ドル円、米CPI鈍化を受けても尚147円台を維持。ドル高・円安トレンドの再開に期待
〇ドル円、重要イベント(米CPI)通過に伴うあく抜け感等に米国時間朝方にかけ一時147.57まで上昇
〇注目された米CPIは市場予想を僅かに下回る+2.9%、概ね市場予想の範囲内
〇ユーロドル、欧州株堅調、欧州債利回り上昇に米国時間に1.1048まで上昇、1.10台を維持
〇ドル円、CPIを無難に通過し安堵感広がる
〇円売りポジションの縮小、日米金利差縮小観測後退等がドル円をサポート
〇引き続き、ドル買い・円売りトレンドの再開をメインシナリオとして予想
〇本日の予想レンジ:146.50ー148.50
海外時間のレビュー
14日(水)のドル円相場は堅調な値動き。(1)ニュージーランド準備銀行(RBNZ)によるサプライズ的な利下げ決定(RBNZは据え置き予想に反して25bpの利下げを実施→NZDJPY下落→ドル円連れ安)や、(2)重要イベント(米7月消費者物価指数=米CPI)を控えたポジション調整、(3)岸田首相による自民党総裁選への不出馬の意向表明が重石となり、日本時間11:30過ぎに、安値146.08まで下落しました。しかし、売り一巡後に下げ渋ると、(4)日経平均株価の堅調推移(リスク選好の円売り圧力)や、(5)重要イベント(米CPI)通過に伴うあく抜け感(注目された米CPIは市場予想の前年比+3.0%を僅かに下回る+2.9%となったが、概ね市場予想の範囲内に留まったことで安堵感が広がり、上下動の末、米金利上昇・米ドル買いで反応)が支援材料となり、米国時間朝方にかけて、高値147.57まで上昇しました。引けにかけて反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間8/15午前6時00分現在)では、147.25前後で推移しております。
14日(水)のユーロドル相場は堅調な値動き。アジア時間早朝にかけて、安値1.0984まで軟化するも、一巡後に下げ渋ると、(1)心理的節目1.1000を突破したことに伴う仕掛け的なユーロ買い・ドル売りや、(2)テクニカル的な地合いの強さ(強い買いシグナルを示唆する「一目均衡表三役好転」「強気のバンドウォーク」が成立)、(3)欧州株の堅調推移、(4)欧州債利回り上昇に伴うユーロ買い圧力が支援材料となり、米国時間朝方にかけて、高値1.1048まで上昇しました。引けにかけて反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間8/15午前6時00分現在)では、1.1012前後で推移しております。尚、昨日発表されたユーロ圏6月鉱工業生産(結果▲3.9%、予想▲2.9%)は市場予想を下回る結果となりましたが、市場の反応は限られました。
本日の見通し
注目された米CPIを無難通過(弱い米CPIを受けても尚、147円台を維持)できたことで市場には安堵感が広がっています。8/5に記録した安値141.69のセリング・クライマックス説がより一段と信ぴょう性を増していることや、日足ローソク足が一目均衡表転換線を明確に上抜けしたこと等を踏まえると、テクニカル的に見て、地合いの更なる回復が期待されます。
また、ポジション的に見ても、歴史的高水準だった円ショートポジションが2021年3月以来の水準まで急速に縮小しており、円キャリートレードの巻き戻しは概ね終了したと判断できます。更にファンダメンタルズ的に見ても、日銀の追加利上げ観測の後退や、米FRBの大幅な利下げ観測の後退など、円キャリートレードの再開を期待させる材料が増えつつあります。
以上を踏まえ、当方では引き続き、ドル買い・円売りトレンドの再開をメインシナリオとして予想しています。尚、本日は本邦の4ー6月期GDP速報値に加えて、中国の主要経済指標(中国7月小売売上高、中国7月鉱工業生産、中国7月固定資産投資)や、米国の主要経済指標(米8月ニューヨーク連銀製造業景況指数、米8月フィラデルフィア連銀景況指数、米7月小売売上高、米7月輸入物価指数、米7月輸出物価指数、米新規失業保険申請件数、米7月鉱工業生産、米7月設備稼働率、米8月NAHB住宅市場指数)、米当局者発言(セントルイス連銀ムサレム総裁、フィラデルフィア連銀ハーカー総裁)など、イベント盛沢山の1日となるため、アジア時間・欧米時間を通して、ボラティリティの拡大に注意が必要でしょう。
本日の予想レンジ:146.50ー148.50
注:ポイント要約は編集部
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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