ドル円見通し 157円割れ回避で戻したが159円手前から失速、先週の2日連続市場介入が重石(24/7/17)

158.85円まで戻したものの、その後は米国の年内2回利下げ期待を背景とした米長期債利回りの低下により上げ幅を削って17日朝には158.20円台へ下げた。

ドル円見通し 157円割れ回避で戻したが159円手前から失速、先週の2日連続市場介入が重石(24/7/17)

157円割れ回避で戻したが159円手前から失速、先週の2日連続市場介入が重石

〇ドル円、7/16夜の米小売売上高が堅調だったことで、発表後に158.85まで戻す
〇その後は米長期債利回りの低下により上げ幅を削って、7/17朝には158.20台へ下げる
〇日銀が公表した7/17の当座預金残高増減要因予想から、7/11に続き7/12も市場介入があったと推察
〇米長期債利回りは総じて低下、NYダウは大幅続伸で史上最高値更新、ナスダックも連騰
〇158.85超えからは、7/12午前高値159.44を試す上昇を想定する
〇157.75割れからは下落再開とみて、7/16未明安値157.17を試す流れとみる

【概況】

ドル円は7月11日夜に米6月CPI上昇率が予想以上に鈍化したことで下落したが、3兆円を超える規模の市場介入も重なったことで発表前の161.60円近辺から22時台安値157.42円へ急落したが12日夜に157.37円へ安値を更新した際にも2兆円規模市場介入があったとされた。
7月16日未明には157.17円までさらに安値を更新して7月3日高値161.94円からの下げ幅は4.77円となったが、11日夜と12日夜及び16日未明の急落時に157円割れを回避したことで16日夜にかけては買い戻し優勢となり、16日夜の米小売売上高が堅調だったことで発表後に158.85円まで戻したものの、その後は米国の年内2回利下げ期待を背景とした米長期債利回りの低下により上げ幅を削って17日朝には158.20円台へ下げた。

7月16日夜に米商務省が発表した6月小売売上高は前月比0%増だったものの市場予想の0.3%減を上回り、5月分は当初の0.1%減から0.3%増へ上方修正された。自動車・同部品を除いて0.4%増(市場予想は0.1%増)、ガソリンを除き0.2%増、自動車・同部品・ガソリンを除き0.8%増となり、いずれも堅調さを示したことで米景気がソフトランディングするとの見方が優勢となりNYダウの大幅高に寄与したが、米国の年内利下げ期待を後退させるものではないとして米長期債利回りは一時的に上昇後に総じて低下した。

クグラーFRB理事は7月16日に利下げ時期や回数に関しては「その状況にないため明示したくない」としたものの、過去3カ月のようにインフレ鈍化が今後も進み、過去2カ月の雇用統計のように労働市場が軟化を示せば「年内の金融緩和開始が適切になる」と述べた。7月15日のパウエルFRB議長発言が年内利下げに前向きな姿勢を見せたことと合わせて利下げ期待を高める姿勢と受け止められた。

【7月11日に続き12日も市場介入だったと推察】

7月16日に日銀が公表した7月17日の当座預金残高増減要因予想は市場介入を反映する「財政等要因」が2兆7400億円のマイナスとなり、マイナス幅が事前予想を凡そ2兆円下回ったために12日のドル円急落時も覆面での市場介入があったと推察された。日銀統計からは7月11日のドル円急落時にも3兆円から4兆円規模の覆面での市場介入を行ったとされる。
今年4月29日と5月2日には合わせて9兆円を超える規模の覆面介入が行われ、ドル円は4月29日高値160.16円から5月3日安値151.85円まで8.31円の下落幅となった。今回は7月3日高値から7月15日安値まで4.77円の下落規模で落ち着いており、昨年12月28日安値140.24円、今年3月11日安値146.46円、5月3日安値151.85円等を結ぶ上昇トレンドの下値支持線で下げ止まっているところだが、追撃的な市場介入があれば5月3日への下落時並みの下げ幅へ拡大して上昇トレンドから転落する可能性もあると注意したい。

【米10年債利回りは4月25日以降の最低を更新、ダウは大幅続伸で史上最高値更新】

7月16日の米長期債利回りは総じて低下した。米小売売上高発表後に一時的な上昇反応も見られたものの9月と12月の利下げ期待が高いとして早々に低下へ転じた。7月15日の中国GDPが冴えなかったことに加えてIMFの世界成長見通しでも中国の景気低調さが長期化する懸念が示されたことも利回り低下に寄与したようだ。
長期金利指標の10年債利回りは前日比0.07%低下の4.16%となり4月25日に付けた年初来ピークである4.74%以降の最低を更新した。30年債利回りも前日比0.09%低下の4.37%となり7月1日以降の最低とし、2年債利回りは0.04%低下の4.42%となり4月30日に付けた年初来ピークである5.05%以降の最低を4日連続で更新した。

