ドル円見通し 8月16日早朝高値から4円を超える急落後に146円台回復(24/8/20)

週明けは日経平均の大幅安と同調しながら午後安値145.18円へ急落し、その後に146円台を回復する乱調な展開となった。

ドル円見通し 8月16日早朝高値から4円を超える急落後に146円台回復(24/8/20)

ドル円見通し 8月16日早朝高値から4円を超える急落後に146円台回復

〇ドル円、8/19は日経平均大幅安と同調して午後145.18へ急落、その後146円台を回復する乱調な展開
〇ドル円の急落背景は、8/21の米雇用関連指標下方修正観測や、カナダ資本の買収提案を行ったとの報道
〇昨日発表の米7月景気先行指数は、予想以上に低下
〇米長期債利回りはまちまちの小動き、米株価指数は先行きの楽観的強気見通しから連騰継続
〇146円台を維持する内は上昇余地ありとし、147.25超えからは147円台後半を目指す上昇を想定する
〇146円割れから続落の場合は、8/19午後安値145.18試しとする

【概況】

ドル円は7月31日の日銀利上げ、8月1日早朝FOMCにおける9月利下げ検討姿勢、8月2日の米7月雇用統計悪化をきっかけとした5日にかけての世界連鎖株安により7月30日高値155.21円から8月5日安値141.69円まで下げ幅13.52円となる急落に見舞われ、世界連鎖株安の落ち着きと米長期債利回りの反発等で持ち直し、8月15日夜の米7月小売売上高が堅調で新規失業保険申請件数も2週連続で改善したことにより16日早朝には149.38円まで戻し、この間の戻り幅は7.69円となった。
8月16日夜にかけて147円台へ失速して週を終えていたが、週明けは日経平均の大幅安と同調しながら午後安値145.18円へ急落し、その後に146円台を回復する乱調な展開となった。ドル円の急落背景は8月21日の米雇用統計年次改定で大幅な下方修正があるのではないかとされたこと、カナダ資本がセブン&アイ・ホールディングスに買収提案を行ったとの報道により大量の円資金調達が始まるのではないかとの見方等が重なったためと思われる。

8月16日早朝高値からの下落規模は8月1日夜から8月2日夜の米雇用統計悪化で急落した時に近い印象もあり、8月5日からの戻り一巡による下落再開感も漂うところだが、週末に植田日銀総裁の参院答弁やジャクソンホール会合でのパウエルFRB議長講演を控えているために目先は円高バイアスがかかりつつやや慎重な動きとなるのではないかと考える。

・8月19日夜発表の米コンファレンス・ボード(CB)による7月景気先行指数は100.4となり前月比0.6%低下して市場予想の0.3%低下を下回る悪化となった。CB担当者は「景気先行指数は前月比で低下が続いているが景気後退の予兆を示していない」としたが、「消費者と企業の支出・投資の減少で米国の実質GDP成長率は今後の数四半期にわたり鈍化する」との予想を示した。
・ロイター通信が8月19日に公表したエコノミスト調査では、年内3回のFOMCで0.25%ずつの利下げが行われるとの見方が過半を超えた。9月FOMCについては一時0.50%の大幅利下げ説が優勢となっていたもののその後は0.25%利下げ予想に落ち着いており、あとは今後のインフレ率鈍化や労働市場悪化度合いで追加利下げ回数も決まると見込まれている。

・シカゴ連銀のグールズビー総裁は8月18日の英FT紙インタビューで「9月に市場予想通りに利下げする確実性はないものの、利下げしなければ労働市場に打撃を与えかねない」として利下げ支持姿勢を示した。またミネアポリス連銀のカシュカリ総裁もWSJ紙のインタビューで「9月利下げを議論するのは適切」との見解を示している。

【米長期債利回りはまちまちの小動き、米株価指数は連騰伸ばす】

8月19日の米長期債利回りは週末のジャクソンホール会合でのパウエル議長講演を見定めたいところとしてまちまちの小動きだった。長期金利指標の10年債利回りは先週末比0.01%低下の3.87%、30年債利回りは先週末比0.02%低下の4.12%、2年債利回りは先週末比0.02%上昇の4.07%だった。

