米CPI鈍化への反応鈍く147円挟んだ持ち合い続く
〇昨日のドル円、米7月PPI鈍化によるドル安で146.07へ下落したところを買われる
〇夜のCPI発表後に147.55へ戻した後は勢い続かず、8/15早朝にかけて147円を挟んだ持ち合いに
〇米PPI・CPIの鈍化、9月FOMCでの0.50%利下げ期待助長せず、ドル安反応は限定的
〇CPIは全体・コアともに前年同月比で鈍化、9月FOMCでの0.25%利下げの確実さ高まる
〇米長期債利回りはまちまち、米株価指数は上昇
〇本日は米7月小売売上高、失業保険申請件数、鉱工業生産等の発表に要注目
〇148円手前までは戻り売り有利とし、146.07割れからは145円台前半への下落を想定
〇148円超えからは上昇再開と仮定し、8/12高値148.21超えからは149円を目指す上昇を想定
【概況】
ドル円は日銀追加利上げと米FOMCの9月利下げ見込み及び米7月雇用統計悪化による世界連鎖株安で7月30日高値155.21円から8月5日安値141.69円まで大幅下落したが、その後は当面の円買いドル売りイベント通過として買い戻し優勢となり、世界連鎖株安後の日米株高で8月12日夜には148.21円まで戻した。その後は148円台を維持できずに8月13日夜の米7月PPI鈍化によるドル安で14日午前安値146.07円へ下落したところを買われたものの、14日夜の米7月CPI発表後に147.55円へ戻した後は勢いが続かず、15日早朝にかけては147円を挟んだ持ち合いを続けている。
8月13日の米7月PPIに続き14日の米7月CPIも鈍化傾向を示したものの9月FOMCでの0.50%大幅利下げ期待を助長するものとはならなかったことでドル安反応も限定的だったようだ。
8月15日夜には米7月小売売上高、週間新規失業保険申請件数、鉱工業生産等の発表があり、景気悪化がみられ失業保険統計が雇用悪化を示す場合には8月2日の米7月雇用統計後にドル全面安と世界連鎖株安が発生した時の状況を再現しかねないと注意するが、逆に米経済指標が概ね良好ならリセッション懸念の後退で株高へ進み、リスク選好感でドル円も上昇しやすくなると思われる。
【米CPIは順調に鈍化】
8月14日夜に米労働省が発表した7月CPI(消費者物価指数)上昇率は全体の前月比が0.2%となり市場予想と一致したが6月の-0.1%を上回り、前年同月比は2.9%で予想の3.0%を下回り6月の3.0%から鈍化した。コアCPI上昇率は前月比0.2%で予想と一致したものの6月の0.1%を上回り、前年同月比は3.2%で予想と一致して6月の3.3%から鈍化した。
全体とコアがともに前月比で6月を上回ったことで高止まりの可能性を示したために9月FOMCでの0.50%大幅利下げ期待がやや後退したが、前年同月比が揃ってしっかり鈍化したことで9月FOMCでの0.25%利下げは確実さを高めたようだ。
項目別では中古車・トラックが前年同月比10.9%低下、ガソリンも2.2%低下したもののサービス価格は4.9%上昇と高止まりした。前月比では帰属家賃が0.4%上昇した。
【米長期債利回りはまちまち、米株価指数は上昇】
8月14日の米長期債利回りは米CPIが鈍化したものの0.50%利上げ期待がやや後退したとしてまちまちの動きだった。
長期金利指標の10年債利回りは8月13日まで3営業日連続で低下していたが14日は一時3.80%まで低下してから戻したために前日比変わらずの3.84%で終了した。30年債利回りも13日まで3日連続低下していたが、14日は4.11%まで続落してからやや戻したものの前日比0.03%低下の4.13%となり4営業日連続低下となった。政策金利動向に敏感な2年債利回りは13日へ2営業日続落して14日も一時3.92%まで低下したがその後の反発で前日比0.02%上昇の3.96%とした。
総じて低下傾向を続けており、今後は9月FOMCでの利下げ幅が0.25%に留まるのか0.50%の大幅利下げになるのか注目しながらの展開が続くと思われる。
一方で8月14日の米主要株価指数はインフレ鈍化傾向を歓迎して総じて上昇した。NYダウは前日比242.75ドル高と上昇して13日の408.63ドルからの連騰として4万円台を回復、ナスダック総合指数は4.99ポイント高と小幅高に留まったものの8月8日から5連騰とした。
米長期債利回りの低下ペースが鈍り米国株高が続いて日本株高に波及すればドル円にとっては押し上げ要因、戻り一巡で株安再開となり米長期債利回りも低下すると円高圧力が再び増すことになる。今夜の米経済指標に対する反応が注目される。
【60分足、サイクル・一目均衡表分析】
60分足の一目均衡表では8月7日から147円を挟んで前後1円強のレンジで持ち合いに入っているため遅行スパンと先行スパンは実線との交錯を繰り返して方向感に欠けるが、先行スパンを上回るうちは遅行スパン好転中の高値試し優先とし、先行スパンから転落している最中は遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。
8円14日早朝への下落で遅行スパンが悪化して先行スパンからも転落したため遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。先行スパンを上抜き返せないうちは遅行スパンが一時的に好転してもその後に悪化するところから下げ再開とし、先行スパンを上抜き返すところからは上昇再開とみて遅行スパン好転中の高値試し優先とする。