一方で米国株は総じて上昇した。米小売売上高が堅調だったことで景気後退不安が薄まる中で利下げ開始へ向かうとの期待に加えトランプ政権誕生なら規制緩和が進んで株高に寄与するとの思惑が背景のようだ。
NYダウは前日比742.76ドル高と大幅上昇して40988.81ドルへ取引時間中の史上最高値を更新して7月11日から5連騰とした。ナスダック総合指数も36.77ポイント高で3連騰とし、7月11日に史上最高値を更新してからの利食い売りで364.04ドル安と反落した下げ幅解消へ進んでいる。S&P500は35.98ポイント高で3連騰として取引時間中及び終値の史上最高値を更新した。

【60分足、サイクル・一目均衡表分析】

【60分足、サイクル・一目均衡表分析】

ドル円は市場介入後の乱調な展開が続いているが、7月16日未明安値157.17円を起点として戻りを試しているところと思われる。158円台を維持するか一時的に割り込んでも回復するうちは17日の日中から19日にかけての間への上昇余地ありとするが、157.75円割れからは下落再開を疑い18日深夜から23日未明にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では7月16日未明安値から戻したため遅行スパンが好転し、乱高下がやや落ち着いたことで17日午前序盤時点では先行スパンを上回っている。先行スパンからの転落を回避する内は上昇余地ありとし、16日夜高値158.85円超えからは遅行スパン好転中の高値試し優先とするが、先行スパンから転落する場合は下落再開とみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は7月16日午後から16日夜にかけての高値切り上げに際して指数のピークが切り下がる弱気逆行気配がみられるので、55ポイント超えからは上昇再開として60ポイント台中盤への上昇を想定するが、40ポイント割れからは下落期入りとみて20ポイント台への低下を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、157.75円を下値支持線、7月16日夜高値158.85円を上値抵抗線とする。
(2)158円台を維持するか一時的に割り込んでも早々に回復する内は上昇余地ありとし、158.85円超えからは7月12日午前高値159.44円を試す上昇を想定する。159.30円以上は反落警戒とするが、158.50円を上回っての推移なら18日も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)157.75円割れからは下落再開とみて7月16日未明安値157.17円を試す流れとみる。157円前後は買い戻しも入りやすいとみるが、157.75円以下での推移なら18日も安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の予定】

7/17(水)
休場 インド、パキスタン
15:00 (英) 6月 CPI(消費者物価指数) 前月比 (5月 0.3%、予想 0.1%)
15:00 (英) 6月 CPI(消費者物価指数) 前年同月比 (5月 2.0%、予想 1.9%)
15:00 (英) 6月 コアCPI 前年同月比 (5月 3.5%、予想 3.5%)
15:00 (英) 6月 RPI(小売物価指数) 前年同月比 (5月 3.0%、予想 2.9%)
18:00 (欧) 6月 HICP(調和消費者物価指数)・改定値 前年同月比 (速報 2.5%、予想 2.5%)
18:00 (欧) 6月 コアHICP・改定値 前年同月比 (5月 2.9%、予想 2.9%)
21:30 (米) 6月 住宅着工件数・年率換算 (5月 127.7万件、予想 130.0万件)
21:30 (米) 6月 住宅着工件数 前月比 (5月 -5.5%、予想 1.8%)
21:30 (米) 6月 住宅着工許可件数・年率換算 (5月 138.6万件、予想 140.0万件)
21:30 (米) 6月 住宅着工許可件数 前月比 (5月 -3.8%、予想 0.1%)

22:00 (米) バーキン・リッチモンド連銀総裁、講演
22:15 (米) 6月 鉱工業生産 前月比 (5月 0.9%、予想 0.3%)
22:15 (米) 6月 設備稼働率 (5月 78.7%、予想 78.4%)
23:30 (米) EIA週間石油在庫統計
23:35 (米) ウォラーFRB理事、講演
27:00 (米) 米地区連銀経済報告(ベージュブック)

7/18(木)
08:50 (日) 6月 通関貿易収支・季調前 (5月 -1兆2213億円、予想 -2400億円)
08:50 (日) 6月 通関貿易収支・季調済 (5月 -6182億円、予想 -8872億円)
10:30 (豪) 6月 新規雇用者数 (5月 3.97万人、予想 2.00万人)
10:30 (豪) 6月 失業率 (5月 4.0%、予想 4.0%)
15:00 (英) 5月 失業率・ILO方式 (4月 4.4%、予想 4.4%)
21:15 (欧) 欧州中銀(ECB)政策金利 (現行 4.25%、予想 4.25%)
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 22.2万件)
21:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 185.2万人)
21:30 (米) 7月 フィラデルフィア連銀製造業景況指数 (6月 1.3、予想 2.9)
21:45 (欧) ラガルドECB総裁、記者会見
23:00 (米) 6月 コンファレンスボード景気先行指数 前月比 (5月 -0.5%、予想 -0.3%)
26:45 (米) ローガン・ダラス連銀総裁、開会挨拶


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