一方で8月19日の米主要株価指数は利下げ期待による先行きの楽観的強気見通しが優勢となりNYダウは8月13日から5連騰とし、高値で40907.32ドルを付けて7月18日の史上最高値41376.00ドルへ徐々に迫っている。ナスダック総合指数は先週末比245.05ポイント高と上昇して8月8日から8連騰とし、7月11日の史上最高値1867.07にはまだ距離を残しているものの17877.44まで高値を伸ばしてきた。S&P500指数も54.00ポイント高でナスダックと共に8連騰として高値で5608.30を付けて7月16日の史上最高値5669.67に迫っている。総じて強気であり過去最大級のV字反騰となりつつあるものの、8月21日の米雇用統計年次改定で大幅な下方修正がある場合はこうした楽観的上昇にブレーキがかかる可能性もあると注意したい。

【60分足、サイクル・一目均衡表分析】

【60分足、サイクル・一目均衡表分析】

ドル円は8月14日昼安値146.07円からの反騰が16日早朝高値149.38円で一巡して下落したが、19日午後安値145.18円まで急落してから20日午前序盤に146円台後半へ戻しているため、目先は急落後のリバウンド期にあると思われる。8月19日午後安値割れを回避する内は21日朝から23日早朝にかけての間への上昇余地ありとするが、146円割れからは弱気転換注意として19日安値試しとし、底割れからは新たな下落期入りとして22日午後から26日午後にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表で先週末の下落で遅行スパンが悪化し、19日午前からの一段安で先行スパンからも転落したが、19日午後からの反騰により遅行スパンは好転しやすい位置に来ている。遅行スパン好転からは高値試し優先とし、先行スパンを上抜く場合は上昇も勢い付くとみるが、先行スパンを上抜き返せないうちは遅行スパンが一時的に好転してもその後に悪化するところからは下落再開とする。

60分足の相対力指数は8月19日午後への急落で20ポイントを割り込んでから20日午前序盤に50ポイントまで切り返してるので、40ポイントを上回るうちは反騰継続余地ありとして55ポイント超えからは60ポイント前後を目指す上昇を想定する。ただし、50ポイント台を維持できずに40ポイント割れへ失速するところからは下落再開とみて20ポイント台への低下を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、146.00を下値支持線、147.25円を上値抵抗線とする。
(2)146円台を維持する内は上昇余地ありとし、147.25円超えからは147円台後半(147.50円から148円手前)を目指す上昇を想定する。147.75円以上は反落注意とするが、146円を上回っての推移なら21日の日中も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)146円を一時的に割り込んでも回復する内は上昇余地ありとするが、146円割れから続落の場合は19日午後安値145.18円試しとし、底割れからは144円台中盤(144.65円から144.35円)への下落を想定し、21日も安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の予定】

8/20(火)
10:30 (豪) 豪中銀、金融政策会合議事要旨
15:00 (独) 7月 PPI(生産者物価指数) 前月比 (6月 0.2%、予想 0.2%)
17:00 (欧) 6月 経常収支・季調済 (5月 370億ユーロ)
18:00 (欧) 7月 HICP(調和消費者物価指数)改定値 前年同月比 (速報 2.6%、予想 2.6%)
18:00 (欧) 7月 コアHICP(食品エネルギー除く)改定値 前年同月比 (速報 2.9%、予想 2.9%)
18:00 (欧) 6月 建設支出 前月比 (5月 -0.9%)
18:00 (欧) 6月 建設支出 前年同月比 (5月 -2.4%)
26:35 (米) ボスティック・アトランタ連銀総裁、座談会
27:45 (米) バーFRB副議長、討論参加

8/21(水)
08:50 (日) 7月 通関貿易収支・季調前 (6月 2240億円、予想 -3265億円)
08:50 (日) 7月 通関貿易収支・季調済 (6月 -8168億円、予想 -7535億円)
23:30 (米) EIA週間石油在庫統計
26:00 (米) 財務省20年債入札
27:00 (米) 米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨・7月30-31日分



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