆にドルが底堅い。そして本日東京時間には一時145円近くまで値を戻していた。つまり、昨日安値143円半ばを目先安値に上値を147円程度としたレンジを形成することになるのか否かが注視されている。しかし、基本的なリスクは下向きで143円半ばを割り込むと、安値141.68円が再び視界内に。
引き続き日米の金融政策を注視している向きがある。日本もさることながら、米国も年内2度の利下げを予想する声が高まりつつあり、それを裏付ける意味も含めまずは発表される米経済指標に注目だ。本日でいえば、8月の消費者信頼感指数などに要注意。また、中東を中心とした世界各地の地政学リスクの高まりも依然として気掛かり。なかでも、早期妥結となるのか否か、ガザ停戦交渉についての実務者レベル協議などの行方はしっかりと注視しておきたい。
テクニカルに見た場合、ドル/円が本日143円半ばまで下落し、ドル下値余地が拡大したようだが、その後の展開を見ると短期的な底入れしたと考えられる。ドル強気派としては早めの145円台回復、そして現在急下降中の移動平均の21日線を超えていく展開を期待したいところだが、そう簡単ではないだろう。ドルの上値は重そうだ。なお、フィボナッチの観点では次の上値ポイントは145.70-75円か。
本日は米経済指標として、8月の消費者信頼感指数などが発表される予定となっている。重要とされる指標で市場の関心も高いだけに、その内容如何では為替市場への影響も否定できないだろう。また、それとは別に欧州の中銀総裁による発言機会が多く、そちらを警戒する向きもある。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは144.40-145.60円。ドル高・円安方向は、本日東京で超えられなかった145円レベルが最初の抵抗。超えれば先でも指摘した145.70-75円が意識されそうだ。
対するドル安・円高方向は、目先のサポートになりつつある144円半ばをめぐる攻防にまずは注目。下回ると東京安値144.25円レベルがターゲットに。
ドル円日足
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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