ドルの下値余地拡大、続落にも要注意
〇本日のドル円、当初は売りが先行し、155.35-40まで一気に下落
〇下げ止まると156円半ばへ急騰、その後は156円前半中心に乱高下
〇目先高値から半月で6円を超える下落、さらなるドル安進行に要注意
〇テクニカルには、151.86を起点としたフィボナッチ76.4%戻しの154.25が次のターゲット
〇本日はECB理事会の行方に要注意
〇米7月フィラデルフィア連銀景況指数、新規失業保険申請件数等も発表予定
〇ドル高・円安方向、本日東京高値156.55-60が最初の抵抗
〇ドル安・円高方向、155.80レベルをめぐる攻防にまずは注目
〇欧米時間のドル円予想レンジ:155.40-156.80
<< 東京市場の動き >>
東京市場の地合いは不安定。156円レベルを中心に、上下になかなか激しい動きで落ち着かなかった。
ドル/円は156.15-20円で寄り付いたのち、当初は売りが先行。前日安値を下回り、155.35-40円まで一気に下落した。しかし下げ止まると、日中高値の156円半ばへと1円以上も急騰。その後は156円前半を中心とした乱高下で、落ち着きどころを探る動きに。16時現在では156.05-10円で推移、欧米市場を迎えている。
一方、材料的に注視されていたものは「為替介入など」と「米中対立」について。
前者は、先週11日と12日の両日におよそ5兆円を超える規模の円買い介入を行ったとされる政府・財務省だが、それを受けて市場ではたびたび市場介入実施観測が囁かれる事態となっている。たとえば昨17日の東京夕方、158円台から156円台へと2円を超えるドル安進行をたどるなか、ロイターは「市場で為替介入の観測」と報道。また、そののち同日NY終盤の動きでも「円が対ドルで急伸、介入の観測も」(ロイター)と伝えられていた。いわゆる「答え合わせ」はできておらず、真偽はいまのところ不明。しかし、仮に介入でなかったとしても、市場はそれだけ警戒感を抱き神経質になっていることは間違いない。
後者は、WTOが中国政府による産業支援策について、「透明性が欠如している」との不満を漏らすなか、米中の対立構造がさらに深化しているようだ。ブルームバーグが、「バイデン米政権は対中半導体規制のさらなる強化を検討」と報じ物議を醸す反面、中国サイドはというと同国外務省が、「米国が台湾に武器を売却し続けることへの対抗措置」として、「米中核軍備協議停止」を表明していた。流れが米大統領選におけるトランプ氏勝利観測へと徐々に傾くなか、もし大統領に返り咲けば、さらなる対中強硬策に出るとの観測も少なくない。続報などには注意を要する。
<< 欧米市場の見通し >>
ドル円相場は昨日一段安。しばらくは157-160円、あるいは157-159円といったレンジをたどると予想していたのだが、思いのほか早いタイミングでドルは底割れしている。そして本日東京時間に一時安値155.35-40円も。これで目先高値から半月で6円を超える下落をたどっている計算となり、短期はもちろんのこと中長期のドル高戦略も見直しが求められそう。いずれにしても、さらなるドル安進行には要注意だ。
市場は月内に予定されている日米中銀会合、そしてそこで決定される金融政策が注視されるなか、すでに織り込まれていると思われた「金利差縮小」観測が改めて取り沙汰されているようだ。足もとのドル安・円高要因にも。ただし、これといったサプライズがなければ、当月分の金融政策変更はほぼ織り込み済みのため、終了後はむしろ「失望」を誘うことになるかもしれない。なお、そんな日米に先んじる格好で、本日は開催されるECB理事会の行方に要注意。ユーロ主導の相場動静にも、しっかりとした注意を払っておきたい。
テクニカルに見た場合、ドル/円は昨日欧米時間に156.06円を示現。以前からレポートしている5月安値151.86円を起点とした上げ幅のフィボナッチでは、61.8%押し155.70-75円を辛うじて維持した格好だったが、本日東京でしっかりと下回ってきた。次のターゲットは76.4%戻しにあたる154.25円。
一方、一目均衡表や移動平均では155.80円レベルに複数ポイントが位置している。ザラ場だけなく、NYクローズでも攻防に要注目だ。
本日は米経済指標として、7月のフィラデルフィア連銀景況指数や週間ベースの新規失業保険申請件数などが発表される予定となっている。また米企業の決算発表も少なくないが、本日もっとも注意を要するのはやはりECB理事会か。ユーロ主導の展開も。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは155.40-156.80円。ドル高・円安方向は、本日東京高値の156.55-60円が最初の抵抗。上抜けると156.80円レベルがターゲットに。
対するドル安・円高方向は、先でも記した一目均衡表など複数のテクニカルポイントが位置する155.80円レベルをめぐる攻防にまずは注目。それらレベルがザラ場はもちろん、NYクローズで維持できるか否かも注視されている。
ドル円日足
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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