下値トライ不発なら157-160円のレンジ取引
〇アジア市場のドル円、158円を挟んでの一進一退
〇トランプ氏の暗殺未遂事件を受け、荒っぽい値動きを予想する報道もあったが小動きにとどまる
〇上値重く短期的にはドル安方向にバイアス、157.30-40で再び下げ止まり反発へ転じれば下値トライ一服
〇本日米経済指標として、7月NY連銀製造業景況指数が発表予定
〇ドル高円安方向、本日アジア高値も近い158円半ばが最初の抵抗、上抜けると159円乗せも
〇ドル安円高方向、157.70レベルが弱いサポート、割り込むと先週安値157.30がターゲット
〇欧米時間のドル円予想レンジ:157.30-158.50
<< アジア市場の動き >>
週明けのアジア市場は全般様子見。週末に伝えられた「トランプ氏の暗殺未遂事件」もあり、事前には大荒れも懸念されたが、結果は小動きだった。
週末を席巻したのは、前述した「トランプ氏の暗殺未遂事件」。さすがに犯人に同情や擁護する向きはほとんどなく、米国と対立する中国やロシアなどからも行為を非難する声が相次いでいた。
ドル/円は157.90円レベルで寄り付いたものの、基本はレンジ取引。158円を挟んでの一進一退をたどっていた。ブルームバーグが「暗殺未遂事件受けトランプ・トレード強まる可能性」−−と報じるなど、荒っぽい値動きを煽るような報道も観測されていたが、結果的にはむしろ小動きで取引を終えている。16時現在では158.10-15円で推移し、欧米市場を迎えていた。
一方、材料的に注視されていたものは「トランプ氏の暗殺未遂」と「ロシア情勢」について。
前者は、現地時間13日の夕方、11月の大統領選に向けた集会で演説していたトランプ前大統領が男に銃撃されるという事件が発生した。トランプ氏は右耳などを負傷するも命に別状はなし。しかし、集会参加者ひとりが銃撃により死亡し、この他に参加者2人が重傷になったという。なお、シークレットサービスにより、犯人と思しき男は射殺されている。トランプ氏の暗殺未遂を受け、政敵であるバイデン大統領も無事に安堵するとともに、政治的暴力を批判する声明を発表していた。そうしたなか、当のトランプ氏は11月の大統領選候補を正式指名する15日からの共和党大会に参加する意向を表明。それに対し、バイデン大統領は共和党大会の警備を見直すようシークレットサービスに指示したことを明らかにしている。
対して後者は、米国防総省が、オースティン国防長官とロシアのベロウソフ国防相が電話会談したと発表したものの、大勢には変化なし。一方では、ロシア外務省報道官による「ロシアに攻撃する計画はなく、緊張を悪化させているのはNATO側だ」とのコメントや、ペスコフ報道官からの「米ミサイル配備なら欧州が標的になる」といった、保身や身勝手な発言が相次いでいた。また、豪警察がロシア出身の夫婦をスパイ容疑で逮捕したことを受け、在豪のロシア大使館は声明で、「ロシアに対する被害妄想をあおるもので、劇場型手法で架空のスパイをでっち上げている」と反発したという。
<< 欧米市場の見通し >>
ドル円相場は、短期的なドル高基調が終わった感があり、ドルの上値はしばらく重い展開か。159円半ばはなかなか強い抵抗であるうえ、その少し上である160円レベルには移動平均の21日線も位置しており、週を通してドルのレジスタンスとして寄与する可能性もある。また、先週末のNY時間にも当局の実弾介入観測が一部で取り沙汰されており、事実とすれば159円台での実施だ。ドルの上昇を阻む一因にも。
市場は日米金融政策を注視しており、日本については月末の日銀会合で利上げに踏み切るといった見方が有力だ。つまり、日米金利差は幾分なりとも縮小することになりそうだが、0.25%程度であれば市場にすでに織り込まれており、問題はその先。一方、米国は今週も発表される米経済指標や要人発言に基本一喜一憂か。また、それとは別に幾つかの要因を絡めた米大統領選ファクターも、市場の波乱要因として注視しておきたいところだ。
テクニカルに見た場合、ドル/円は上値の重い状況下、短期的なリスクはドル安方向にバイアスがかかりそう。しかし、先週時間足ベースなどでは少なくとも2度、157.30-40円で下げ止まっている。短期的に同レベルで再び下げ止まり、ドルが反発へと転じるようだとドルの下値トライも一服感がでるか。その場合にはおおよそ157-160円といったレンジ取引か。
本日は米経済指標として、7月のNY連銀製造業景況指数が発表される予定となっている。またGSなど金融大手の決算発表や、パウエルFRB議長のインタビューなど、ほかにも注目材料は目白押しだ。再び荒っぽい価格変動も。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは157.30-158.50円。ドル高・円安方向は、本日アジア高値も近い158円半ばが最初の抵抗。上抜けると159円乗せも否定できない。
対するドル安・円高方向は、アジア安値も近い157.70円レベルが弱いサポートで、その攻防にまずは注目。割り込むと、先週安値157.30円がターゲットに。
ドル円日足
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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