60分足の相対力指数は8月14日未明に30ポイントへ迫ってから持ち直しているが14日午後以降は50を挟んだ揉み合いの様相のため、60ポイント超えからは70ポイント台を目指す上昇を想定するが、40ポイント割れからは下落再開として20ポイント前後を試す低下を想定する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、8月14日昼安値146.07円を下値支持線、148.00円を上値抵抗線とする。
(2)148円手前までは戻り売り有利とし、146.07円割れからは145円台前半への下落を想定する。145.30円以下は買われやすいとみるが、米経済指標をきっかけに急落商状の場合は144円台後半へ下値目途を引き下げる。
(3)148円超えからは上昇再開と仮定し、12日夜高値148.21円超えからは149円を目指す上昇を想定する。
【当面の予定】
8/15(木)
休場 インド、イタリア、韓国
10:30 (豪) 7月 新規雇用者数 (6月 5.02万人、予想 2.00万人)
10:30 (豪) 7月 失業率 (6月 4.1%、予想 4.1%)
11:00 (中) 7月 小売売上高 前年同月比 (6月 2.0%、予想 2.6%)
11:00 (中) 7月 鉱工業生産 前年同月比 (6月 5.3%、予想 5.2%)
13:30 (日) 6月 鉱工業生産確報値 前月比 (速報 -3.6%)
13:30 (日) 6月 鉱工業生産確報値 前年同月比 (速報 -7.3%)
13:30 (日) 6月 設備稼働率 前月比 (5月 4.1%)
15:00 (英) 4-6月期 GDP速報値 前期比 (1-3月 0.7%、予想 0.6%)
15:00 (英) 4-6月期 GDP速報値 前年同期比 (1-3月 0.3%、予想 0.9%)
15:00 (英) 6月 鉱工業生産 前月比 (5月 0.2%、予想 0.1%)
15:00 (英) 6月 鉱工業生産 前年同月比 (5月 0.4%、予想 -2.1%)
15:00 (英) 6月 貿易収支・物品 (5月 -179.17億ポンド、予想 -160.00億ポンド)
15:00 (英) 6月 貿易収支 (5月 -48.94億ポンド、予想 -35.00億ポンド)
21:30 (米) 7月 小売売上高 前月比 (6月 0.0%、予想 0.3%)
21:30 (米) 7月 小売売上高・除自動車 前月比 (6月 0.4%、予想 0.1%)
21:30 (米) 8月 ニューヨーク連銀製造業景況指数 (7月 -6.6、予想 -6.0)
21:30 (米) 8月 フィラデルフィア連銀製造業景況指数 (7月 13.9、予想 6.0)
21:30 (米) 7月 輸入物価指数 前月比 (6月 0.0%、予想 -0.1%)
21:30 (米) 7月 輸出物価指数 前月比 (6月 -0.5%、予想 0.0%)
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 23.3万件、予想 23.5万件)
21:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 187.5万人、予想 187.5万人)
22:10 (米) ムサレム・セントルイス連銀総裁、講演
22:15 (米) 7月 鉱工業生産 前月比 (6月 0.6%、予想 -0.3%)
22:15 (米) 7月 設備稼働率 (6月 78.8%、予想 78.5%)
23:00 (米) 8月 NAHB住宅市場指数 (7月 42、予想 43)
23:00 (米) 6月 企業在庫 前月比 (5月 0.5%、予想 0.3%)
26:10 (米) ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁、講演
8/16(金)
07:45 (NZ) 4-6月期 PPI(生産者物価指数) 前期比 (1-3月 0.9%)
13:30 (日) 6月 第三次産業活動指数 前月比 (5月 -0.4%、予想 0.3%)
15:00 (英) 7月 小売売上高 前月比 (6月 -1.2%、予想 0.6%)
15:00 (英) 7月 小売売上高 前年同月比 (6月 -0.2%、予想 1.4%)
18:00 (欧) 6月 貿易収支・季調済 (5月 123億ユーロ)
18:00 (欧) 6月 貿易収支・季調前 (5月 139億ユーロ)
21:30 (米) 7月 住宅着工件数・年率換算 (6月 135.3万件、予想 134.0万件)
21:30 (米) 7月 住宅着工件数 前月比 (6月 3.0%、予想 -1.0%)
21:30 (米) 7月 住宅着工許可件数・年率換算 (6月 144.6万件、予想 143.0万件)
21:30 (米) 7月 住宅着工許可件数 前月比 (6月 3.4%、予想 -1.1%)
23:00 (米) 8月 ミシガン大学消費者信頼感指数速報 (7月 66.4、予想 66.8)
26:25 (米) グールズビー・シカゴ連銀総裁、討論会参加
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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