ドル円 突然のドル急落、下値余地拡大の可能性も(8/19夕)

週明けの東京市場はドルが大幅安。一時はトータルで3円近いドル安が進展している。

ドル円 突然のドル急落、下値余地拡大の可能性も(8/19夕)

突然のドル急落、下値余地拡大の可能性も

〇本日のドル円、148.05レベル示現後は右肩下がりで145.20へ下落、16時現在145.85-90で推移
〇テクニカルには、当面安値141.68と当面高値149.40の間で次の展開見込まれるか
〇本日は米7月景気先行指数発表、ウォラーFRB理事の挨拶に注目
〇いまだ不安定な日本株価、NYダウ、ガザ停戦協議の進展にも要注意
〇ドル高・円安方向:目先の抵抗146円を超えると、テクニカルには147円近くまで戻る可能性も
〇ドル安・円高方向、本日東京安値145.20レベルをめぐる攻防にまず注目
〇ドル円予想レンジ:145.30-147.0

<< 東京市場の動き >>

週明けの東京市場はドルが大幅安。一時はトータルで3円近いドル安が進展している。

週末は、ロシアが実効支配するザポロジエ原発近くにおける攻撃が確認され、IAEAがドローン攻撃に懸念を表明していた。一方、ガザの停戦交渉は近くカイロで高官による再協議が実施される見込みなどと伝えられており、進展如何が注視されていたようだ。
そうした状況下、ドル/円は147.60円前後で寄り付いたのち、日中高値の148.05円レベルを示現。しかし、以降は右肩下がりで、とくに147円を割り込んだあたりから下げが加速し、あっという間に日中安値の145.20円レベルへ。高値から3円近く下落したのち、16時現在では若干ドル高へと戻した145.85-90円で推移、欧米市場を迎えている。

一方、材料的に注視されていたものは「ガザ停戦交渉」と「ロシア情勢」について。
前者の「ガザ停戦交渉」は、関係国などそれぞれのあいだでだいぶ温度差がうかがえる。実際、停戦交渉を仲介した米国など3ヵ国が、「隔たりは狭まった」と主張し成果を強調するなか、イスラエルも最新の米国の提案で合意に向け進展する可能性を「慎重ながら楽観している」と表明していた。しかし、その一方でハマスサイドは醒めた目で状況を見ているようだ。AP通信は、イスラム組織ハマスの幹部が「合意が近づいているというのは幻想だ」と述べたと報じている。米国などの発表を鵜呑みにすれば、協議は順調に進展し合意まであと一歩という感じもするが、どうも状況はそんな単純でないようだ。

後者は、先で指摘したロシアが実効支配するザポロジエ原発近くにおける攻撃が物議を醸す。ロシア、ウクライナともに互いが攻撃を仕掛けたと非難合戦にも発展していたもよう。また、それとは別にウクライナによるロシアへの越境攻撃も依然話題に。そうしたなか、プーチン大統領の側近であるパトルシェフ大統領補佐官の発言として、「NATO諸国と西側の諜報機関の参加のもとで越境攻撃は計画された」という陰謀論がまたもや指摘されていたようだ。なお、米紙ワシントン・ポストは「部分停戦の間接交渉がウクライナの越境攻撃を受け頓挫した」などと報じていた。

<< 欧米市場の見通し >>

ドル/円相場は先週末までの動きを見た限り、もう少し底堅いイメージだったのだが、本日東京時間にドルが大幅安。前述したように、日中高値から3円近く下落し、一時145.20円レベルも。これにより、安値141.68円を起点とした上げ幅のフィボナッチでは半値押し(145.55円)を下回ってきたことになり、次のターゲットは61.8%押しの144.60-65円となる。俄かに下方向のリスクが高まりつつあるようだ。
一時期よりは安定しつつあるとはいえ、日米株価はいまだ不安定。実際、日経平均は先週末にクローズベースで1300円以上も上昇したが、本日はその反動もあってか一時700円を超える下げ幅をたどっていた。まだまだ値動きは落ち着かない。このあとのNYダウなど米株の動きにも引き続き注意を払いたいところだ。また、米国務長官によるイスラエル訪問を受けたガザ停戦協議の進展などがあるのか否かも、地政学リスクの観点から警戒しておいて損はないだろう。

テクニカルに見た場合、ドル/円は5日安値141.68円が当面の安値、同15日149.40円が当面の高値となったようだ。かなり広いが、前記レベルに挟まれた8円近いあいだで次の方向性を探る展開が見込まれている。個人的には、そのなかでも145-147円程度をコアにしたレンジに収斂すると考えていたのだが果たしてどうなるか。本日東京時間のドル急落を見て、気持ちが揺らいでいる。もう少し、ドル安方向にバイアスを掛けた動きなのかもしれない。

本日は米経済指標として、7月の景気先行指数が発表される予定となっている。先週は連日のように発表される米指標が相場の波乱要因となっただけに、今週も一応要注意だ。また、ウォラーFRB理事によるワークショップでの歓迎の挨拶なども意識しておきたい。

そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは145.30-147.00円。ドル高・円安方向は、目先の抵抗はまず146円で、これを超えるとテクニカルには147円近くまで戻っても不思議はない。ただ、実需筋のオファーが切り下がっているとの指摘もあり、上値は重そう。
対するドル安・円高方向は、本日東京安値の145.20円レベルをめぐる攻防にまず注目。下回れば、先で取り下げた144.60-65円が意識されそうだ。

突然のドル急落、下値余地拡大の可能性も

ドル円日足


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